【生活再建と専門家への相談メリット】競売開始決定通知が届いた後に放置すると強制退去となってしまいますが、一刻も早く弁護士に相談し個人再生と競売中止命令の手続きを進めることで、債権者からの督促や差押えを法的に食い止め、自宅とこれからの生活を守りながら確実に借金問題を解決することができます。
住宅ローンを滞納し、債権者による担保権実行の申し立てがなされると、裁判所から「競売開始決定通知」が送られてきます。この通知が届くと、多くの人は「いよいよ自宅を追い出されてしまう」と絶望してしまいます。
しかし、まだ諦める必要はありません。法的な手続きを適切に進めれば、自宅を手放さずに生活を立て直す道が残されています。その強力な武器となるのが、個人再生手続きと競売中止命令の組み合わせです。
競売開始決定通知が届いたときの法的状況
競売開始決定通知が届いたということは、債権者(銀行や保証会社など)が裁判所に対して担保権実行競売を申し立て、それが受理された状態を意味します。
この通知が届いた時点から、債務者は自宅を勝手に売却することができなくなります(差し押えの効果が発生するため)。このまま放置して競売の手続きが進んでしまうと、自宅は強制的に競売にかけられ、最終的には立ち退きを余儀なくされます。
しかし、住宅ローンの返済が苦しい場合であっても、他の一般借金(カードローンや消費者金融、クレジットなど)の負担が大きいために住宅ローンまで手が回らなくなっているケースが多く見られます。このような状況で極めて有効な選択肢となるのが、裁判所を利用した債務整理手続きである個人再生です。
個人再生における「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」とは
個人再生には、通常の借金を大幅に減額(原則として5分の1から最大10分の1程度に圧縮)する効果がありますが、最大の特徴は住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特則)を利用できる点にあります。
この特則を利用すると、自宅の住宅ローンについてはこれまで通り(あるいはリスケジュールを経て)支払い続けながら、その他の無担保債務(消費者金融やカードローンなど)だけを大幅に減額してもらうことができます。
これにより、家計の収支を劇的に改善させることが可能となり、結果として自宅に住み続けながら経済的な再建を図ることが実現します。
「競売中止命令」の申し立てによる手続きのストップ
住宅ローン特則を利用して個人再生を行う場合、最大のハードルとなるのが「すでに競売手続きが始まっている」という時間的な切迫感です。個人再生の申し立て準備や、裁判所での認可決定が出るまでには数か月の期間がかかります。その間に競売手続きが進んでしまい、自宅が競売で落札されてしまっては意味がありません。
そこで重要となるのが、競売中止命令の申し立てです。
民事再生法第197条に基づき、個人再生の申し立てと同時、あるいは申し立て後速やかに裁判所に対して「再生手続開始決定までの間、担保権実行競売の手続きを中止する」よう求めることができます。これが競売中止命令の申し立てです。
競売中止命令が認められる要件と実務
競売中止命令は、自動的に認められるわけではありません。裁判所は以下の事情を総合的に考慮して、中止すべきかどうかを判断します。
- 個人再生の申し立てが適法に行われており、住宅資金特別条項の要件を満たしている見込みがあること
- 競売手続きを続行させることが、債務者の経済的更生を著しく困難にするおそれがあること
- 担保権者(債権者)に対して不当な損害を与えるおそれがないこと
実務上、適切に書類が整えられた個人再生の申し立てであれば、住宅ローン特則を利用する事件において競売中止命令が発令されるケースが多く見られます。この命令が出ると、執行裁判所における競売の手続きは一旦ストップします。
競売中止から自宅救出までの具体的な流れ
競売開始決定通知が届いた後、個人再生と競売中止命令を活用して自宅を救出する大まかな流れは以下の通りです。
- 受任・受任通知の発送 弁護士や司法書士などの専門家に依頼すると、債権者に対して受任通知が発送され、督促がストップします。
- 個人再生および競売中止命令の申し立て準備 必要書類を収集し、家計収支表や再生計画案の検討を行います。同時に、競売中止命令の申し立て書類を作成します。
- 裁判所への申し立てと中止命令の発令 個人再生の申し立てと同時に(または直ちに)競売中止命令を申し立てます。裁判所がこれを認めると、競売手続きが一時停止します。
- 再生手続開始決定と再生計画の認可 裁判所による審査を経て再生手続が開始され、債権者集会や書面決議等を経て、最終的に再生計画が認可されます。
- 住宅ローンの返済継続と経済的再生 認可された再生計画に基づき、減額された一般債務を原則3年間(特別な事情がある場合は最長5年間)で分割返済しながら、住宅ローンはリスケジュール後の条件で支払い続け、自宅を維持します。
まとめ:競売通知が届いても諦めずに専門家へ相談を
自宅に競売開始決定通知が届くと、精神的にも追い詰められ、どうしていいか分からなくなる方が少なくありません。しかし、その段階であっても、個人再生の申し立てと競売中止命令の活用によって自宅を守り抜く法的な手段は残されています。
手遅れになってしまう前に、できるだけ早い段階で裁判所手続きに精通した専門家に状況を話し、適切な救済措置を検討することが、自宅と生活を救うための確実な第一歩となります。