過去7年以内に自己破産歴がある(2回目の自己破産)場合の裁量免責

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、利息制限法、破産法、民事再生法、および多数の債務整理(任意整理・過払い金回収・個人再生・自己破産)の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 過去7年以内に自己破産をしたのですが、2回目の自己破産で借金を免除してもらうことは法律上不可能なのでしょうか?
A 【原則と裁量免責の仕組み】過去の免責確定日から7年以内の再申し立ては免責不許可事由に該当し原則として借金は免除されませんが、裁判所の「裁量免責」により例外的に許可される余地があります。
【弁護士への相談と審査の厳格化】2回目は家計管理や生活状況の審査が極めて厳しくなるため、反省の色や経済的更生の見込みを立証するには専門的な法的サポートが不可欠です。まずは弁護士に無料相談し、適切な申立て準備を進めることが重要です。

2回目の自己破産と「7年ルール」の法的根拠

自己破産の手続きにおいて、最も重要な目的は借金の返済義務を免除してもらう「免責許可」を得ることです。しかし、過去に一度自己破産をして免責を受けている場合、短期間での繰り返しの申請を防止するため、破産法によって厳格な制限が設けられています。

破産法第252条第1項第10号イでは、過去の免責許可決定の確定日から7年以内に再び破産の申し立てを行い、免責許可の申立てをした場合を免責不許可事由として定めています。

  • 1回目の免責許可決定が確定した日を基準とします
  • 申立ての日ではなく、免責許可の裁判が確定した日から起算して7年です
  • この期間内に2回目の申し立てを行った場合、法律上は原則として「免責不許可」となります

7年以内に申し立てた場合の「裁量免責」の可能性

法律上は免責不許可事由に該当する2回目の自己破産ですが、実際には「二度と自己破産ができない」というわけではありません。破産法第252条第2項には、裁判所の裁量によって免責を許可することができる「裁量免責」の規定が存在します。

裁判所が諸般の事情を考慮し、破産者に反省の色が見られ、経済的更生の見込みがあると判断した場合には、例外的に免責が許可されることがあります。しかし、7年という期間制限を破っての申し立てであるため、1回目の破産よりもハードルが大幅に高くなることは避けられません。

2回目の自己破産に対する裁判所の厳格審査

過去7年以内に自己破産歴がある場合の審査は、管財人による調査も含めて非常に厳しく行われます。裁判所や破産管財人は、主に以下の点を重点的にチェックします。

  • なぜ短期間で再び多重債務に陥ったのかの原因究明(浪費、ギャンブル、事業の失敗、病気、生活苦など)
  • 1回目の破産から何を学び、どのように家計や行動を改善したかの検証
  • 反省の度合いと、今後の家計管理能力の有無
  • 債権者に対する誠実な対応と、隠し財産がないかどうかの徹底的な資産調査

特に、1回目と同じような理由(ギャンブルや不必要な浪費など)で再び借金を重ねた場合や、家計の改善が見られない場合は、裁量免責が得られる可能性は極めて低くなります。

管財事件(少額管財)への移行と予納金の負担

2回目の自己破産では、同時廃止事件として簡易に手続きが終わることはほとんどありません。大半のケースで「管財事件」または「少額管財事件」に振り分けられます。

破産管財人が選任されることにより、財産の調査や免責不許可事由の有無についての詳細な調査が実施されます。これに伴い、裁判所に納付する予納金(管財人報酬等)の負担が発生するため、経済的な準備も必要となります。

個人再生など他の債務整理手続きの検討

過去7年以内の自己破産で免責が難しい場合や、裁判所の厳格な審査に不安がある場合は、自己破産以外の債務整理手続きを検討することも有効な選択肢となります。

特に個人再生の手続きであれば、破産法のような「7年以内の免責不許可事由」という直接的な規定はありません(ただし、過去の給与所得者等再生を利用している場合などには一定の制限があります)。住宅ローンを残してマイホームを維持したい場合や、借金を大幅に圧縮して分割返済したい場合には、有力な代替手段となります。

まとめ

過去7年以内の自己破産であっても、法律上は裁量免責の道が完全に閉ざされているわけではありません。しかし、2回目の破産は「前回の反省が活かされていない」とみなされやすいため、詳細な事情説明書や反省文、生活再建に向けた具体的な改善計画書の提出が不可欠となります。自身の置かれた状況を正確に把握し、法的な要件に沿った慎重な対応が求められます。

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