自己破産で「処分される財産」と「手元に残せる財産(自由財産)」の基準

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、利息制限法、破産法、民事再生法、および多数の債務整理(任意整理・過払い金回収・個人再生・自己破産)の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 自己破産をすると家や車などの財産はすべて没収されてしまうのですか?生活に必要なものまで失うのが不安です。
A 【財産保護の基準】いいえ。破産法で定められた「自由財産」として、99万円以下の現金、生活必需品のほか、評価額が20万円以下の預貯金・車・生命保険などは処分されずに手元に残すことができます。
【生活再建のメリット】弁護士に依頼して速やかに法的手続きを進めることで、借金の全額免除を受けつつ、最小限の生活財産を守りながら安全に生活を立て直すことが可能です。

自己破産で保護される「自由財産」の4つの種類

破産法において、破産者の今後の生活再建を守るために手元に残すことが認められている財産を「自由財産」と呼びます。

  1. 新得財産(しんとくざいさん)

    破産手続き開始決定あとに取得した給与や財産。

  2. 差押禁止財産(さしおさえきんしざいさん)

    生活に必要な家具、衣服、寝具、家電製品、1ヶ月分の食料・燃料など。

  3. 99万円以下の現金

    タンス預金や手元にある現金のうち、総額99万円まではそのまま保持できます。

  4. 自由財産の拡張(裁判所の運用基準)

    裁判所ごとに定められた基準(例:大阪地裁・東京地裁等)に基づき、以下の資産で評価額が20万円以下のものは処分の対象外とされます。

    • 評価額が20万円以下の自動車
    • 預貯金残高(合計20万円以下)
    • 解約返戻金見込額が20万円以下の生命保険
    • 敷金返還請求権など

処分対象となる財産(換価処分されるもの)

逆に、以下の高額資産は破産管財人によって売却・換価され、債権者へ分配されます。

  • 不動産(持ち家・土地・マンション)

  • 評価額20万円を超える自動車

  • 合計20万円を超える預貯金や株券・投資信託

  • 解約返戻金が20万円を超える生命保険(解約される)

  • 見込額が高額となる退職金支給請求権(※一定割合)

自己破産で失う財産と守れる財産の境界線

自己破産を検討される方の多くが、「家も車も、預金もすべて取り上げられてしまうのではないか」と不安を抱かれます。しかし、自己破産は債務者を経済的に立ち直らせるための制度であり、生活基盤までを奪うようなことは法律で禁止されています。

自由財産とは何か

自由財産とは、自己破産の手続きにおいて「処分されずに手元に残すことができる財産」のことを指します。99万円以下の現金をはじめ、生活に欠かせない家具や家電、衣類などの日用品は、基本的にすべて手元に残すことができます。これらは「差押禁止財産」として法律で強力に保護されており、債権者への配当(支払い)に充てられることはありません。

裁判所による「自由財産の拡張」

さらに、実務上では「自由財産の拡張」という制度が運用されています。現金以外の財産(預貯金や自動車、生命保険の解約返戻金など)であっても、個別の財産評価額が20万円以下であれば、原則として処分の対象から外されます。例えば、長く乗っていて市場価値がほとんどない古い自動車や、残高が数万円の預金口座などは、そのまま維持できる可能性が高いです。

処分されてしまう財産について

一方で、評価額が20万円を超えるような価値のある自動車や、マイホーム(不動産)、高額な解約返戻金がある生命保険などは、破産管財人によって現金化(換価処分)され、債権者に公平に分配されます。 マイホームを手放すことになった場合でも、すぐに追い出されるわけではなく、退去までの猶予期間が設けられることが一般的です。また、どうしても手元に残したい車や保険がある場合は、親族の援助などでその評価額相当の現金を裁判所に納めることで、現物を維持できるケースもあります。

専門家による正確な財産評価が重要です

ご自身が現在お持ちの財産が、自由財産として残せるのか、それとも処分の対象になるのかを自己判断するのは非常に困難です。地域ごとの裁判所の運用基準(ローカルルール)も影響するため、専門知識を持った弁護士による正確な査定が不可欠となります。

夕陽ヶ丘法律事務所では、借金問題に関する無料相談を受け付けています。一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

TOP