営業マンからの「お試し期間終了のアナウンス」がなかったことの証明方法とは
求人広告の営業マンから「最初は無料のお試し期間です」「期間内に連絡しなければ自動的に有料プランに移行します」と言われて契約したものの、実際には終了間際のアナウンスが一切なく、気付いた時には高額な請求書が届いていたというトラブルが後を絶ちません。
経営者や担当者の方から「アナウンスがなかったことをどうやって証明すればいいのか」というご相談をよく受けますが、結論から申し上げますと、「通知がなかったことの証明」をこちらでする必要は法律上ありません。
本記事では、無料求人商法や悪質な求人広告トラブルにおける立証責任の所在と、事業者側が優位に立てる具体的な交渉術について、弁護士の視点から詳しく解説します。
「ないこと」の証明は不要!法律上の立証責任とは
契約トラブルにおいて、広告会社側は「おわり期間の前にきちんと電話でアナウンスした」「メールでリマインドを送った」と主張してくることがよくあります。これに対し、中小企業の経営者などは「そんな連絡は一切受けていない」と反論しますが、ここで相手から「受けていないという証拠を出してください」と丸投げされるケースがあります。
しかし、法律上の原則として、何かが「存在しなかったこと(消極的事実)」を証明するのは極めて困難です。これを悪用した相手のペースに乗ってはいけません。
民事上の法理において、権利を主張する側(ここでは「契約が自動更新されて料金が発生した」と主張する求人広告会社)が、その要件を満たした事実を証明する責任を負います。つまり、「お試し期間終了のアナウンスをした」という事実を証明する責任は、すべて広告会社側にあるのです。
相手側に記録がない!発信・送信履歴の開示を迫る交渉術
相手が「電話でアナウンスした」と主張する場合、その主張を崩すための有効な手段が、相手側における発信・送信履歴の開示要求です。
実務上の交渉では、以下のようなアプローチが非常に効果的です。
- 担当営業マンからの連絡が本当にあったのか、社内の通話履歴やシステムログの提示を文書で求める。
- 「いつ、何時何分に、誰から誰宛てに、どのような内容の案内をしたのか」の具体的なログを示すよう要求する。
- もしメールで案内したというのであれば、その送信控え(ヘッダー情報を含む)の開示を求める。
悪質な業者の場合、実際には社内管理がずさんでリマインドの電話を掛け忘れていたり、システム上の自動送信メールが届いていなかったりするケースが多々あります。こちらから毅然とした態度で客観的な証拠(ログ)の提示を求めると、相手側が具体的な証拠を出せず、請求を引っ込めざるを得なくなることが少なくありません。
トラブルを防ぎ、不当請求を退けるための実務的対応
万が一、悪質な求人広告の事業者から高額な請求やしつこい電話督促に悩まされている場合は、感情的に言い争うのではなく、冷静に記録と書面を活用して対応することが重要です。
電話での口頭のやり取りだけで交渉を進めると、後々「言った・言わない」の水掛け論に発展してしまいます。今後はすべてのやり取りをメールや書面など、文字として残る形(記録)でおこなうように徹底してください。
もし「お試し期間終了のアナウンスがなかったこと」を理由に契約の無効や合意解約を主張したい場合は、相手側に「通知義務を果たしていないことの法的責任」を突きつける必要があります。自分たちの対応に不安がある場合や、相手の取り立てがエスカレートして業務に支障が出ている場合は、一人で抱え込まず、求人広告詐欺や事業者間トラブルに精通した弁護士に早めにご相談ください。プロが代理人として介入することで、早期の解決が期待できます。