振り込み後の「返金請求」に立ちはだかる厳しい現実
【実務上の推奨アクション】これ以上の追加請求には絶対に1円も振り込まず、未払い分の請求遮断に注力してください。
求人広告詐欺や無料求人商法の被害に遭い、「すでに申し込んで料金を振り込んでしまったが、取り戻すことはできるのだろうか」とお悩みの経営者様は少なくありません。
電話での執拗な督促や「裁判を起こす」「売掛金を差し押さえる」という脅しに耐えかね、やむを得ず支払ってしまったケースが多いため、憤りを覚えるのは極めて当然のことです。
本記事では、なぜ既払い事案の回収が困難を極めるのか、そして二重被害(費用倒れ)を防ぐための実務知識について解説します。
1. 裁判で勝訴しても「お金が戻らない」3つの理由
民法上は、不実告知や詐欺による取消し(民法第96条)、不当利得返還請求権(民法第703条)に基づき、支払った金銭の返還を求める権利が存在します。
しかし、実際の法務実務においては、以下の理由から回収が極めて困難となります。
- 業者が口座から即日出金・資金洗浄を行う 業者は着金を確認すると、即座にネットバンキングを通じて別口座へ資金を分散・送金し、現金化します。
- 法人がペーパーカンパニーであり、資産が存在しない 請求元の法人はバーチャルオフィス等を利用した実体のない法人であり、差押え可能な預金や不動産等の財産を一切保有していません。
- 強制執行(差押え)が空振りに終わる 民事裁判で勝訴判決を得ても、差し押さえるべき口座残高がゼロであれば、回収額は0円となります。
結果として、「騙し取られた金額」に加えて「弁護士費用や裁判費用」まで失ってしまう「二重の費用倒れ」に陥るリスクが極めて高くなります。
2. 実務上の定石:未払い段階の不当請求遮断に注力すべき理由
司法実務において、依頼者の利益を第一に考える誠実な弁護士・法律事務所であれば、費用倒れになることが明白な返還請求訴訟を安易に受託することは避けるのが定石です。
実務上、最も効果的な法的解決は、「まだ相手に1円も支払っていない段階における、不当請求の遮断・支払拒絶対応」です。
まだ請求書が届いた段階で振り込んでいないのであれば、弁護士が受任通知を送付し、法的な支払義務の不存在を主張することで、相手方に請求を断念させ、金銭負担ゼロ(1円も払わずに終了)でのトラブル解決を目指すことが可能です。
3. すでに支払ってしまった場合の対処手順
もしすでに振り込んでしまった場合、これ以上の金銭被害を防ぐために以下の対処を行ってください。
- 追加請求・残金請求には絶対に1円も支払わない: 「残額も払え」「更新料が発生した」と督促されても、断固として拒絶してください。
- 振込先銀行への通報: 振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結の申立てを行ってください。
- 警察への相談: 証拠資料一式を持参し、警察の生活安全課等へ詐欺被害の相談実績を残してください。
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