💡 この記事のポイント(一問一答まとめ)
Q. 自己破産をすると、将来もらえる予定の退職金も全額没収されますか?
A. いいえ、全額没収されるわけではありません。退職時期(すでに退職しているか、近い将来退職予定か、当面退職予定がないか)によって評価額の計算割合が大きく異なります。
自己破産における退職金の3つの評価基準
退職金支給請求権は「将来の財産」とみなされるため、自己破産において一定の評価額が破産財団の処分対象となります。
具体的には、退職時期に応じて以下の基準で計算されます。
1. 近い将来も退職する予定がない場合(定年まで長期間ある場合)
現時点で仮に自主退職した場合の退職金試算額(退職金見込額)の「8分の1(1/8)」が財産価値として評価されます。
- 例:退職金見込額が 800 万円の場合 ➔ 800万 × 1/8 = 100 万円が評価額
2. 近い将来(1〜2年以内)に退職予定がある、または退職間近の場合
退職金見込額の「4分の1(1/4)」が評価額となります。
3. すでに退職して退職金を受領済み、または受領直前の場合
すでに口座に振り込まれた退職金は「預貯金」扱いとなり、受領前のものは「退職金支給請求権」として、原則として全額が処分の対象となります。
退職金の処分を回避して手元に残す方法
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評価額(8分の1)が20万円以下の場合
退職金の見込額が160万円以下であれば、1/8評価額が20万円以下となるため、自由財産として全額処分の対象外(手元残し可能)となります。
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自由財産の拡張申立て
評価額が20万円を超えていても、他の財産(預金や車など)が少ない場合、裁判所に「自由財産の拡張」を申し立てることで、退職金を処分せずに済むケースがあります。
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実際に会社を辞める必要はありません
破産したからといって会社を退職させられることはありません。評価額に相当する現金(例:100万円)を自由財産の範囲や分割等で準備・納付できれば、退職金見込額を維持したまま破産手続きを終えられます。
退職金と自己破産の深い関係
長年勤めた会社から将来もらえるはずの退職金は、自己破産において「財産」として扱われます。しかし、「自己破産すると退職金をすべて没収される」「会社を辞めさせられる」という誤解が広く蔓延しています。ここでは、退職金と自己破産の正しい法務知識について解説します。
自己破産しても会社を辞める必要はありません
最も重要なポイントとして、自己破産をしたからといって、現在の職場を退職しなければならない法的義務は一切ありません。退職金はあくまで「将来受け取る予定の財産」として評価・計算されるだけであり、実際に退職して現金を用意するよう裁判所から強制されることはありません。
退職金の評価額はどう決まるのか
裁判所は、退職金の財産価値を「退職時期」に応じて以下の割合で計算します。
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当面退職する予定がない場合:現在の退職金見込額の「8分の1」
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近いうちに退職予定がある場合:現在の退職金見込額の「4分の1」
たとえば、将来の退職金見込額が160万円で、まだ当面退職する予定がない場合、その8分の1である「20万円」が財産として評価されます。評価額が20万円以下であれば「自由財産」の枠内に収まるため、実質的に処分される財産はゼロとなり、何の影響もなく手続きを終えることができます。
評価額が20万円を超える場合の対処法
仮に退職金見込額が800万円あり、8分の1の評価額が「100万円」となった場合はどうなるのでしょうか。この場合でも会社を辞める必要はありません。評価額相当の100万円を、毎月の給与や親族からの援助などで少しずつ積み立てて裁判所(破産管財人)へ納めることで、退職金の権利をそのまま守ることができます。
退職金見込額証明書の取得について
自己破産の手続きでは、退職金の額を証明するために会社から「退職金見込額証明書」を発行してもらう必要があります。「証明書を頼むと自己破産が会社にバレるのでは」と心配される方も多いですが、「住宅ローンの審査で必要になった」など、他の理由を伝えて取得することが一般的です。
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