求人広告詐欺トラブルで「訴訟移行」を告げられたときの正しい対処法
求人広告の無料掲載やキャンペーンを謳う業者とトラブルになり、支払いを拒否していると、業者側から「このまま支払わないなら訴訟に移行する」「裁判を起こして追加の費用を請求する」といった強硬な連絡を受けることがあります。
経営者やご担当者様にとって、裁判という言葉は非常にプレッシャーになりますよね。「本当に裁判になるのか」「追加で高額な費用を取られるのではないか」と不安になる方も多いでしょう。
結論からお伝えすると、悪質な業者の多くは裁判をちらつかせることで心理的プレッシャーをかけ、支払わせようとする「脅し」として使っているケースが大半です。しかし、万が一実際に通常訴訟へと移行した場合、どのような条件で、どれくらいの費用がかかるのかを事前に知っておくことで、冷静かつ的確に対処することが可能です。
業者が「訴訟移行」をチラつかせる理由と実態
悪質な求人広告業者の手口として、電話での執拗な督促や内容証明郵便の送付に加え、「法的手続への移行」を匂わせる文言が使われます。彼らが実際に訴訟を起こすケースは、実はそれほど多くありません。
なぜなら、悪質な求人広告商法や無料求人商法の実態が裁判になれば明るみに出てしまい、消費者契約法違反や公序良俗違反(民法90条)などを理由に、契約の無効や取り消しが認められてしまうリスクを業者が恐れているからです。
そのため、訴訟移行という言葉の多くは「心理的な威圧」を目的としています。しかし、中には弁護士名義の通知書面を使って実際に法的手続をとる業者もゼロではありません。万が一裁判に発展した場合の仕組みや費用について、正確な知識を持っておくことが大切です。
初期対応の定額費用と「通常訴訟」への移行条件
トラブルの解決を弁護士などに依頼している場合、初期段階の交渉では定額(例えば55,000円など)の着手金やサポート費用で対応しているケースが多く見られます。
この定額費用の中にどこまでの範囲が含まれているかは契約内容によって異なりますが、基本的には「示談交渉」や「内容証明郵便への対応」を想定した金額であることが一般的です。
通常訴訟へと移行する条件としては、主に以下のようなケースが挙げられます。
- 相手方業者が話し合いに応じず、どうしても請求を譲らない場合
- 相手方から実際に簡易裁判所や地方裁判所を通じて訴状が届いた場合
- 当事者間での解決が不可能と判断され、法的な白黒をつけるためにこちらから反訴や債務不存在確認訴訟を起こす必要がある場合
このように、単に業者が口頭で「裁判にするぞ」と言っているだけでは通常訴訟への移行条件を満たしているとは言えず、裁判所からの正式な呼出状(訴状)が届いて初めて訴訟手続が開始されることになります。
裁判になった場合の費用体系(着手金と経済的利益報酬)
もし実際に相手が訴訟を提起してきた場合、あるいは自社が訴訟を起こす場合には、弁護士費用等のコスト構造が変わってきます。一般的に、裁判対応(通常訴訟)に移行する際には、以下のような費用が発生することがあります。
追加着手金
示談交渉の段階から、さらに裁判上の主張・立証活動(期日への出頭、準備書面の作成など)を行うために必要となる費用です。契約時の取り決めによっては、初期の定額費用とは別に追加の着手金が発生するケースがあります。
経済的利益報酬(成功報酬)
裁判によって「支払わなくてよくなった金額」や「回収できた金額」の何%という形で計算される報酬です。例えば、業者から50万円の請求を受けており、裁判の結果として支払義務がゼロになった場合、その減額幅(50万円)をベースに報酬が算定されます。
裁判費用は請求額(係争価額)や事件の難易度によって変動するため、事前に依頼している専門家に「どこから追加費用が発生するのか」「訴訟になった場合の最大のリスクは何か」を必ず確認しておくことが重要です。
訴訟告知や督促状が届いたときの冷静な対処法
もし、ご自身の会社に裁判所からの特別送達や、弁護士を名乗る法律事務所から本格的な訴訟提起の通知が届いたとしても、慌てて業者に直接連絡をしてはいけません。
冷静に対処するためのポイントを以下にまとめました。
- 届いた書類(訴状や期日呼出状など)の日付や内容を正確に確認する
- 自分で適当に対応せず、直ちに求人広告トラブルや事業者間トラブルに強い弁護士に相談する
- 業者からの電話やメールには感情的に返答せず、窓口を専門家に一本化する
悪質な求人広告詐欺や無料求人商法において、泣き寝入りする必要はありません。不当な請求に対しては、法的根拠を持って毅然と対応することが、会社を守るための最善の道となります。訴訟移行を匂わせる脅しに屈せず、まずは専門家への相談をご検討ください。