クレジットカードの「ショッピング枠(手数料)」には過払い金が発生しない理由

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、利息制限法、破産法、民事再生法、および多数の債務整理(任意整理・過払い金回収・個人再生・自己破産)の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q クレジットカードのショッピング枠のリボ払いや分割払いで払った手数料は、過払い金請求の対象になりますか?
A 【結論】クレジットカードのショッピング枠の利用や分割払い・リボ払い手数料は、金銭の貸付けではなく「商品の立替払い」という法的性質を持つため、利息制限法の上限金利を超えるグレーゾーン金利は発生せず、過払い金の対象外となります。過払い金請求ができるのはキャッシング枠(お金の借り入れ)のみです。
【対応策】ショッピング枠に高額な残債があり返済が苦しい場合は、過払い金請求ではなく「任意整理」などの債務整理を行うことで、将来利息をカットして月々の返済負担を大幅に軽減できます。一人で悩まず弁護士の無料相談を利用し、適切な借金減額の手続きを検討してください。

クレジットカードの利用代金について、過去に支払った利息や手数料を取り戻せるのではないかと考える方は少なくありません。いわゆる過払い金請求は、かつて多くの消費者金融やクレジットカード会社(キャッシング枠)で発生していた過大な利息を返還請求する有効な手段として広く知られています。

しかし、クレジットカードには「キャッシング枠」と「ショッピング枠」の2つの機能があり、このうちショッピング枠の手数料については過払い金が発生しないという法的ルールが存在します。ここでは、なぜショッピング枠に過払い金が生じないのか、その仕組みと法的な理由を詳しく解説します。

キャッシングとショッピングの法的性質の違い

過払い金が発生する根本的な原因は、かつての出資法の上限金利(最大29.2%など)と、利息制限法の上限金利(15%から20%)との間に存在した「グレーゾーン金利」にあります。

キャッシング枠は「金銭の貸付け」

  • キャッシングは、カード会社から直接「お金を借りる」契約です。
  • これは消費者金融からの借入れと同様に、利息制限法が適用される金銭消費貸借契約に該当します。
  • そのため、上限金利を超える利息を支払っていた場合には、過払い金として返還請求の対象になります。

ショッピング枠は「商品の立替払い(売買の決済)」

  • これに対してショッピング枠の利用は、カード会社が加盟店に対して商品の代金を一旦立て替えて支払い、後日子どもや利用者がその立替金をカード会社に返済する仕組みです。
  • 法律上これは金銭の貸付けではなく、立替払い(信販・割賦販売)という性質を持ちます。
  • したがって、利息制限法ではなく、割賦販売法という別の法律が適用されるため、そもそも金利という概念が存在しません。

ショッピング枠の「分割払い手数料」や「リボ手数料」の正体

ショッピング枠で発生する手数料は、金利(利息)ではなく「分割払いやリボ払いを利用することに対する対価(手数料)」として法的に位置づけられています。

割賦販売法では、現金価格と分割払価格(手数料を含めた総額)の差額について一定のルールを設けていますが、これが利息制限法の上限金利を超えているかどうかの判断基準には使われません。そのため、どれほど高いと感じられる手数料を支払っていたとしても、法的な上限金利を超過した「違法な利息」とはみなされず、過払い金としての返還請求は認められないことになっています。

ショッピング残債がある状態で債務整理をする際の注意点

過払い金は発生しないショッピング枠ですが、クレジットカードの債務整理(任意再生や自己破産など)を行う際には、キャッシング枠とショッピング枠の双方の残高が密接に関わってきます。

すべての債務を整理対象にする必要がある

  • 任意整理を行う場合、同じカード会社のキャッシングとショッピングの双方に残高があるときは、どちらか一方だけを選んで整理することは原則としてできません。
  • 法律上、カード会社に対するすべての債権(キャッシングの借入金とショッピングの立替金)をまとめて交渉のテーブルに乗せる必要があります。

ショッピング残高がある場合の過払い金相殺

  • もしキャッシング枠で過払い金が発生していたとしても、同じカード会社のショッピング枠に未払いの残高(立替金)が残っている場合、発生した過払い金はまずショッピング残高の返済に充てられて(相殺されて)しまいます。
  • 結果として、手元に戻ってくる過払い金の額が減額されたり、相殺しきれなかった分が残債務として残るケースがある点に注意が必要です。

まとめ

クレジットカードのショッピング枠の利用や手数料は、法律上「金銭の貸付け」ではなく「立替払い」であるため、過払い金請求の対象外となります。

過去の取引履歴を取り寄せて引き直し計算を行う際、キャッシング取引には過払い金が発生していても、ショッピングの手数料はそのままの未払い金や支払済手数料として扱われます。自身の契約内容や残高の性質を正しく理解し、借金問題の解決に向けて適切な法的アプローチを選択することが重要です。

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