不倫慰謝料の内部負担割合は原則として50%ずつですが、相手が主導・主犯であった場合は修正が可能です。職場の上司部下という上下関係を利用されたケースや、執拗な誘いを断り切れなかった事情がある場合、相手側の負担割合を6割から7割以上に引き上げる主張が認められるケースがあります。
【法的主張と弁護士介入のメリット】
負担割合を引き上げるには、相手からの積極的なアプローチを示すLINE履歴やメールなどの客観的証拠の提示が不可欠です。ご自身だけで交渉すると言政を丸め込まれる恐れがあるため、弁護士を代理人に立てて法的な根拠に基づいた求償権行使・減額防衛を行うことで、納得のいく解決と実質的な金銭負担の大幅な軽減を確実に導くことができます。
不倫の慰謝料を支払った側が、もう一方の当事者に対して自身の支払った分の一部を請求する権利を求償権(きゅうしょうけん)と呼びます。
一般的に、不倫・浮気における不法行為の責任は共同責任とみなされるため、求償権の基本原則としての内部負担割合は2人で折半(50%ずつ)と考えるのが原則です。
しかし、実際の不倫トラブルでは、双方の関与の度合いに大きな差があるケースが少なくありません。
「相手から執拗に言い寄られた」「職場の上司という立場を利用されて関係を強要された」「自分は断りきれなかった」といった事情がある場合、求償権の負担割合を相手方に対して引き上げる主張を行うことで、実質的な金銭的負担を大幅に軽減できる可能性があります。
本記事では、不倫相手が主導・主犯であった場合に、どのように求償割合の修正を主張し、納得のいく解決を導くのか、法律実務の視点から詳しく解説します。
1. 求償権の負担割合における原則と修正の考え方
不倫による精神的損害を与えた場合、配偶者と不倫相手は「共同不法行為者」となります。被害者である配偶者に対しては、どちらが全額を支払っても法的には問題ありません(不真正連帯債務関係)。
しかし、不倫当事者間の内部的な関係においては、責任を公平に分配するルールが存在します。
- 原則の負担割合: 50%(折半)
- 修正の可能性: 関与の度合い、動機、社会的立場などに大きな差がある場合、一方が多くを負担するよう割合を修正できる
裁判実務においても、一方が単なる被害者側から巻き込まれた場合や、一方が圧倒的な主導権を握っていた場合などは、6:4から7:3、事案によってはそれ以上の割合で主導側の負担割合を引き上げる判断がなされることがあります。
2. 主導・主犯としての負担割合を引き上げる主な要素
不倫相手が主導・主犯であったと認められ、求償権の負担割合を引き上げるための主な判断要素には、以下のようなものがあります。
執拗なアプローチや脅迫的要素の有無
最初から最後まで相手方が猛アプローチをかけ、拒絶しているにもかかわらず執拗に連絡を送り続けた場合や、関係をバラすと脅されるような心理的圧力が存在した場合は、主導性が高く評価されます。
社会的地位や力関係(上下関係)の存在
職場の上司と部下、取引先と受注者、あるいは年齢や経済力に大きな開きがあるなど、力関係の格差を利用して関係を強要・誘導した側面がある場合は、優越的な地位を利用したとして、上位者の負担割合が重く設定されやすくなります。
不倫関係の提案・主導性
ホテルの予約を常に行っていた、旅行にしつこく誘い出した、家庭を壊すような発言を繰り返して積極的に関係を深めようとしたなど、積極的な行動の主体がどちらにあったかも重要視されます。
3. 負担割合を引き上げるための具体的な主張と立証方法
求償権の負担割合を自分に有利に修正するためには、単に「相手が誘ってきた」と口頭で主張するだけでは不十分です。客観的な証拠を揃えて、裁判官や相手方の代理人に納得させる必要があります。
LINEやメールの履歴の精査
日々のやり取りの中で、どちらが話題を振っているか、どちらが会うことを強く希望しているかを示すメッセージは有力な証拠になります。 拒絶しているメッセージ(「もう連絡しないでほしい」「家族にバレたら困る」など)が残っている場合、受動的であったことの強力な証明となります。
録音データやメモの活用
直接会った際の会話で、相手が主導していたことを認める発言や、無理強いしたことを謝罪する言葉が含まれている場合、音声データは非常に強い効力を持ちます。また、関係が始まった時期や経緯を時系列でまとめた陳述書も重要な資料となります。
4. 実際の交渉・裁判における負担割合の修正事例
法律実務において、主導性を理由に求償割合が修正されたケースは多数存在します。
例えば、職場の上司が部下である女性に対して業務上の指導を装って巧みに接近し、精神的に追い詰めて関係を持たせた事案では、慰謝料総額の内部負担割合について、上司側を70%、部下側を30%とする合意や裁判所による認定がなされたケースがあります。
このように、相手が主導・主犯であったという事実を的確に法的主張に落とし込むことで、本来自分が支払うべき割合を大幅に引き下げることが可能となります。
5. 求償権トラブルを弁護士に依頼するメリット
不倫の慰謝料問題やそれに伴う求償権の請求は、当事者同士で話し合うと感情的になりやすく、相手が主張を一切聞き入れないことが少なくありません。
弁護士を代理人に立てることで、以下のような大きなメリットがあります。
- 客観的証拠に基づいた法的主張の組み立て: 主導性を証明するための証拠選定や、過去の裁判例に基づいた適切な負担割合を算出できます。
- 相手方との直接交渉の回避: 精神的負担の大きい不倫相手との交渉をすべて弁護士が代行するため、平穏な日常生活を取り戻せます。
- 示談書・和解書の正確な作成: 求償権の放棄や負担割合の分担について、後々トラブルにならない法的に完璧な合意文書を作成できます。
求償権の負担割合について疑問や不安がある場合は、一人で抱え込まず、早い段階で男女トラブル・不倫問題に強い弁護士へご相談ください。