【法的手続きのメリット】弁護士に任意整理を依頼し受任通知が発送された時点で、後払いアプリの度重なる督促や取り立ては即座に停止します。裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、将来利息をカットした上で原則3〜5年の無理のない分割返済へと和解できるため、生活再建に向けた確実な一歩を踏み出すことができます。
近年、手軽に利用できる決済手段として急速に普及している後払いアプリやBNPL(Buy Now, Pay Later)決済ですが、使いすぎて支払いが困難になった際に債務整理の対象とするケースが増えています。ここでは、後払いアプリやBNPL決済を任意整理した場合に、個人の信用情報機関(CICやJICCなど)へどのような影響があるのか、実務上の観点から詳しく解説します。
後払いアプリ・BNPL決済と個人信用情報の関係
後払いアプリやBNPL決済は、提供する事業者(信販会社、資金移動業者、消費者金融など)の性質によって、加盟している個人信用情報機関が異なります。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー):主に信販会社や百貨店系カード会社、携帯キャリアなどが加盟しています。多くのキャリア決済や一部の後払いサービスがここに属します。
- JICC(株式会社日本信用情報機構):主に消費者金融や流通系・IT系の金融サービス、一部の保証会社などが加盟しています。
- KSC(全国銀行個人信用情報センター):主に銀行系の保証を受けるサービスや、銀行本体が関与する決済で利用されます。
すべての後払いアプリが信用情報機関に加盟しているわけではありませんが、信販会社が裏面で保証しているサービスや、貸金業登録を行っている事業者が提供する決済サービスは、ほぼ確実にいずれかの信用情報機関に登録されています。
任意整理をした場合の「事故情報(異動情報)」の登録
任意整理を行うと、対象とした後払いアプリの利用履歴に事故情報(異動情報)が登録されます。これは、契約通りの返済ができなくなったことや、債務整理(法的な減免手続き)を行ったことを示すマークです。
事故情報が登録されるタイミングは、弁護士や司法書士が債権者に対して受任通知を発送し、任意整理の手続きが開始された時点、あるいは和解後の返済遅延などが生じた時点など、事業者や信用情報機関の規定によって異なります。
事故情報が登録される期間
任意整理における事故情報は、一般的に以下の期間にわたって保持されます。
- 任意整理の和解契約に基づいて、すべての借入金を完済した日から約5年
- 破産や個人再生を選択した場合は、手続き開始決定から約5年〜7年(官報掲載等を含む)
つまり、任意整理を選択した場合、和解した後の分割払いを完済するまでの期間と、完済してからさらに5年間は、信用情報に事故情報が残り続けることになります。
信用情報に事故情報が載ることで生じる影響
後払いアプリの任意整理によって信用情報に事故情報が登録されると、日常生活や経済活動において以下のような制限が生じます。
- 新たなクレジットカードの作成・更新ができない:審査に通らなくなるため、既存のカードも含めて利用停止や更新拒否となる可能性が高いです。
- 新たな借入やローンの利用が制限される:住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、フリーローンなどの新規契約が難しくなります。
- 別の後払いアプリ・キャリア決済の利用停止:信用情報のクレンジングが行われるため、事故情報登録中に他の後払いサービスや携帯電話の分割購入審査に影響が出る場合があります。
- 賃貸住宅の保証会社審査への影響:信販系保証会社を利用する賃貸物件の場合、家賃の保証審査に通過しづらくなることがあります。
なお、日常の買い物で使用するデビットカードや、口座から即時引き落としされるプリペイドカード、現金決済などは信用情報の審査を伴わないため、事故情報が登録されても引き続き利用可能です。
実務上の注意点と事前の確認事項
後払いアプリを任意整理の対象に含める場合、どのアプリがどの信用情報機関に加盟しているかを正確に把握しておくことが重要です。
一部の後払いアプリでは、アプリ運営会社自体は信用情報機関に加盟していなくても、裏側で提携している信販会社がCIC等に加盟しているケースが多く見られます。「アプリだから信用情報には関係ないだろう」と安易に考えて任意整理を行うと、予期せぬところで信用情報に影響が及ぶ可能性があります。
また、任意整理は特定の債権者を選んで手続きから外すことができるため、「信用情報への影響を最小限に抑えたい」という理由で特定のアプリを手続きから除外したいと考える方もいます。しかし、債務整理を行う際はすべての債権者を公平に扱うべきという原則(債権者平等の原則)や、偏頗弁済(特定の債権者だけに優先して返済すること)のリスクを考慮しなければなりません。
後払いアプリやBNPL決済の利用残高が膨らみ、毎月の返済が生活を圧迫している場合は、信用情報への影響の期間や範囲を正しく理解した上で、全体の収支バランスを見据えた適切な債務整理の選択を行うことが肝要です。