「無料の更新手続き」という言葉に隠された恐ろしい罠
「以前の無料期間が終了するので、無料のまま更新するための確認書です」 「簡単な確認のサインと社判を押して返送するだけで、料金は一切かかりません」
このような甘い言葉で電話があり、届いた書類に言われるがまま押印して返送してしまった……。経営者や採用担当者の方から、こうした相談が後を絶ちません。悪質な求人広告業者や無料求人商法を行う事業者は、あの手この手で警戒心を解き、無料更新確認書と称する巧妙な書面にハンコを押させようとします。
しかし、その書面の実態は、無料期間の延長ではなく、高額な有料プランへの自動更新や、途中解約を不当に制限する違約金規定が巧妙に隠された「有料の申込書」であることがほとんどです。手元に控えがないまま書類を返送してしまい、数日後に高額な請求書が届いて青ざめるという被害が急増しています。
届いた書面が「有料契約」に変貌する手口
なぜ、「無料」と聞いていたはずなのに、後になって高額な請求が発生してしまうのでしょうか。そこには悪質業者が仕組む典型的な手口が存在します。事業者が騙されてしまう背景には、以下のような巧妙なカラクリがあります。
- 電話口では「無料」を強調し、契約書の不利な条項について一切説明しない
- 送られてくる書面の表面には「確認書」「継続手続」とだけ大きく記載し、有料への切り替わりを視覚的に分かりにくくする
- 小さな文字(マイクロ文字や裏面約款)に「1年間の自動更新」「解約時は残期間分全額一括払い」といった高額なペナルティ条項を仕込んでいる
このような手口で締結させられた書面は、一見すると有効な契約に見えるため、経営者は「自分がハンコを押してしまったから支払うしかない」と諦めがちです。しかし、法律上、事業者を欺くような説明不足や錯誤(勘違い)を誘発して締結させた契約は、その効力を争う余地が十分にあります。
「ハンコを押してしまった」後に取るべき初動対応
もし、無料更新のつもりでトラブルの書面に署名・捺印し、高額な請求や督促の電話に悩んでいるのであれば、パニックにならずに冷静かつ迅速な対応が求められます。事業者が直ちに行うべきステップは以下の通りです。
書面と通話記録の保全
まず、相手から送られてきた書面の控え、封筒、そしてもし残っていれば着信履歴やボイスレコーディングなどの証拠をすべて確保してください。「無料だと言われた」というやり取りの事実が、後の交渉において強力な武器になります。
業者からの電話には安易に約束しない
「払わないと法的措置をとる」「弁護士に引き継ぐ」などと威圧的な電話がかかってくることがありますが、その場で口頭の和解や支払い約束をしてはいけません。「確認中です」「事実関係を精査しています」とだけ答え、安易に債務を認める発言をしないことが鉄則です。
弁護士などの専門家に相談する
事業間取引であっても、不実告知や公序良俗違反、消費者契約法の趣旨に照らした不当条項など、法的アプローチから請求を無効化できる可能性は十分にあります。自社だけで対応せず、求人広告トラブルに強い弁護士に早期に介入を依頼することで、悪質な督促をストップさせることが可能です。
「無料更新確認書」の罠に気づいたら、泣き寝入りして支払う前に、まずは専門家への相談を検討してください。正しい法的知識と毅然とした対応こそが、不当な請求から会社を守る唯一の盾となります。