【弁護士による対応のメリット】裁判手続きや強制執行をスムーズに進めるためには、法的に不備のない主張書面の提出や迅速な財産調査が不可欠です。弁護士に依頼することで、相手の言い訳に惑わされず、慰謝料全額の回収に向けた法的措置を確実に遂行することができます。
不倫の慰謝料を請求された相手が、交渉や裁判の段階になって様々な言い訳を繰り出すケースは少なくありません。中でも、「自分は独自の宗教上の理由があり、裁判所という場所にはどうしても足を踏み入れることができない」と主張して出頭を拒むケースがあります。
このような発言を聞くと、被害者側としては「裁判所に行けないと言われたら、慰謝料請求は諦めなければならないのだろうか」と不安になってしまうかもしれません。しかし、日本の法制度において、個人の宗教的な信条を理由にした裁判出頭の拒絶は、無限に認められるものではありません。
本記事では、不倫相手が宗教を盾に裁判所への出頭を拒んできた場合の法的な対抗策や、裁判を無視し続けた場合に相手に待ち受けている結末について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
1. 裁判所への出頭拒絶に対する法的な考え方
まず大前提として、日本の民事裁判において、当事者(被告)が裁判所に出頭するかどうかは本人の自由意思に委ねられています。「強制連行」のように、警察官が無理やり裁判所へ連れていくような手続きは民事事件ではありません。
しかし、裁判所に出頭しないことには、それ相応の重大な法的ペナルティが伴います。
宗教上の理由が「正当な欠席理由」になるか
相手が「宗教的信念により、裁判所という公的機関に出向けない」と主張したとしても、それが客観的に見て法律上の正当な欠席理由として認められる可能性は極めて低いです。
裁判所は憲法で保障される「信教の自由」を尊重しますが、私人間の金銭トラブル(不倫慰謝料の支払い義務)を解決するための司法手続きにおいて、個人の信教を理由に相手方の裁判を受ける権利を不当に制限することは許されないからです。
したがって、相手がどれほど強く宗教的な理由を訴えたとしても、裁判所は通常通り期日を進めることになります。
2. 相手が裁判を無視し続けた場合の結末
不倫相手が「裁判所に行けない」と言い張って出頭せず、さらに裁判所からの呼び出し状(訴状や期日呼出状)を無視し続けた場合、訴訟手続きはどのように進行するのでしょうか。
ここには、裁判制度における非常に重要なルールが存在します。
答弁書の未提出と期日欠席のコンボ
民事訴訟では、訴えられた側(被告)は、原告の主張に対する反論を記した「答弁書」を提出し、指定された第1回口頭弁論期日に出頭するのが原則です。
もし被告が答弁書を一切提出せず、裁判所からの期日呼出状も無視して欠席した場合、法律上は「原告の主張した事実をすべて自白(同意)したものとみなす」というルールが適用されます(民事訴訟法第159条第3項)。
つまり、不倫の事実や、それによって受けた精神的苦痛の金額など、あなたが訴状に書いた内容に相手が反論しなかった場合、裁判所は「相手側はその事実をすべて認めた」と判断せざるを得なくなります。
欠席判決の言い渡し
相手が一度も裁判所に顔を出さず、反論もしないまま期日が経過すると、裁判所は審理を終結させ、原告(あなた)の勝訴とする「欠席判決」を下します。
欠席判決が出されると、あなたの請求通りの慰謝料全額(および遅延損害金など)の支払いを命じる判決が正式に確定します。相手が「宗教上の理由で行かなかったのだから、裁判は無効だ」と後から主張しても、適法に呼び出しが行われている以上、判決の効力は覆りません。
3. 欠席判決を獲得した後の強力な対抗手段
裁判で勝訴(欠席判決の確定)を勝ち取った後、相手が相変わらず「お金は払わない」「裁判所には行かない」と無視を決め込んでいる場合、弁護士は次のステップとして強制執行(差押え)の手続きに移行します。
相手が裁判所に出頭しなくても、財産を差し押さえることは法律上十分に可能です。
- 給与の差押え(債権執行):相手の勤務先を特定していれば、毎月の給与や賞与から強制的に慰謝料を天引きし、あなたの口座に直接振り込ませることができます。勤務先に裁判所からの書類が届くため、不倫の事実や裁判で敗訴したことが職場に知れ渡ることになります。
- 預貯金の差押え:相手が利用している銀行口座(支店名まで特定できればベスト)を差し押さえ、口座内の残高を強制的に回収します。
- 動産・不動産の差押え:自宅にある高価な家電や自動車、あるいは所有している不動産などを差し押さえ、競売にかけて現金化します。
「裁判所に行けない」と言って逃げ回っている相手であっても、自分の給与が差し押さえられたり、勤務先にトラブルが知られたりする事態に直面すれば、多くの場合は態度を硬化させていられなくなります。
4. 相手が代理人(弁護士)を立ててきた場合の注意点
ここまで「本人が裁判所に行かないケース」を解説してきましたが、中には「自分は宗教上の理由で裁判所に行けないので、弁護士を代理人に立てる」と言ってくるケースもあります。
この対応については、以下のポイントに注意が必要です。
代理人弁護士の出頭は有効
日本の法律では、訴訟代理人として弁護士を選任した場合、本人(不倫相手)が裁判所に出頭しなくても、代理人弁護士が期日に出席していれば何ら問題なく裁判は進行します。
「本人が裁判所に行けない」という主張が、単なる引き延ばし工作ではなく、実際に弁護士を代理人として立てて法的な反論や減額交渉を行ってきた場合、欠席判決を狙うことはできなくなります。その場合は、代理人弁護士を通じて、証拠に基づいた適正な慰謝料の回収に向けた法廷闘争や和解交渉を行うことになります。
ただし、弁護士を立てると言いつつ実際には代理人契約も結んでおらず、単に連絡を断つための口実として使っているだけのケースも多いため、裁判所の事件記録を確認しながら慎重に対応する必要があります。
5. 不倫相手が逃げ得を許さないために、弁護士へご相談を
不倫相手が「宗教上の理由」などを持ち出して裁判所への出頭を拒むのは、心理的なプレッシャーから逃れたい、あるいは慰謝料の支払いを先延ばしにしたいという心理の表れであることがほとんどです。
しかし、現代の司法制度において、正当な理由のない出頭拒絶が通用する余地はありません。相手が裁判を無視し続ければ、前述の通り「欠席判決」によって相手の財産を強制的に差し押さえる道が開かれます。
「相手が裁判所に来ないと言っているけれど、どう進めればいいのかわからない」「本当に判決だけでお金が回収できるのか不安」とお悩みの方は、ぜひ一度法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。豊富な解決実績を持つ専門チームが、相手の居留守や出頭拒絶を打ち破り、確実に慰謝料を回収するための最適な法的手続きをサポートいたします。