「解約フォーム閉鎖」という悪質な罠:事業者が取るべき法的防衛策
求人広告の掲載や無料求人商法のトラブルにおいて、契約時には「解約は専用のウェブフォームからのみ受け付ける」と厳格に定めておきながら、いざ解約しようとすると解約フォームが閉鎖されている、あるいはエラーが頻発して手続きができないという悪質な手口が急増しています。
連絡先である電話番号にかけても繋がらず、その間に自動更新の期限が過ぎて高額な掲載料が請求されるという相談が、多くの経営者や人事担当者から寄せられています。
このような物理的に解約させない不当な手続きの制限は、法律上どのような問題があるのでしょうか。そして、実務上どのように対処すべきかを弁護士が詳しく解説します。
悪質な求人広告会社が使う「解約させない罠」の手口
悪質な事業者は、契約を継続させて料金を徴収し続けるために、巧妙な仕組みを用意しています。その代表的な手口が、解約方法を特定のウェブフォームに限定する特約です。
契約書や利用規約の細かい文字で「解約の申し出はマイページ内の専用フォームに限る」と指定し、電話やメール、書面での解約を一切受け付けない体制を作ります。しかし、契約期間の更新時期が近づくと、その肝心の解約フォームを閉鎖したり、メンテナンス中としてアクセスできなくしたりするのです。
法的に見てこの「特約」はどう評価されるのか
このような「特定の手段以外での解約を一切認めない」という制限は、消費者契約法だけでなく、事業者間の取引であっても公序良俗違反(民法90条)や信義誠実の原則に反するものとして無効と判断される可能性が高いです。
実質的に解約を不可能にさせる目的で閉鎖されたフォームや、意図的な連絡の遮断を背景にした自動課金は、契約の正当な終了を妨害する違法な行為にあたります。
解約不能な状況に陥ったときの法的防衛策
解約フォームが閉鎖されている、あるいは何度試してもエラーになるという状況に直面したら、泣き寝入りして自動課金を受け入れる必要はありません。直ちに以下の対抗措置を講じることが重要です。
- 専用フォーム以外の方法(メール、FAX、郵送など)で、解約の意思表示を明確に行うこと
- 電話での問い合わせを試みる場合は、必ずその通話を録音し「フォームが閉鎖されていて手続きできない」という事実を相手に言わせ、記録に残すこと
- 口頭だけでなく、確実な証拠が残る内容証明郵便を用いて解約通知書を相手方住所に送付すること
事業者間トラブルにおいて、解約の意思表示が相手方に到達した(あるいは到達しうる状態になった)ことは法的な効力を持ちます。「専用フォームでなければ無効だ」という相手方の主張は、自らフォームを閉鎖して解約を妨害していた以上、法律上通用しません。
自動課金の無効立証と弁護士介入の効果
解約フォームの閉鎖によって生じた架空の継続料金や、自動更新分の請求に対しては、支払いを拒絶する法的根拠があります。
証拠の保全がすべての鍵を握る
解約手続きを行おうとした画面のスクリーンショット(エラー画面や閉鎖画面、日時がわかるもの)、送信したメールの控え、内容証明郵便の配達証明などは、すべて解約不能状態を証明する決定的な証拠となります。これらの証拠を集め、自動課金が無効である旨を論理的に主張することが求められます。
自社だけで悩まず専門家へ相談を
悪質な求人広告会社や詐称的な無料求人商法の業者は、法的知識がない相手に対して強硬な督促や弁護士名を使った威圧的な連絡をしてくることがあります。
しかし、こちら側に正当な解約の試みと証拠があれば、弁護士が代理人として介入することで、不当な請求をピタリと止められるケースがほとんどです。解約フォームの閉鎖や理不尽な自動課金にお困りの場合は、契約書をご持参の上、できるだけ早く弁護士などの専門家にご相談ください。