【弁護士に依頼して法的手続きを円滑に進めるメリット】自分一人では債権者との分割交渉や裁判所への対応が難しい場合、弁護士に依頼することで代理人として交渉や答弁書の作成・提出を行ってもらえます。将来利息のカットや無理のない返済計画での和解交渉を有利に進めることができ、督促や裁判対応の精神的負担を大幅に軽減しながら生活再建を目指すことが可能です。
借金の返済が滞ると、債権者(消費者金融やカード会社、債権回収会社など)から裁判所を通じて「訴状」や「支払督促」が届くことがあります。身に覚えがある借金であっても、突然の裁判書類に動揺してしまう方は少なくありません。
裁判所から届いた書類の中には「答弁書」という用紙が同封されています。この答弁書は、原告(債権者)の主張に対する自分の言い分を裁判所に伝えるための非常に重要な書類です。
借金の総額を一括で支払うことが難しい場合、答弁書にどのように記載すれば分割払いや和解へ持ち込めるのか、その具体的な書き方と実務上のポイントを解説します。
裁判所から届いた「訴状」と「答弁書」の役割
裁判所から特別送達で届く訴状には、債権者が主張する「いつ、いくらを借りて、いくら滞納しているか」という請求内容が記載されています。
これに対して、被告である債務者が自分の言い分を書面にまとめて裁判所に提出するのが「答弁書」です。
もし、訴状が届いているにもかかわらず答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日にも出頭しなかった場合、原告(債権者)の主張がそのまま認められてしまいます。これを「擬制自白(ぎせいじはく)」と呼び、債権者の主張通りの判決が出てしまうため、給与や預貯金の差し押(差押え)などの強制執行リスクが一気に高まります。
そのため、分割払いを希望する場合であっても、必ず期限内に答弁書を提出することが不可欠です。
分割払いや和解を希望する場合の答弁書の書き方
借金の元本や利息の額に間違いがなく、一括での支払いはできないものの、分割であれば返済していきたいという場合の主な書き方のポイントを解説します。
1. 請求の趣旨に対する答弁(答弁事項)の書き方
答弁書の最初の項目には、原告の請求に対してどのような判決を求めるかを記載します。
実務上、分割払いを希望して和解を模索する場合であっても、答弁書の定型的な記載としては、「原告の請求を棄却するとの判決を求める」と記載するのが一般的です。
「なぜ分割払いを希望しているのに請求を棄却するのか」と疑問に思われるかもしれませんが、訴状に記載された一括請求の即時支払い判決を直ちに受け入れるわけではなく、今後の話し合い(和解)による解決を求めているという意思表示の前提となります。
2. 争点または言い分(理由欄)の書き方
答弁書の後半にある「争点に関するあなたの主張」や「言い分」の欄に、分割払いを希望する旨や和解を希望する理由を具体的に記載します。
- 借金の事実関係(借り入れたこと、滞納していること)については特に争いません。
- ただし、現在の経済状況が厳しく、一括での支払いが困難であるため、分割払いによる和解を強く希望します。
- 具体的な返済案(例:毎月〇万円ずつなど)については、原告側と話し合いの場を設けていただき、協議の上で決定したいと考えています。
- つきましては、初回期日の出頭免除(または期日外での和解協議)を希望いたします。
このように記載することで、裁判所や原告側に対して「話し合いによる分割返済を求めている」という姿勢を明確に伝えることができます。
答弁書提出後の流れと注意点
答弁書を提出しただけでは、自動的に分割払いが認められるわけではありません。その後の一般的な流れと注意点を確認しておきます。
原告(債権者)との和解交渉
答弁書に「分割払いの和解を希望する」旨を記載して提出すると、通常、原告である債権者の代理人(弁護士や担当者)から連絡が入るか、裁判の期日前後に和解条項の提案がなされます。
債権者側も、一括回収が難しい現実的な状況を把握しているため、一定の条件(将来利息のカットや、無理のない月々の分割回数など)で和解に応じることが少なくありません。
期日への出頭または出頭免除の扱い
答弁書を提出すれば、多くの簡易裁判所では「答弁書の記載内容で主張が尽きている」とみなされ、第1回口頭弁論期日に被告が実際に出頭しなくても、欠席裁判による敗訴とはならずに期日が進行することがあります(これを「擬制陳述」といいます)。
ただし、裁判所や事件の内容によっては電話会議システムや書面による協議が利用できる場合もあるため、事前に裁判所の書記官に確認しておくと確実です。
まとめ
裁判所から訴状が届いた際に最も避けるべきなのは、「どうしていいか分からず放置してしまうこと」です。
分割払いを希望する場合でも、適切な期限内に答弁書を提出し、「請求の棄却(実質的な和解協議の入り口)」と「分割払いの和解希望」を明確に記載することで、一括請求による差し押えを回避し、現実的な解決に向けた話し合いのテーブルにつくことができます。
自身の収支状況に合わせた無理のない返済計画を立て、冷静に書類を作成・提出することが解決への第一歩となります。