自己破産しても「支払わなければならない税金や慰謝料」:非免責債権の正体

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、利息制限法、破産法、民事再生法、および多数の債務整理(任意整理・過払い金回収・個人再生・自己破産)の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 自己破産をすれば、滞納している税金や養育費、過去の不法行為による損害賠償もすべて免除されますか?
A 【非免責債権の概要】いいえ。破産法第253条第1項により、税金、国民健康保険料、養育費、悪意の不法行為に基づく損害賠償などは「非免責債権」に指定されており、自己破産の手続きで免責許可が下りても支払い義務が残り続けます。
【生活再建と弁護士相談のメリット】借金の大半が免除されることで生活基盤を立て直し、残った非免責債権についても、弁護士に相談することで役所や債権者との分割払いの交渉(猶予手続き)をスムーズに行うことが可能です。まずは専門家に収支状況を伝え、最適な解決策を見出すことをお勧めします。

自己破産でも消えない「非免責債権」の一覧

  1. 租税等の請求権(国税・地方税・国民健康保険料・年金など)

  2. 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(詐欺や暴行など)

  3. 故意または重大な過失により他人の生命・身体を害した損害賠償請求権(交通事故等)

  4. 夫婦間の婚姻費用や、子供の「養育費」

  5. 破産者が悪意で債権者名簿に記載しなかった請求権(隠した借金)

  6. 罰金・科料・追徴金

自己破産をしても消えない「非免責債権」とは

自己破産の最大のメリットは、裁判所の免責決定によって「すべての借金の支払い義務が免除される(ゼロになる)」ことです。しかし、どんな債務でも無条件に消滅するわけではありません。破産法には、社会的な正義や公共の利益、あるいは被害者保護の観点から「自己破産をしても絶対に支払わなければならない債務」が規定されています。これを「非免責債権(ひめんせきさいけん)」と呼びます。

代表的な非免責債権の種類

1. 税金や公的保険料(租税等の請求権) 所得税、住民税、固定資産税、自動車税などの各種税金や、国民健康保険料、国民年金保険料などは自己破産をしても一切免除されません。国や自治体の運営に関わる重要な財源であるため、法的に最も強力に保護されています。

2. 悪意または重大な過失による損害賠償 他人に意図的に怪我をさせた(暴行・傷害)、詐欺を働いたなど、「悪意で加えた不法行為」に基づく損害賠償金は免除されません。また、飲酒運転や著しいスピード違反など「故意または重大な過失によって他人の生命・身体を害した」場合の交通事故の慰謝料・損害賠償も支払いが残ります。

3. 家族間の扶養義務に基づく支払い 離婚後の子供の「養育費」や、別居中の配偶者へ支払う「婚姻費用」は、家族の生活を保障するための重要な権利であるため、自己破産をしても消滅しません。滞納している過去の分も含めて、支払い義務は継続します。

4. 罰金や科料 刑事罰として科せられた罰金や交通違反の反則金なども、国家刑罰権の行使であるため免除の対象外となります。

非免責債権への正しい対処法

税金や養育費の滞納がある場合、「自己破産しても意味がないのではないか」と諦めてしまう方がいらっしゃいますが、それは間違いです。消費者金融やクレジットカードなどの「一般の借金」を自己破産で完全にゼロにすることで、毎月の返済に充てていた資金が浮きます。その浮いたお金を、税金の分割納付や養育費の支払いに回すことで、生活を根本から立て直すことが十分に可能です。

滞納問題も含めて総合的にサポートします

税金の滞納を放置すると、給与や預金口座が突然差し押さえられる危険があります。まずは一般債務を整理し、役所と分納の相談をすることが解決の糸口となります。

夕陽ヶ丘法律事務所では、借金問題に関する無料相談を受け付けています。一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

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