求人広告の「お試し掲載」に潜むリスクとは?申込前に確認すべきこと
人手不足に悩む事業者や経営者にとって、求人広告の営業電話は日常茶飯事です。「今なら特別にお試し掲載で無料です」「アンケートに答えるだけで求人を載せられます」などと甘い言葉をかけられ、つい話を聞いてしまう担当者も少なくありません。
しかし、無料や低価格を謳う求人広告の裏側には、後から高額な請求書が届く悪質な無料求人商法のトラブルが数多く潜んでいます。その場で急かされて申し込んでしまうと、後々大きな法的な争いに発展しかねません。
本記事では、求人広告の申込書にサインする前に、事業者が必ず確認すべきチェック項目と、トラブルを未然に防ぐための重要ポイントを弁護士の視点から解説します。
「無料」「お試し」の言葉を鵜呑みにしない!申込書は必ず持ち帰る
営業担当者が来社したり、電話口で「無料だから試してみませんか」と勧誘してきたりした場合でも、その場で即座に署名・捺印をしないことが鉄則です。
悪質な業者の手口としてよくあるのが、無料期間が終わった後に自動的に有料プランへ切り替わり、高額な年間契約の請求書を送りつけてくるケースです。その場は「無料」という言葉だけに気を取られてしまいがちですが、契約書面をよく読むと、小さく「2ヶ月目以降は月額〇万円の有料契約へ移行する」と記載されていることがあります。
- その場で即決を迫る営業トークには絶対に応じない
- 「社内ニ決裁が必要」「代表者の確認が必須」という理由で必ず一度持ち帰る
- 契約書や申込書の控えを必ずもらい、細部まで目を通す
こうした自衛策を講じるだけで、大半の不当な契約トラブルは未然に防ぐことができます。
記載スペースとフォントサイズに隠された罠を見極める
申込書や契約書を吟味する際、特に注意深く見るべきなのが記載スペースとフォントサイズです。
悪質な事業者は、消費契約におけるクーリングオフが適用されない「事業者間取引」であることを利用し、不利な条件を意図的に見えにくいように工夫して記載することがあります。
- 契約期間の自動更新条項や違約金の規定が、極小のフォント(いわゆるアリ地獄フォント)で書かれていないか
- 「無料お試し」の適用条件や、解約を申し出るための期限(例:掲載開始の〇日前まで)が分かりにくい隅に記載されていないか
- 担当者が口頭で説明した内容と、書面に記載されている内容に食い違いがないか
契約書において、小さく書かれた文字や複雑な文言であっても、署名・捺印をしてしまうと「合意した」とみなされてしまうリスクが高まります。少しでも不審な点や読みにくい箇所があれば、そのまま放置せず、業者に対して書面で明確な説明を求めるべきです。
トラブルに直面してしまった場合の対処法
もし既に「お試し」のつもりが高額な請求を受けてしまったり、解約を申し出たところ高額な違約金を請求されたりしている場合は、個人で悩まずに速やかに対処する必要があります。
事業者間の契約であっても、勧誘時の説明に不実の告知(嘘の説明)があったり、重要事項の不告知が認められたりする場合には、消費者契約法や民法の規定(詐欺・錯誤など)を根拠に契約の無効や取り消しを主張できる可能性があります。
- 業者とのやり取り(通話録音、メール、チャット履歴)の証拠をすべて残す
- 届いた請求書や契約書の控えを整理する
- 求人広告トラブルや事業者間トラブルに強い弁護士などの専門家へ早めに相談する
「無料だから大丈夫だろう」という油断が、企業の経営を揺るがす思わぬ出費につながりかねません。求人広告の申込書に一筆書く前には必ず立ち止まり、冷静に契約内容を精査する習慣を徹底しましょう。