【再発を防ぐ接触禁止特約と示談のポイント】示談書に「一切の接触禁止」や「違反時の高額な違約金」を具体的に盛り込むことで、会社での人事的な引き離しや二度と会わせない法的拘束力のある状況を作り出せます。
配偶者の裏切りが発覚しただけでも精神的なショックは計り知れませんが、その不倫相手が「職場の同僚」や「上司・部下」であった場合、問題はさらに複雑化します。
「毎日のように同じ職場で顔を合わせているのか」と想像するだけで怒りが込み上げてくる一方で、「会社にバレたらどうなるのか」「夫(妻)の仕事や収入に影響が出て、共倒れになってしまわないか」と不安を抱える方も少なくありません。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には、社内不倫に関する慰謝料請求や解決のご相談が数多く寄せられています。今回は、職場関係者との不倫に直面した際、どのような手順で、どのように会社へのリスクをコントロールしながら法的な解決を図るべきかを詳しく解説します。
社内不倫の慰謝料請求における3つの選択肢
配偶者の不倫相手が同じ会社に勤務している場合、被害者であるあなたが取るべき対応には、主に以下の3つの選択肢が存在します。感情のままに動くのではなく、ご自身の望むゴールに合わせて慎重に選択する必要があります。
- 会社に一切知らせず、不倫相手個人のみに対して慰謝料請求と接触禁止を行う
- 会社(人事やコンプライアンス窓口)へ通報し、懲戒処分や配置転換を求める
- 不倫関係の継続や再発を防ぐための強力な条件(接触禁止・違約金)を定めた示談を締結する
多くのご相談者様が最も望まれるのは、「会社での立場や生活基盤(世帯収入)を守りつつ、不倫相手から確実に慰謝料を回収し、二度と夫(妻)に近づかせないこと」です。そのためには、会社に通報して社会的制裁を与えることよりも、個人間で法的に有効な合意を結ぶルートが推奨されるケースが多くあります。
会社に知られずに不倫相手へ慰謝料を請求する方法
「社内不倫なのだから、会社に乗り込んだり人事部に知らせたりしなければ解決しないのでは」と誤解されがちですが、法律上、不倫の慰謝料請求はプライベートな損害賠償請求です。したがって、勤務先を巻き込まずに個人間で解決することは十分に可能です。
弁護士を代理人に立てるメリット
ご自身で不倫相手の職場や個人宛てに連絡を取ろうとすると、相手が連絡を無視したり、職場内で逆上してトラブルになったりするリスクがあります。
弁護士が代理人となれば、不倫相手の自宅住所宛てに内容証明郵便を送付し、交渉の窓口をすべて引き受けます。勤務先の電話番号やメールアドレスを使用せず、個人の自宅や代理人事務所の間でやり取りを行うため、会社の上司や同僚に不倫や慰謝料請求の事実が知られるリスクを最小限に抑えることができます。
会社に発覚するリスクとプライバシーの保護
裁判を起こさない限り、弁護士会照会などを通じて勤務先の給与差し押さえを行わない限りは、会社に通知がいきわたることは原則としてありません。ただし、不倫相手が社内で動揺して勝手に上司に相談してしまうケースなどはゼロではないため、早期かつ冷静に示談交渉をまとめることが肝心です。
「接触禁止特約」と「人事的な引き離し」の重要性
社内不倫の厄介な点は、慰謝料を支払わせただけでは、その後も職場で顔を合わせる機会がなくならないという環境にあります。「同じプロジェクトにいる」「出張や残業で密室になりやすい」といった状況が続けば、関係が復活してしまうのではないかと不安が消えません。
そこで極めて有効となるのが、示談書に盛り込む「接触禁止特約」です。
- 業務上のやむを得ない連絡を除き、私的な連絡(LINE、メール、電話等)を一切禁止する
- 退勤後や休日に二人で会うこと、社用車や個室で二人きりになることを禁止する
- 万が一接触した場合には、速やかに配偶者または弁護士へ報告する義務を課す
さらに、これらの約束に実効性を持たせるために、「違反した場合には1回につき〇〇万円の違約金を支払う」という違約金条項を設定します。この条項があることで、不倫相手に対して強い心理的プレッシャーを与えることができます。
また、もしどうしても同じ職場にいることに耐えられない場合や、配偶者が相手と別れる意思を示さない場合は、会社に対して不倫の事実を証拠とともに通報し、配置転換(部署異動)や降格などの人事処分を会社側に促すというアプローチも選択肢に入ります。この判断は家庭の状況によって異なるため、弁護士と綿密に相談して決定することをおすすめします。
社内不倫で慰謝料請求を成功させるための重要ポイント
円滑かつ有利に社内不倫の解決を進めるためには、事前の準備と証拠の確保が不可欠です。感情的に相手を詰問する前に、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 客観的な不貞の証拠を集める
「同僚と頻繁に残業している」「出張のスケジュールが不自然だ」という状況証拠だけでは、相手が不倫事実を否定した際に言い逃れを許してしまいます。ホテルの利用履歴、決定的なメッセージのやり取り、肉体関係を推認させる写真や音声など、客観的な証拠をあらかじめ確保しておきましょう。
2. 証拠の収集方法に注意する
社内不倫の調査において、無理に会社のパソコンや配偶者のロッカーを物色したり、プライベートなSNSアカウントに不正ログインして証拠を集めたりする行為は、プライバシー権の侵害や不正アクセス禁止法違反に問われるリスクがあります。合法的な範囲での証拠収集や、探偵・弁護士の活用を検討してください。
3. 配偶者と不倫相手のどちらに請求するかを決める
慰謝料は、配偶者と不倫相手のどちらか一方、あるいは両方に請求することができます。社内不倫の場合、夫婦関係を今後修復したいのであれば、配偶者への請求は控えめにするか免除し、不倫相手の同僚に対してのみ全額を請求する(のちに不倫相手から配偶者への求償権を放棄させる示談にする)という手法がよく用いられます。
・専門窓口へのご相談
社内不倫のトラブルは、「会社に知られたくない」「これ以上周囲に知られず穏便に終わらせたい」というお気持ちと、「相手を許せない」「二度と会わせたくない」というお怒りが入り交さり、一人で抱え込むにはあまりにも負担が大きい問題です。
弁護士法人公的な相談窓口や弁護士会等では、ご相談者様のプライバシーに最大限配慮し、勤務先に知られるリスクを抑えた解決サポートを行っております。不倫相手への慰謝料請求から、二度と近づかせないための接触禁止特約付き示談書の作成まで、あなたの平穏な日常を取り戻すために私たちが力になります。ひとりで悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。