裁判になった場合の費用:初期示談交渉から通常訴訟への移行条件

公開日: 2026-08-02

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、事業者向け求人広告トラブル・無料求人商法の支払拒絶・請求停止実務に基づき、最新の法令および裁判例に沿ってわかりやすく解説しています。

求人広告詐欺トラブルで「訴訟移行」を告げられたときの正しい対処法

Q 求人広告の悪質業者から「裁判にする」「追加の裁判費用を請求する」と脅された場合、通常訴訟への移行条件や実際の費用はどうなりますか?
A 【結論と訴訟移行のリスク実態】業者の「裁判にする」という発言の大半は心理的威圧を目的としたブラフであり、公序良俗違反(民法90条)や詐欺的勧誘の実態が法廷で公にされるのを恐れるため、実際に提訴に至るケースは極めて稀です。万一裁判所から呼出状が届いて通常訴訟へ移行する場合、示談交渉から訴訟代理への移行手続と追加の着手金・期日日当等の費用体系について弁護士から事前の明確な説明を受ける必要があります。
【実務上の対抗・解決手順】口頭の脅しに動揺して安易に支払ってはなりません。相手からの通知書や契約書面を保全し、弁護士による受任通知を速やかに送付することで直接連絡を停止させ、裁判外の示談交渉段階で支払義務不存在を主張して請求を断念させることが実務上の最善策です。

求人広告の無料掲載やキャンペーンを謳う業者とトラブルになり、支払いを拒否していると、業者側から「このまま支払わないなら訴訟に移行する」「裁判を起こして追加の費用を請求する」といった強硬な連絡を受けることがあります。

経営者やご担当者様にとって、裁判という言葉は非常にプレッシャーになるものです。「本当に裁判になるのか」「追加で高額な費用を取られるのではないか」と不安になる方も多いでしょう。

結論からお伝えすると、悪質な業者の多くは裁判をちらつかせることで心理的プレッシャーをかけ、支払わせようとする手段として使っているケースが大半です。しかし、万が一実際に通常訴訟へと移行した場合、どのような条件で、どのような費用体系になるのかを事前に知っておくことで、冷静かつ的確に対処することが可能です。

業者が「訴訟移行」をチラつかせる理由と実態

悪質な求人広告業者の手口として、電話での執拗な督促や内容証明郵便の送付に加え、「法的手続への移行」を匂わせる文言が使われます。彼らが実際に訴訟を起こすケースは、実務上それほど多くありません。

なぜなら、悪質な求人広告商法や無料求人商法の実態が裁判になれば公にされ、消費者契約法違反や公序良俗違反(民法90条)などを理由に、契約の無効や取り消しが認められてしまうリスクを業者が懸念しているからです。

そのため、訴訟移行という言葉の多くは「心理的な威圧」を目的としています。しかし、中には弁護士名義の通知書面を使って実際に法的手続をとる業者もゼロではありません。万が一裁判に発展した場合の仕組みや費用について、正確な知識を持っておくことが大切です。

初期対応の費用と「通常訴訟」への移行条件

トラブルの解決を弁護士などに依頼している場合、初期段階の交渉では明朗な費用体系や事前の明確な説明に基づいた弁護士費用で対応しているケースが多く見られます。

この費用の中にどこまでの範囲が含まれているかは契約内容によって異なりますが、基本的には「示談交渉」や「内容証明郵便への対応」を想定した金額であることが一般的です。

通常訴訟へと移行する条件としては、主に以下のようなケースが挙げられます。

  • 相手方業者が話し合いに応じず、請求を譲らない場合
  • 相手方から実際に簡易裁判所や地方裁判所を通じて訴状が届いた場合
  • 当事者間での解決が困難と判断され、法的な白黒をつけるためにこちらから債務不存在確認訴訟などを起こす必要がある場合

このように、単に業者が口頭で「裁判にするぞ」と言っているだけでは通常訴訟への移行条件を満たしているとは言えず、裁判所からの正式な呼出状(訴状)が届いて初めて訴訟手続が開始されることになります。

裁判になった場合の費用体系(着手金と経済的利益報酬)

もし実際に相手が訴訟を提起してきた場合、あるいは自社が訴訟を起こす場合には、弁護士費用等のコスト構造が変わってきます。一般的に、裁判対応(通常訴訟)に移行する際には、以下のような費用が発生することがあります。

追加着手金

示談交渉の段階から、さらに裁判上の主張・立証活動(期日への出頭、準備書面の作成など)を行うために必要となる費用です。契約時の取り決めによっては、初期の費用とは別に追加の着手金が発生するケースがあります。

経済的利益報酬(成功報酬)

裁判や交渉によって「支払わなくてよくなった金額(減額幅)」の何%という形で計算される報酬です。例えば、業者から50万円の請求を受けており、裁判の結果として支払義務がないことが認められた場合、その減額幅(50万円)をベースに報酬が算定されます。

裁判費用は請求額(係争価額)や事件の難易度によって変動するため、事前に依頼している専門家に「どこから追加費用が発生するのか」「訴訟になった場合の最大のリスクは何か」を必ず確認しておくことが重要です。

訴訟告知や督促状が届いたときの冷静な対処法

もし、ご自身の会社に裁判所からの特別送達や、弁護士を名乗る法律事務所から本格的な訴訟提起の通知が届いたとしても、慌てて業者に直接連絡をしてはいけません。

冷静に対処するためのポイントを以下にまとめました。

  • 届いた書類(訴状や期日呼出状など)の日付や内容を正確に確認する
  • 自分で適当に対応せず、直ちに求人広告トラブルや事業者間トラブルに強い弁護士に相談する
  • 業者からの電話やメールには感情的に返答せず、窓口を専門家に一本化する

悪質な求人広告詐欺や無料求人商法において、安易に支払いに応じる必要はありません。不当な請求に対しては、法的根拠を持って毅然と対応することが、会社を守るための最善の道となります。訴訟移行を匂わせる脅しに屈せず、まずは専門家への相談をご検討ください。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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