【作成のポイントと弁護士サポート】普段から家計簿をつけていなくても、過去の通帳のコピー、クレジットカードの明細、レシートや領収書などを集めて客観的な数字を割り出すことで作成が可能です。記憶に頼らず正確な収支を申告することが不可欠ですが、正確な書き方や必要書類の集め方については弁護士のサポートを受けながら進めることで、スムーズに手続きを進め生活再建を果たすことができます。
自己破産の手続きを進めるにあたり、避けて通れない書類の一つが「家計収支表(家計簿)」です。日頃から家計簿をつけていない人にとっては、過去に遡って収支をまとめる作業は負担に感じられるかもしれません。しかし、この家計収支表は、裁判所が「免責(借金の帳消し)」を許可するかどうかを判断するための重要な資料となります。
この記事では、自己破産申し立てにおける家計収支表の正しい書き方や、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
なぜ自己破産で家計収支表の提出が必要なのか
自己破産は、支払不能に陥った債務者の借金を免除する法的な救済制度です。しかし、すべての人が無条件で救済されるわけではありません。裁判所は、申し立てに至った経緯だけでなく、「現在の生活再建能力」や「浪費癖が改善されているか」を確認する必要があります。
家計収支表を提出する主な目的は、以下の2点です。
- 収入に対して適切な範囲で生活ができているかの確認
- 新たな借金や無駄な支出(浪費・ギャンブルなど)がないかの検証
特に、破産管財人が選任される管財事件においては、家計の状況を細かくチェックされるため、通帳のコピーや領収書などの客観的な裏付け資料と整合性が取れていることが求められます。
家計収支表の基本的な書き方と記載項目
家計収支表は、通常、過去2ヶ月分から3ヶ月分を作成します。申立代理人である弁護士や司法書士の指示に従い、指定のフォーマットに記入していきます。主な記載項目は以下の通りです。
1. 収入の部
給与所得者であれば手取りの金額を正確に記載します。ボーナスがある場合はその月ごとに分けて計上するか、毎月の平均にならすなどの処理を行います。また、家族からの援助や公的な手当(児童手当など)がある場合も、すべて収入として記載する必要があります。
2. 支出の部
支出項目は、生活費の全体像を把握するために細かく分類されています。主な項目は以下の通りです。
- 住居費:家賃、共益費、管理費など
- 光熱水費:電気、ガス、水道の料金
- 食費:自炊にかかる費用や外食費、日用品費など
- 通信費:携帯電話料金、インターネット回線料金など
- 交通費:電車やバスの運賃、自動車のガソリン代や駐車場代
- 医療費:通院費や薬代
- 教育費:子どもの給食費や習い事の月謝など
- その他:理美容代、衣服費、保険料など
記憶頼みで記入するのではなく、給与明細、レシート、クレジットカードの利用明細、口座引き落としの通帳記帳内容を必ず確認しながら正確に埋めていくことが大切です。
収支が赤字の場合の注意点と解消状況の提示
家計収支表を作成した際によくある問題が、「収入よりも支出の方が多く、赤字になっている」というケースです。
毎月の収支が赤字である状態のまま破産申し立てを行うと、裁判所から「このままでは再び借金を重ねてしまうのではないか」と懸念され、手続きの進行に支障を来すおそれがあります。そのため、赤字になっている場合は、以下のような対応と説明が求められます。
- 赤字の補填方法の明記:ボーナスで補っている、貯蓄を取り崩している、実家からの援助を受けているなど、不足分をどのように工面しているかを明確にする。
- 支出の見直しと改善:通信費の大幅な削減、不要なサブスクリプションサービスの解約、外食の頻度を減らすなど、家計をスリム化するための具体的な改善策を示す。
裁判所は、完璧な黒字家計であることを求めているわけではありません。大切なのは、「身の丈に合った生活水準への立て直しが現実的に行われているか」という点です。
正確な家計簿作成のための実務上のポイント
家計収支表を作成・提出するにあたり、以下の点に留意してください。
- 通帳の記録と一致させる:家計簿の数字と、銀行口座の入出金履歴が大きく乖離していると、信憑性が疑われます。引き落とし日や金額を正確に突合させましょう。
- 「使途不明金」をなくす:何に使ったかわからない大きなお金の出入りがあると、ギャンブルや財産隠しを疑われる原因になります。細かな端数まで完璧である必要はありませんが、使途が説明できない項目は極力排除します。
- 隠し事をしない:家計簿の数字を良く見せようとして、実際の支出を過小申告したり、収入を偽ったりすることは絶対に避けてください。後々発覚した際に、免責が不許可となるリスクが高まります。
まとめ
自己破産の申し立てにおける「家計収支表」は、単なる事務的な書類ではなく、生活再建の第一歩を示す重要な証拠書類です。過去2ヶ月から3ヶ月の収支を正直かつ正確に洗い出し、客観的な資料に基づいて作成することが求められます。
正確な家計簿の作成に不安がある場合や、収支の赤字をどのように説明すべきか悩んだときは、債務整理を専門とする法律専門家に早めに相談し、適切なアドバイスを受けながら進めることをお勧めします。