【弁護士に依頼するメリット】相手が転職して勤務先が不明な場合でも、弁護士会の照会制度や実務ノウハウを活用して勤務先を割り出すことができます。バックレや言い訳を許さず、精神的な負担を最小限に抑えながら全額完済へと導くための最適な法的手段を実行します。
不倫・浮気の慰謝料請求において、最も頭を悩ませる問題の一つが「途中で分割金の支払いがストップしてしまうこと」です。話し合いの末に公正証書を作成し、毎月の分割払いに合意したものの、半年ほど経ったある日を境に連絡が取れなくなるケースは後を絶ちません。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には、「分割払いの約束を信じたのに、相手が支払いを逃れようとしている」「途中で連絡が取れなくなった相手から、どうにかして慰謝料を全額回収したい」というご相談が連日寄せられています。
本記事では、公正証書の分割示談金をバックレた不倫相手に対し、勤務先給与の差し押さえて全額を回収した解決モデルについて、法律実務の視点から分かりやすく解説します。
1. 分割示談が途中で破綻する典型的なケース
不倫の慰謝料請求では、一括払いが困難な相手に対して「毎月〇万円ずつの分割払い」に応じることは珍しくありません。しかし、その多くが裁判所の判決ではなく、当事者間の合意や公正証書によるものです。
よくあるトラブルのパターンには、以下のようなものがあります。
- 最初は真面目に支払っていたが、数ヶ月で「仕事が変わった」「生活が苦しい」と言い訳をして振込を止める
- 電話やメッセージをブロックされ、音信不通になる
- 「払う意思はある」と口では言うものの、一向に入金がない状態をダラダラと続けられる
このような相手に対し、電話や督促状を送るだけでは、暖簾に腕押し状態になってしまうことが少なくありません。相手に「どうせ払わなくても大したことはされないだろう」とナメられてしまっているのが現実です。
2. なぜ「給与差押え」が最強のカードになるのか
相手が支払いに応じないとき、決定的な切り札となるのが給与差押え(債権執行)です。
給与差押えとは、裁判所の力を借りて、相手の勤務先(会社)から支払われる給与を直接差し押さえる法的手続きです。この方法には、他の督促手段にはない圧倒的なメリットがあります。
勤務先から直接お金が天引きされる
相手の口座を差し押さえる場合、口座に預金が残っていなければ回収できませんが、給与であれば毎月確実に収入が発生します。裁判所から差押命令が届くと、勤務先企業は相手の給与から一定額を天引きし、直接こちらの口座に振り込む義務が生じます。
会社に不倫やトラブルが知られるプレッシャー
給与差押えの手続きが進むと、相手の勤務先の経理担当者や人事担当者に裁判所からの書類が届きます。社会人として、給与を差し押さえられるほどの金銭トラブルを会社に知られることは、非常に大きな心理的プレッシャーとなります。「会社に知られるくらいなら、自分で一括で払うから差押えを止めてくれ」と慌てて連絡を寄越すケースも多々あります。
3. 給与差押えを実行するための前提条件
給与差押えを成功させるためには、絶対にクリアしなければならない法律上の前提条件があります。それは、「債務名義(さいむめいぎ)」を取得していることです。
債務名義とは、公的に強制執行を行う権利を証明する文書のことであり、主に以下のいずれかが必要です。
- 強制執行認諾文言付公正証書(慰謝料の金額や、支払わなかったときは直ちに強制執行に服する旨が記載されたもの)
- 裁判所の確定判決、和解調書、調停調書
「ただの誓約書やLINEのメッセージのやり取り」では、残念ながら給与差押えを行うことはできません。だからこそ、当事務所では不倫の示談交渉を行う際、将来の不払いリスクを見据えて必ず強制執行認諾文言付きの公正証書を作成することを強く推奨しています。
4. 勤務先が不明な場合の解決アプローチ
