悪質な求人広告詐欺や無料求人商法をめぐるトラブルにおいて、相手方業者から突然裁判所の判決や支払督促(仮執行宣言付)が届き、青ざめる経営者の方は少なくありません。
裁判を起こされて敗訴した場合や、異議を申し立てる機会を逸して「仮執行宣言」が付された場合、業者は会社の預金口座や売掛金、動産などを差し押さえる強制執行の段階へと進むことができます。
しかし、たとえ判決が出ていたとしても、適正な法的手続きを踏むことで差し押さえをストップさせる方法があります。それが執行停止の申し立てです。この記事では、求人広告トラブルにおける仮執行宣言付き判決等の効力を止め、会社を守るための実務について解説します。
「仮執行宣言」とは何か?差し押さえの危機
求人広告の掲載料やキャンセル料を巡るトラブルで、業者が裁判所に訴訟や支払督促を申し立てた場合、十分な反論ができずに敗訴すると仮執行宣言付き判決や仮執行宣言付支払督促が下されることがあります。
仮執行宣言とは、確定判決を待たずとも、「この裁判の結果に基づき、すぐに強制執行(差し押さえ)をしてもよい」というお墨付きを債権者(業者)に与えるものです。
差し押さえが会社に与える深刻なダメージ
業者がこの仮執行宣言を盾に強制執行を申し立てると、以下のような事態が急激に進行します。
- 取引先からの売掛金が差し押さえられ、キャッシュフローが回らなくなる
- メインバンクの預金口座が凍結され、従業員の給与支払いや仕入先への支払いに支障が出る
- 会社の社会的信用が失墜する恐れがある
「裁判で負けたからもう打つ手はない」と諦めてしまう経営者がいますが、実はまだ法的な防衛策残されています。それが控訴(または支払督促の異議)と執行停止の手続きです。
判決直後の強制執行を止める「執行停止」の手続き
仮執行宣言による差し押さえを防ぐためには、単に「不服だ」と主張するだけでは足りません。裁判所に対して、強制執行を一時的に止めてもらうための執行停止の申し立てを行う必要があります。
執行停止の要件と実務の流れ
執行停止の申し立てを行うには、原則として以下のステップと条件を満たす必要があります。
- 第一審の判決に対して適法に控訴を行っていること(支払督促の場合は異議申し立てが適法になされていること)。
- 裁判所に対して、一定の担保金(供託金)を法務局に差し入れること。
控訴を提起しただけでは、自動的に差し押さえが止まるわけではありません。必ず控訴裁判所に対して「強制執行停止の申し立て」という独立した申し立てを行う必要があります。
担保金(供託金)の負担と実務上の注意点
執行停止の申し立てにおいて最もハードルとなるのが、担保金の供託です。
裁判所は、執行を止めることによって債権者(業者)が被るかもしれない不利益(回収が遅れるリスクなど)をカバーするため、債務者(会社)に対して現金等の担保金を法務局へ供託することを命じます。
担保金の金額と準備
担保金の額は、請求されている金額(訴額や判決認容額)の全額、あるいは裁判所が相当と認める一部の金額となることが多く、まとまった資金を用意しなければならないケースがほとんどです。
- 資金繰りが厳しい中小企業にとって、担保金の用意は大きな負担となります。
- しかし、預金全額や主要な売掛金が差し押さえられる致命的なダメージに比べれば、一時的な資金手当てをしてでも執行を止める価値は十分にあります。
- 執行停止の決定が出れば、業者は差し押さえを進めることができなくなり、その間に高圧的な請求や悪質な契約の不当性を上級審で争う時間が確保できます。
求人広告トラブルは弁護士と早急な連携を
求人広告詐欺や悪質な無料求人商法を行う業者は、法的手段をちらつかせて迅速に回収を図ろうとします。裁判所からの特別送達や支払督促が届いた時点で放置してしまうと、取り返しのつかない強制執行に発展してしまいます。
仮執行宣言付きの書類が届いた、あるいはすでに差し押さえの危機に直面しているという場合は、一刻も早く求人広告トラブルに精通した弁護士にご相談ください。
弁護士が代理人となることで、控訴の手続きや迅速な執行停止の申し立て、さらには悪質業者との和解交渉や不当な請求の減額交渉を有利に進めることが可能です。会社の資産と信用を守るため、まずは専門家へ直ちに連絡を入れましょう。