自己破産の直前に「特定の債権者(親や知人)」だけに返済することの重大なリスク

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、利息制限法、破産法、民事再生法、および多数の債務整理(任意整理・過払い金回収・個人再生・自己破産)の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 自己破産する前に、親や友人からの借金だけを返済してしまうと、どのような罰則やデメリットがありますか?
A 【偏頗弁済のペナルティ】特定の債権者だけに優先して返済する行為は偏頗弁済とみなされ、借金がゼロにならない免責不許可事由に該当するほか、親や友人に渡したお金が破産管財人によって強制的に回収・没収される否認権の行使や、手続きの負担が増大する重大なリスクがあります。
【弁護士への早期相談のメリット】不適切な返済を行ってしまう前に弁護士へご相談いただくことで、全ての債権者を平等に扱う適切な法的手続きの指示を受けられるだけでなく、迅速な受任通知の送付によってすべての借金の督促を即座に止め、安全かつ確実な生活再建へのサポートを受けることができます。

「偏頗弁済(へんぱべんさい)」が禁じられる理由

自己破産手続きでは、すべての債権者を平等に扱う「債権者平等の原則」が適用されます。

「消費者金融には破産で踏み倒すけれど、お世話になった親や友人、勤務先には申し訳ないから先に返しておく」という行為は、他の債権者の権利を不当に害するため、破産法上厳しく禁じられています。

偏頗弁済を行った場合の3つのペナルティ

  1. 免責不許可事由に該当する(借金がゼロにならない危険性)

  2. 破産管財人による「否認権(ひにんけん)の行使」(親や友人に渡したお金が管財人によって強制的に回収・没収されます)

  3. 手続きが同時廃止から「管財事件」へ変更され、費用が高額になる

特定の相手だけへの返済「偏頗弁済」の危険性

自己破産を決意した方の中には、「消費者金融の借金は諦めるけれど、親から借りたお金や、お世話になった友人への借金だけは先に返しておきたい」「勤務先からの前借りだけは給料から引いて清算したい」と考える方が非常に多くいらっしゃいます。 人情としては十分に理解できるお気持ちですが、自己破産の手続きにおいてこの行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、法律で固く禁じられている非常に危険な行為です。

なぜ一部への返済が禁止されているのか

自己破産の手続きには「債権者平等の原則」という絶対的なルールがあります。すべての債権者(お金を貸している人や会社)は、その債権額に応じて平等に扱われなければなりません。 ある特定の債権者(親や友人など)にだけ優先して借金を返すことは、他の債権者(カード会社など)が本来受け取れるはずだった配当財産を不当に奪うことになり、公平性を著しく損なうため禁止されています。

偏頗弁済をしてしまった場合の重大なペナルティ

万が一、弁護士に相談する前や破産手続きの直前に偏頗弁済を行ってしまった場合、以下のような厳しいペナルティが課される可能性があります。

1. 免責が不許可になるリスク 偏頗弁済は破産法で定められた「免責不許可事由」に該当します。悪質と判断された場合、せっかく自己破産の申し立てをしても借金がゼロにならないという最悪の事態を招く恐れがあります。

2. 破産管財人による「否認権」の行使 裁判所によって選任された破産管財人は、不当な財産流出を取り消す「否認権」を持っています。つまり、あなたが親や友人に返したお金は、管財人から親や友人に直接「不当な返済なので返還してください」と請求し、強制的に没収されてしまうのです。迷惑をかけまいとした行為が、結果的に相手を裁判所のトラブルに巻き込むことになります。

3. 手続き費用が高額になる 本来なら安価で早く終わる「同時廃止」で済んだ事案でも、偏頗弁済の調査のために「管財事件」に移行する可能性が高くなります。これにより、裁判所への予納金(約20万円以上)が追加で必要になり、手続き期間も長引いてしまいます。

借金問題はすべて弁護士にお任せください

自己破産を検討し始めたら、ご自身の判断で誰かに借金を返済したり、財産を動かしたりするのは絶対にやめてください。すべての債権者に対する支払いを一旦ストップし、速やかに専門家の指示を仰ぐことが解決への唯一の近道です。

夕陽ヶ丘法律事務所では、借金問題に関する無料相談を受け付けています。一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

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