【不同意となる要件と弁護士サポートの重要性】再生計画案が否決されるのは、「議決権者数の過半数かつ総債権額の2分の1以上を持つ債権者が不同意の回答をした場合」です。一部の金融機関が不同意とするリスクや複雑な裁判所手続きを確実にクリアするためには、債務整理に精通した弁護士へ早期に相談し、適切な再生計画案の作成とサポートを受けることが生活再建への確実な近道となります。
個人再生手続きのうち、主に個人事業主や自営業者、あるいは将来継続的に収入を得る見込みがある給与所得者などを対象とした手続きとして「小規模個人再生」があります。 小規模個人再生の最大の特徴は、債権者集会での決議に代えて、裁判所からの郵送による「書面決議」が採用されている点です。 ここでは、再生計画案の提出後に行われる書面決議の具体的な仕組みや、債権者への郵送手続き、法律上の要件について詳しく解説します。
小規模個人再生における書面決議とは
小規模個人再生では、債務者が作成した「再生計画案」を裁判所が認可するかどうかを判断する前提として、債権者による意思確認を行います。 一般の民事再生と同様に、債権者全員を集めた集会を開くのではなく、実務上は書面による決議が利用されます。
裁判所は、債務者から提出された再生計画案を、債権者一覧表に記載されているすべての債権者に対して郵送します。 債権者は、送付された再生計画案に対して同意するか不同意とするかを記載した回答書を、定められた期限内に裁判所へ返送します。
消極的同意の仕組みと法的効果
書面決議における最も重要なポイントは、法律が定める「消極的同意」のルールです。
債権者の中には、回答書を期限までに提出しない会社や、実務的に回答業務を行わない金融機関も少なくありません。 民事再生法では、債権者が期限内に不同意の意思表示を記載した回答書を提出しなかった場合、その債権者は「再生計画案に同意したものとみなす」と規定されています。
この仕組みがあるため、すべての債権者から個別に積極的な「同意書」を取り付ける必要はなく、多くのケースで再生計画案の可決が現実的なものとなります。 ただし、後述する不同意の要件に該当しないことが前提となります。
書面決議が不成立(不同意)となる要件
消極的同意のルールがある一方で、再生計画案が否決されてしまうケースも存在します。 民事再生法上、以下のいずれかに該当する場合には、再生計画案は可決されず、原則として自己破産手続きへ移行することになります。
- 議決権者(議決権の額ではなく、同意を問う対象となった債権者の人数)の過半数が不同意の回答をしたとき
- 不同意の回答をした債権者の議決権の額の合計が、議決権を行使することができるすべての債権者の議決権の総額の「2分の1」を超えたとき
つまり、「人数ベースで過半数」かつ「金額ベースで2分の1超」の双方が再生計画案に反対(不同意)の意思を示した場合にのみ、書面決議は不成立となります。 どちらか一方でも条件を満たさなければ、再生計画案は可決されたものとみなされます。
債権者への郵送とスケジュール管理の実務
再生計画案が裁判所に受理されると、裁判所書記官または担当書記官室から、各債権者に向けて特別送達などの確実な方法で書類が郵送されます。
郵送される書類には、主に以下のものが含まれます。
- 再生計画案の副本
- 再生計画案に関する意見書・回答書(不同意の場合のみ提出するものなど)
- 書面決議の回答期限を記した通知書
債務者側としては、裁判所が指定するスケジュールを厳守することが求められます。 再生計画案の提出期限はもちろん、その後の書面決議期間(通常は数週間程度)の間は、債権者からの個別の問い合わせや意見に対応できるよう準備をしておく必要があります。
特に、借入先の金融機関やサービサー(債権回収会社)などの債権者は、あらかじめ再生計画案の内容を精査しており、場合によっては裁判所に対して意見書を提出することがあります。 そのため、事前の債権調査や正確な債権者一覧表の作成が極めて重要となります。
まとめ
小規模個人再生における書面決議は、裁判所から各債権者へ再生計画案が郵送されることでスタートします。 回答がない場合に同意とみなされる「消極的同意」の制度があるため、債権者全員から個別の賛成を取り付ける必要はありませんが、人数と金額の双方が反対に回った場合には否決されるリスクも残されています。 正確な法律知識に基づき、計画的かつ確実に手続きを進めることが、個人再生を成功させるための不可欠な要素となります。