【弁護士による強制執行サポートのメリット】預貯金口座の差し押さえと異なり、会社に勤務している相手からは継続的かつ確実に回収できる強力な手段です。ただし、勤務先を特定するための情報収集や複雑な裁判所への申し立て手続きが必要となるため、不倫・浮気トラブルの解決実績が豊富な弁護士に依頼することで、迅速かつ確実な慰謝料回収を実現できます。
不倫慰謝料を請求したものの、相手が「支払うと言ったきり連絡が取れない」「話し合いに応じない」というケースは少なくありません。示談書を交わしても、肝心の入金がなければ被害を回復することはできません。
このような状況で非常に強力な武器となるのが、相手の勤務先から毎月の給与を差し押さえて強制的に回収する裁判手続きです。今回は、法律の専門家である夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、給与差押えの仕組みや具体的な手続きの流れを分かりやすく解説します。
なぜ「給与差押え」が不倫慰謝料回収に有効なのか
不倫慰謝料を回収するための強制執行には、いくつかの種類があります。預貯金口座、自宅にある価値のある動産、不動産、そして勤務先の給与などです。
その中でも、給与の差押えには他にはない大きなメリットがあります。それは、「継続的かつ確実な回収が期待できる」という点です。
預貯金口座を差し押さえる場合、その口座に残高がなければ1円も回収できません。また、口座情報は知っていても、残高がいくらあるかは事前に分からないため、空振りに終わるリスクがあります。
一方、会社に勤務している限り、相手には毎月必ず給与が支払われます。給与差押えの手続きを行うと、裁判所から相手の勤務先(法律用語で「第三債務者」と呼びます)に対して、毎月の給与から一定額を天引きして直接支払うよう命令が下ります。これにより、相手が支払いを渋っていたとしても、実質的に強制かつ自動的に慰謝料を回収し続けることが可能になるのです。
給与差押えで差し押さえられる金額の範囲
給与の差押えを行う際、相手の生活権を完全に奪うことは法律で禁止されています。そのため、差し押さえることができる金額には上限が定められています。
民事執行法により、給与の差押え可能額は原則として「手取り額の4分の1まで」とされています。
- 手取り額が30万円の場合:毎月最大約7.5万円を差し押さえることができます。
- 手取り額が60万円を超える場合:4分の1を超える部分(30万円を超える部分)をすべて差し押さえることが可能です。
このように、高額な慰謝料が残っている場合でも、法律の枠内で毎月少しずつ、着実に債権を回収していくことになります。
給与差押えを行うための大前提「債務名義」とは
給与を差し押さえるためには、いきなり裁判所に申し立てをすることはできません。大前提として、「債務名義(さいむめいぎ)」と呼ばれる公的な文書を取得している必要があります。
債務名義にあたる主なものは以下の通りです。
- 確定判決:裁判で勝訴した場合に得られます。
- 和解調書・調停調書:裁判所の調停や和解手続きの中で合意が成立した際に作成されます。
- 公正証書(強制執行認諾文言付き):公証役場で、慰謝料の支払いを約束し、従わない場合は直ちに強制執行を受けても異議はない旨を記載して作成した文書です。
「口頭の約束」や「個人的に作成した示談書(公正証書ではないもの)」だけでは、裁判所は給与差押えの命令を出してくれません。そのため、慰謝料請求の段階から、将来の不払いに備えて公正証書を作成しておく、あるいは弁護士を通じて法的な手続きを踏んでおくことが極めて重要になります。
勤務先を特定する方法と差押え手続きの流れ
給与差押えを成功させるためには、相手が現在どこで働いているのか、正確な勤務先の情報(会社名、所在地、代表者名)を把握している必要があります。
1. 勤務先の特定
不倫発覚当時に聞いていた会社から転職している場合や、正社員ではなくアルバイト・パート、あるいは自営業である場合、正確な勤務先を突き止める必要があります。相手のSNSや以前のやり取り、あるいは弁護士会照会などの法的な調査手法を用いて勤務先を特定します。
2. 裁判所への差押命令申立て
相手の住所地を管轄する地方裁判所に対して、「債権執行申立書」や必要な添付書類を提出します。この際、債務名義の正本や、相手の住民票、戸籍謄本などが求められます。
3. 裁判所から勤務先への通知
裁判所が申し立て内容を審査し、問題がなければ、相手の勤務先(第三債務者)および相手本人に対して「給与差押命令」が送達されます。
4. 勤務先からの直接支払・供託
命令が届いた勤務先は、原則として、本来相手に支払う給与の中から差押え額(手取りの4分の1等)を天引きし、申立人(あなた)の指定する口座へ直接振り込むか、裁判所へ供託する義務を負います。勤務先が命令を無視することは法律上許されません。
給与差押え手続きにおける注意点とリスク
給与差押えは非常に強力な手段ですが、実務上知っておくべき注意点もあります。
- 退職されるリスク:差押命令が会社に届くと、会社側から本人に対して連絡がいきます。これにより相手が職場に気まずさを感じて退職してしまうケースが稀にあります。退職してしまうと一時的に給与からの回収がストップするため、その場合は別の財産(新たな勤務先や預貯金)を探して再度差し押さえる必要があります。
- ボーナスや退職金も対象になる:給与だけでなく、賞与(ボーナス)や退職金も差押えの対象に含まれます。特に退職金はまとまった金額が動くため、一括回収できる大きなチャンスとなります。
- 書類作成の複雑さ:裁判所に提出する申立書や計算書は専門的な知識が要求されます。不備があると手続きが大幅に遅れるため、弁護士に依頼する方が確実です。
まとめ:給与差押えを検討されるなら夕陽ヶ丘法律事務所へ
不倫慰謝料を踏み倒そうとする相手に対し、勤務先の給与を差し押さえる手続きは、精神的なストレスを軽減し、確実に金銭を回収するための最も実効性の高い方法の一つです。
しかし、公正証書などの事前準備や、正確な勤務先の特定、複雑な裁判所への申し立て手続きなど、個人で進めるには高いハードルが存在します。「相手が支払いに応じてくれない」「勤務先は分かるが、どう動いていいか分からない」とお悩みの方は、一人で抱え込まずに、ぜひ一度法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。
公的な相談窓口や弁護士会等では、ご相談者様の状況に応じた最適な回収プランをご提案し、相手との交渉から裁判所手続きの代理まで、全面的なサポートを提供しております。