【弁護士に相談するメリット】支払不能にあたるかの正確な判断や複雑な裁判所提出書類の作成は専門知識を要します。弁護士に相談・依頼することで受任通知により督促や取り立てが即座に停止し、最適な借金整理の方法でスムーズな生活再建が可能になります。
借金が膨らみ、どうしても返済が困難になったとき、債務整理の方法として「自己破産」を検討する方が多くいらっしゃいます。しかし、誰でも自由に自己破産ができるわけではありません。破産法が定める最も重要な要件が「支払不能」という状態です。
ここでは、裁判所が自己破産の要件である「支払不能」をどのように判断しているのか、その具体的な基準や客観的な要素について詳しく解説します。
自己破産の要件「支払不能」とは何か
破産法第15条において、破産手続開始の決定をするための要件として「支払不能」であることが規定されています。
支払不能とは、債務者が「弁済能力の欠如のために、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済することができない状態」を指します。
ここで重要なポイントは、単に一時的にお金がない状態(一時的な資金不足)ではなく、将来にわたって継続的に借金を返済していくことが到底できない状態を意味する点です。
裁判所が「支払不能」を判断する際の3つの客観的基準
裁判所は、債務者が自己破産の申し立てを行った際、提出された家計収支表や財産目録などの資料をもとに、支払不能状態にあるかを厳格に審査します。その際、主に以下の要素を総合的に考慮して判断を下します。
- 負債総額と収入のバランス(返済能力):現在の収入から最低限の生活費を差し引いたとき、借入金の元利金をどの程度の期間で完済できるかという見通しを立てます。
- 保有資産の状況:現金、預貯金、不動産、自動車、保険の解約返戻金などの資産をすべて換価(現金化)しても、なお借金を返済しきれないかどうかを確認します。
- 信用状況と借入先からの催促:複数社からの借入れがあり、新規の借入れによって過去の返済にあてるいわゆる自転車操業状態に陥っており、これ以上の融資が見込めない状況にあるかを確認します。
借金の金額だけで「支払不能」が決まるわけではない
「借金が〇〇万円以上なければ自己破産できない」という誤解がよく見られますが、法律上、特定の金額基準が定められているわけではありません。
例えば、借金総額が300万円であっても、失業中で全く収入がなく、預貯金も底をついている状態であれば、それは十分に「支払不能」と認められます。
一方で、借金総額が1000万円あったとしても、高額な収入を得ており、生活費を差し引いた余剰金から計画的に返済が可能な場合は、支払不能とは認められず、任意整理や個人再生などの他の手続きを検討すべきと判断されることがあります。
支払不能の判断において考慮される「生活維持費」
裁判所が返済能力を算定する際、債務者の「通常の生活を維持するために必要な費用(自由財産の拡張や生活費の基準)」が考慮されます。
家賃、水道光熱費、食費、医療費、教育費など、人間らしい生活を送るために不可欠な最低限の支出を差し引いた残額(可処分所得)が、借金の返済に充てられるかどうかが審査の分かれ目となります。
- 生活費を大幅に切り詰めても返済が不可能な場合:支払不能と認定されやすくなります。
- 支出のなかに浪費やギャンブル、高額な趣味の費用が含まれている場合:これらは本来削るべき費用とみなされ、生活費の見直しを行った上で返済可能と判断されるケースがあります。
まとめ:客観的な資料に基づく正確な状況把握が不可欠
自己破産ができる条件である「支払不能」は、単なる主観的な「返せないという気持ち」ではなく、収入、負債、資産のバランスから導き出される客観的な事実に基づき、裁判所が判断するものです。
ご自身の現在の経済状況が法律上の支払不能に該当するかどうかを正確に見極めるためには、収入や家計の収支、すべての借入れ状況を正しく整理し、専門的な法知識に照らし合わせて検討することが重要となります。