任意整理後の返済中に「一括返済」を求められるケース:何回滞納するとアウト?

💡 この記事のポイント(一問一答まとめ)

Q. 任意整理の和解後に返済が遅れたら、すぐ一括請求されますか?
A. 1回・数日の遅れであればすぐに一括請求されるわけではありませんが、和解条項に基づき「通算で2回分(2ヶ月分)の支払いを怠った場合」に期限の利益を喪失し、残額が一括請求されるルールが一般的です。

Q. うっかり遅れてしまった場合、どうすればいいですか?
A. すぐに弁護士に連絡してください。事前に遅れる事情と振込予定日を伝えることで、金融機関への事前連絡を行い、一括請求の回避に努めます。

任意整理の和解書にある「期限の利益喪失」とは?

任意整理の和解が成立すると、債権者と弁護士との間で「和解書(合意書)」が交わされます。

この和解書には、ほぼ例外なく「怠り約款(期限の利益喪失条項)」が記載されています。

一般的な「怠り約款」の文言基準

  • 「債務者が分割金の支払いを怠り、その遅延額が分割金2回分に達したときは、当然に期限の利益を失い、残債務全額を直ちに支払うものとする。」

つまり、合計2ヶ月分の返済金額を滞納した段階で、分割払いの権利が消滅し、残りの借金全額を一括で支払わなければならなくなるという厳格なルールです。


1回遅れた場合と2回遅れた場合の違い

  1. 1回目の遅延(数日〜1ヶ月未満の遅れ)

    すぐに一括請求にはなりませんが、遅延損害金が発生します。弁護士を通じて「いつまでに振り込めるか」を事前に連絡すれば、通常は待ってもらえます。

  2. 2回目の遅延(通算2ヶ月分以上の未払い)

    「期限の利益喪失」が適用され、債権者から残債一括請求の書面が届くほか、銀行口座の差し押さえや給与差押えなどの法的措置が進められる危険性が高まります。


返済が厳しくなった場合の対処法

病気、怪我、突然の失業、会社の減収などで任意整理後の返済が困難になった場合は、放置せずに以下の対応を行ってください。

  • 再和解(2回目の任意整理)の検討

    収入の減少事情を説明し、返済期間をさらに引き延ばして月々の支払額を減らす「再和解」の交渉を行います。

  • 個人再生・自己破産への切り替え

    どうしても分割返済の継続が不可能な場合は、裁判所の手続きである個人再生(元金最大8割カット)や自己破産(全額免除)へ切り替えることで生活を立て直します。

期限の利益喪失による「一括請求」の恐ろしさ

任意整理で合意した「期限の利益(分割で支払ってもよいという権利)」は、非常に強力な権利であると同時に、約束を破るとすぐに失われてしまう厳しい側面も持っています。通算で2回分(2ヶ月分)の支払いを怠り、期限の利益喪失条項に抵触してしまうと、債権者は直ちに残金の一括請求に踏み切ります。この段階になると、単なる電話や手紙での督促にとどまらず、裁判所を通じた給与や預金口座の差し押さえ(強制執行)に発展するリスクが跳ね上がります。給与が差し押さえられれば、勤務先の会社にも借金滞納の事実が知れ渡ってしまい、社会的信用や生活基盤に深刻なダメージを与えかねません。そのため、「2ヶ月の滞納」は絶対に避けなければならないデッドラインと言えます。

万が一支払いが遅れそうな時の「正しい初動」

どれだけ計画的に返済を続けていても、急な病気やケガ、予期せぬリストラなどによって、どうしても支払いが遅れてしまう事態は起こり得ます。そんな時、絶対にやってはいけないのが「業者からの連絡を無視すること」と「何の連絡もせず放置すること」です。もし支払いが遅れることが分かった場合は、返済期日が来る前に、必ず任意整理を依頼した弁護士、または直接債権者に連絡を入れてください。「いつまでなら支払えるのか」「なぜ遅れるのか」を誠実に伝えることで、1回程度の遅延であれば、一括請求を保留して待ってもらえるケースがほとんどです。

返済不能に陥った場合の「再和解」と「自己破産」

失業などで収入が激減し、数ヶ月待ってもらっても返済の目処が立たない場合は、抜本的な解決策を取り直す必要があります。一つは、債権者と再度交渉して月々の返済額を下げる「再和解」です。ただし、再和解は初回の任意整理よりも交渉が難航しやすいため、専門的な知識が必要です。どうしても分割返済が不可能な場合は、「個人再生」や「自己破産」といった裁判所を通じた手続きへの切り替え(方針変更)を検討します。方針を変更すれば、借金の大幅な減額や全額免除が認められ、生活を根底から立て直すことが可能です。

夕陽ヶ丘法律事務所では、任意整理後の返済が苦しくなってしまった方からのご相談も受け付けております。手遅れになって一括請求や差し押さえを受ける前に、無理をして滞納を隠さず、速やかに当事務所の無料相談までご連絡ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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