【弁護士への相談と財産保護のメリットについて】どの資産がどのように評価されるかは裁判所の運用や個別の状況によって異なり、財産隠しと誤認されないための適切な説明や資料準備が不可欠です。借金問題に強い弁護士に早い段階で相談・依頼することで、適正な資産評価に基づいた無理のない再生計画を立案してもらい、大切な財産を守りながら生活の立て直しをスムーズに進めることができます。
個人再生手続きを選択する際、避けて通れない重要な法制度が清算価値保障原則です。これは、自己破産をした場合に債権者に配当されるであろう財産の総額(=清算価値)を下回る金額しか返済計画に盛り込んではならないというルールです。
そのため、手元に残る財産がある個人再生であっても、保有している資産の経済的価値を正確に算定し、その合計額以上の金額を原則として数年間の分割で返済する必要があります。どのような財産が清算価値の対象となり、どのように評価されるのか、具体的な資産ごとに見ていきましょう。
現金および預貯金の評価基準
現金と預貯金は、保有形態によって取り扱いが異なります。
- 現金:破産法上の自由財産拡張の基準に基づき、原則として99万円以下の現金は清算価値に算入されません。ただし、99万円を超える現金については、全額が清算価値に計上されます。
- 預貯金:口座ごとの残高が20万円を超える場合、原則としてその全額が清算価値の対象となります。複数の口座がある場合は、それぞれの口座残高を合算して判断されるのが一般的です。
実務上、過去の口座履歴の提出を求められることが多く、申立直前に不自然な出入金がある場合は、財産隠しと疑われないよう合理的な説明が求められます。
自動車の評価と査定方法
移動手段として不可欠な自動車についても、資産価値がある場合は清算価値に計上されます。
- 査定書の取得:自動車の評価額を証明するため、ディーラーや中古車買取業者による査定書を取得するのが一般的です。
- 評価額の基準:一般的に、査定額が20万円を超える場合に清算価値に計上されます。20万円未満の古い車や過走行車であれば、評価額はゼロとして扱われることが多いです。
- ローン残債がある場合:自動車ローンが残っており、債権者による所有権留保がついている場合、車の時価よりもローン残債の方が多ければ、評価額はゼロ(またはマイナス)として扱われます。ただし、車を手元に残すためには、除外せずに別除権協定や再生計画での対応が必要になるケースがあります。
生命保険解約返戻金の評価
加入している生命保険や損害保険に解約返戻金がある場合、これも重要な清算価値の対象となります。
- 解約返戻金証明書:保険会社に対して「解約返戻金証明書」の発行を依頼し、現在の価値を明らかにします。
- 20万円の基準:1つの保険契約につき、解約返戻金が20万円を超える場合にその全額が計上されます。保険契約が複数ある場合は、それぞれの返戻金を合算して判断されます。
- 掛け捨て保険:解約返戻金がまったく発生しない、あるいは極めて少額(20万円未満)の掛け捨て型保険であれば、清算価値への影響はありません。
退職金見込額の取り扱い
勤務先から将来受け取る退職金についても、一定の計算に基づいて清算価値に計上されます。
- 退職金見込証明書:会社に依頼して「今自己都合退職した場合に支給される退職金(退職金見込額)」の証明書を発行してもらいます。
- 評価の計算式:一般的には、現時点での退職金見込額の8分の1(または5分の1)を清算価値として計上します。裁判所や管轄地域によって掛率が異なるため注意が必要です。
- 退職金制度がない場合:中小企業退職金共済等に加入している場合や、そもそも退職金制度が存在しない会社の場合は、証明書にその旨を記載して提出します。
その他の資産と裁判所ごとの運用
上記以外にも、不動産(自宅や投資用物件)、株式や投資信託などの有価証券、高価な貴金属や骨董品なども清算価値の対象となります。不動産については、査定価格から住宅ローン残高を差し引いた純資産価値が算出されます。
また、清算価値の算定にあたっては、裁判所ごとの運用基準(ローカルルール)が存在します。例えば、自由財産の拡張範囲や、少額資産の免除枠(20万円基準か、それ以上かなど)については、管轄する地方裁判所の破産・再生実務の運用方針によって微調整されます。
清算価値を正確に把握することは、返済計画の総額を算出し、再生計画の認可を得るために不可欠です。財産の評価にもれや誤りがあると、後から再生計画が認可されない事態にも繋がりかねないため、保有している資産を網羅的に洗い出し、適切な評価額を算出することが重要となります。