💡 この記事のポイント(一問一答まとめ)
Q. 会社の取締役ですが、個人の借金で自己破産すると役員をクビになりますか?
A. 法律上、破産手続開始決定と同時に会社との委任契約が終了するため一度「退任」することになります。しかし、株主総会で改めて決議を行えば、破産手続き中であってもすぐに取締役に「再任」することが可能です。
会社役員が個人の自己破産をする際の影響
会社の経営状態は悪くないものの、過去の個人的な投資の失敗や保証債務などによって、会社役員(取締役など)個人が自己破産を検討しなければならないケースがあります。 「自分が自己破産すると、役員をクビになり、会社を辞めなければならないのか?」と懸念される方は多いですが、適切な法的手続きと会社(株主)の理解があれば、引き続き役員として経営に携わることは十分に可能です。
破産手続開始による「当然退任」のルール
まず法律上の大原則として、株式会社の取締役や監査役が自己破産を申し立て、裁判所から「破産手続開始決定」が出されると、その役員は会社を一度「退任(クビ)」することになります。 これは、会社法および民法において、会社と役員の関係は「委任契約」とされており、「受任者(役員)が破産手続き開始の決定を受けたこと」が委任契約の終了事由(民法第653条)と定められているためです。会社側の意向に関わらず、法律上自動的に退任扱いとなり、役員変更の登記手続きが必要になります。
株主総会の決議で「再任」が可能
では、一度退任したら二度と役員に戻れないのかというと、決してそうではありません。 実は、平成18年の会社法改正により、「自己破産をしたこと(破産者であること)」は取締役の欠格事由から外れました。つまり、自己破産の手続き中であっても、あるいは免責が確定した後であっても、法律上は取締役になる資格を失っていないのです。 したがって、開始決定によって一度退任した直後に、臨時株主総会を開催し、株主の過半数の賛成を得て「改めて取締役に選任する(再任)」という決議を行えば、すぐに役員として復帰することができます。オーナー社長(自身が全株式を保有している場合)や、他の株主の理解が得られている状況であれば、この再任手続きは非常にスムーズに行えます。
実務上の注意点:登記とタイミング
役員が破産し再任する一連の流れにおいて、最も注意すべきは「法務局への登記手続き」です。 「退任」と「再任」の事実が発生した日から2週間以内に、役員変更の商業登記を行わなければなりません。この手続きを怠ると過料(罰金のようなもの)を科される恐れがあります。 また、外部の株主や取引先、メインバンクに対して、個人的な破産が会社の業務や信用に影響を与えないことを誠実に説明し、理解を得ておくことも、経営を継続する上で不可欠なプロセスとなります。
専門家と連携した慎重な舵取りを
役員個人の自己破産は、会社法上の手続きと密接に絡み合うため、一般個人の破産以上に慎重かつ綿密なスケジューリングが求められます。
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