戸建ての賃貸住宅を退去する際、大家さんや管理会社から高額な「草むしり費用」や「庭木の剪定費用」を請求され、納得がいかずに悩む借主様が後を絶ちません。「契約書に特約があったから仕方がないと言われた」「住んでいた期間、自分なりに手入れをしていたのに全額負担させられた」といったトラブルの相談が、当事務所にも多く寄せられます。
この記事では、戸建ての庭の管理を巡る「特約」の法的有効性と、高額な費用を請求された際の適切な対処法について詳しく解説します。
【不当請求への対処法】管理会社から請求された場合は、日頃の手入れ状況を示す写真や、特約の客観的な有効性(借主に一方的な不利益を強いていないか)を確認しましょう。過大な請求には毅然と減額を交渉し、トラブルがこじれる場合は敷金返還に強い専門家への相談も有効です。
戸建て賃貸における庭の管理と「特約」の法的意味
マンションなどの集合住宅とは異なり、戸建ての賃貸物件では「庭の雑草処理」や「植栽の手入れ」をどちらが負担するかが大きな論点になります。一般的に、賃貸借契約書には庭の管理に関する特約が盛り込まれているケースが少なくありません。
しかし、契約書に「庭の維持管理は借主の責任で行うこと」と書かれているからといって、退去時に発生するすべての造園業者への支払いを借主が無条件で負担しなければならないわけではありません。特約が法的に有効と認められるためには、いくつかの厳格な要件を満たす必要があります。
消費者契約法第10条により、民法の原則よりも借主の義務を一方的に加重し、信義誠実の原則に反して消費者(借主)の利益を一方的に害する条項は無効とされています。そのため、「どのような状態であれ、退去時には一律で高額な剪定代を請求する」という抽象的・一方的な特約は、法的に無効と判断される余地が大きいのです。
借主が負担すべき「日常管理」の範囲とは
戸建ての庭の草むしりや落ち葉の清掃などは、基本的には賃貸借期間中の「借主の善管注意義務(良き管理者としての注意義務)」に含まれる日常的な維持管理の範囲とされます。
つまり、以下のような状況であれば、借主側で対応すべき範囲内と言えます。
- 居住期間中に一切草むしりをせず、ジャングル状態にしてしまった
- 放置された雑草が原因で近隣トラブルや害虫の発生を招いた
これらに該当する場合、常識的な範囲での草むしり費用や、それに伴う人件費の一部を請求されることはやむを得ない場合があります。
一方で、退去時に「プロの造園業者を入れる必要がある」として、数万円から十数万円もの高額な剪定費用や草刈り代を自動的に請求されるケースは注意が必要です。特に、借主が日頃から除草剤をまくなどして最低限の手入れを行っていたにもかかわらず、わずかな雑草を理由に大掛かりな見積もりを出された場合は、不当な請求である可能性を疑うべきです。
高額な草むしり費用・剪定費用をカットするためのポイント
もし、管理会社から高額な庭の管理費用を請求された場合は、以下のポイントを確認し、冷静に反論・交渉を行いましょう。
- 契約書の特約の文言を詳細に確認する(具体的な負担範囲や金額が明確に合意されていたか)
- 入居時および退去時の庭の状況を写真に残しておく
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方を参照する
ガイドラインにおいても、借主の故意・過失や通常の使用を超えるような損耗等についてのみ、借主が費用負担すべきとされています。植栽の自然成長や、建物の構造上どうしても日光が当たらずに枯れてしまったもの、あるいは構造的な要因によるものは、借主が責任を負うものではありません。
「特約があるから」という理由だけで、言われるがままに全額を支払う必要は決してありません。不審な請求や納得のいかない高額見積もりに直面したときは、安易に署名・捺印をせず、専門家である弁護士へ早めにご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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