無料求人商法や悪質な求人広告詐欺のトラブルにおいて、相手方から「このまま支払わないなら顧問弁護士から法的手続きを取る」「弁護士を通じて一括請求する」などと脅されるケースが後を絶ちません。
このような脅し文句は、経営者や担当者の不安を煽り、不当な契約の支払いを飲ませるための典型的な心理的プレッシャーの手口です。
本記事では、相手方が「顧問弁護士」を盾に脅してきた際の具体的なフェイク弁護士対策と、悪質な事業者を見極めるための法的知識を解説します。
「顧問弁護士から請求する」という脅しの実態
求人詐欺や悪質な無料求人商法のトラブルでは、契約解除を申し出たり支払いを拒否したりすると、途端に態度を硬化させて法律を持ち出す業者が少なくありません。
しかし、冷静に状況を分析すると、その多くが法的な根拠のないハッタリや違法行為に基づいていることがわかります。
脅し文句の裏にある業者の心理
悪質な業者は、経営者が「裁判や弁護士」という言葉に弱いことを熟知しています。
裁判沙汰になることへの恐怖心や、会社の信用に傷がつくことへの不安につけ込み、架空の弁護士名や実在しない法的措置をちらつかせて心理的に追い詰めるのが狙いです。
実際には、まともな法的根拠がないため、弁護士に依頼しても相手にされないような案件が大半を占めています。
弁護士の名を出す行為自体のリスク
相手が本当に弁護士を代理人として立てている場合を除き、架空の弁護士名や弁護士事務所の威光を使って金銭を脅し取る行為は、恐喝罪(刑法第249条)や詐欺罪(刑法第246条)に該当する可能性があります。
したがって、安易に脅しに屈する必要は一切ありません。
弁護士の存在を確認・看破する具体的な方法
「弁護士から連絡が来る」「法的措置に移る」と言われた場合、本当にその弁護士が関与しているのか、あるいは実在する人物なのかを正確に確認することが重要です。
ここでは、フェイク弁護士を見破るための具体的な確認方法を解説します。
日本弁護士連合会(日弁連)の「弁護士情報検索」を活用する
日本国内で活動するすべての弁護士は、日本弁護士連合会(日弁連)に登録されています。
相手から弁護士の名前や所属弁護士会を告げられた場合は、日弁連の公式ウェブサイトにある「弁護士情報検索」システムを利用して、実在するかどうかを必ず確認しましょう。
- 同姓同名の弁護士が存在するかどうか
- 登録されている所属弁護士会や事務所の住所・電話番号が一致しているか
検索してもヒットしない場合、その弁護士は実在しない架空の人物(フェイク弁護士)である可能性が極めて高いといえます。
実在する弁護士名が使われている場合の注意点
万が一、検索して実在する弁護士の名前だったとしても、安心するのは早計です。
悪質な業者が、その弁護士の名前を勝手に無断で使用しているケースや、悪徳業者と裏で結託している「非弁提携(ひべんていけい)」の疑いがあります。
不審に感じた場合は、その弁護士が所属する事務所の代表番号へ直接電話をかけ、「本当にこの案件の代理人を受任しているのか」を確認することで、偽装工作を暴くことができます。
悪質な「非弁提携」と弁護士会への通報窓口
弁護士法では、弁護士資格を持たない一般の事業者(悪徳商法業者など)が、弁護士の名義を利用して利益を得たり、法律事務を仲介したりすることを厳しく禁止しています(非弁提携の禁止:弁護士法第27条)。
もし、悪質な求人広告業者が本物の弁護士と結託して不当な取り立てを行っている場合、それは重大な弁護士法違反となります。
弁護士会への懲戒請求・相談
実在する弁護士が不当な求人詐欺業者に加担している疑いがある場合、あるいは弁護士の名前を騙った悪質な詐称行為が判明した場合は、その弁護士が所属する地方弁護士会や日本弁護士連合会に通報・相談することが有効です。
弁護士会による調査や懲戒処分が行われる可能性があるため、悪質な業者や弁護士にとって非常に大きなプレッシャーとなります。
トラブル解決に向けた正しいステップ
フェイク弁護士の脅しに直面したときは、以下のステップで冷静に対応しましょう。
- 相手の主張や脅し文句をすべて録音・書面(メールやチャット履歴含む)で記録する
- 告げられた弁護士の名前と所属を日弁連の検索システムで照合する
- 自分だけで判断せず、求人広告トラブルや事業者間トラブルに精通した弁護士に直接相談する
自己判断で連絡を絶つのではなく、法律の専門家を味方につけて適正に対応することで、不当な請求や悪質な脅しを確実に断ち切ることができます。