給与差押えを行うためには、相手の「現在の勤務先(会社名・所在地)」を特定する必要があります。しかし、連絡が取れなくなった相手の場合、どこで働いているのか分からないことも少なくありません。
弁護士が代理人となった場合、以下のような法的な調査手法を用いて勤務先を特定します。
- 弁護士会照会(23条照会):過去に分かっている勤務先や銀行口座の情報をもとに、必要に応じて関係機関へ照会を行います。
- 住民票・戸籍の附票の調査:相手の現在の居住地を確認し、財産開示手続への布石とします。
- 財産開示手続・第三者からの情報提供システム:裁判所を通じて、相手の勤務先や預金口座の情報を公的に取得する制度を活用します。
特に近年では、法改正により、裁判所手続を通じて相手の勤務先情報を比較的スムーズに特定できる道が開かれており、勤務先が分からなくて泣き寝入りするケースは大幅に減っています。
5. 差押えられる金額の限界と「手取り給与」のルール
給与差押えを行う際、相手の給与全額を奪うことは法律で禁止されています。相手が生活できなくなってしまうことを防ぐため、法律上差し押さえられる上限が定められています。
一般的に差し押さえが可能なのは、手取り給与(税金等を控除した残額)の4分の1までです。ただし、手取り給与が月額40万円を超える部分については、4分の1を超える金額(30万円を超える部分の全額)の差押えが認められる場合もあります。
「毎月4分の1ずつでは完済までに時間がかかるのでは?」と思われるかもしれませんが、この差押え手続きには大きな副次効果があります。前述の通り、会社に通知が行くことを恐れた相手が、「残り全額を退職金や親からの借入れで一括返済するから、差押えを解除してほしい」と申し出てくることが非常に多いためです。
6. 分割示談金の未払いから完全完済に至るまでの実例モデル
実際に、弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所がサポートした具体的な解決モデルの流れをご紹介します。
相談時の状況
ご依頼者様は、夫の不倫相手との間で「慰謝料250万円を毎月5万円ずつ分割で支払う」という公正証書を作成していました。最初の10ヶ月は順調に入金されていたものの、突然残金200万円分の振込がストップ。相手の電話番号もブロックされ、音信不通になっていました。
弁護士の対応プロセス
- 受任と事実確認:ご依頼者様から公正証書をお預かりし、直ちに強制執行の準備を開始しました。
- 勤務先の特定:以前のやり取りやSNS、専門的調査手法を駆使し、相手が現在勤務している医療関係の法人を特定しました。
- 給与差押命令の申し立て:裁判所に対して債権差押命令の申し立てを行い、無事に発令されました。
- 相手からの急連絡と示談:裁判所から会社へ差押命令書が届いた当日の夕方、相手から担当弁護士宛てに青ざめた声で電話が入りました。「会社に知られたので、残りの200万円を一括で支払うから、すぐに差押えを止めてほしい」と懇願されました。
- 一括回収・完済:相手の親族を保証人に立てさせ、指定口座へ残額の一括振込を確認した上で、速やかに差押えの取り下げ手続きを行い、完全完済となりました。
7. 分割示談・不払いトラブルは弁護士にご相談ください
不倫相手との間で交わした分割示談の約束が破られたとき、個人で相手を追い詰めるのは精神的にも大きな負担ですし、法的な強制力を伴う手段を講じるのは容易ではありません。
「連絡が取れない」「もう二度と払う気がないようだ」と諦めてしまう前に、まずは法的根拠に基づいた強制執行のプロである弁護士にご相談ください。
弁護士法人公的な相談窓口や弁護士会等では、公正証書の作成段階から、万が一の不払いが発生した場合の給与差押え・財産差し押えに至るまで、依頼者様の正当な権利を最後まで守り抜くサポートを行っております。慰謝料の未払い問題でお困りの方は、ぜひ法テラスや弁護士会の無料法律相談窓口のご利用をご検討ください。