賃貸マンションやアパートを退去する際、自分で取り付けたエアコンを撤去した後に残る「配管穴(ダクト穴)」や「ビス穴」の扱いでトラブルになるケースは後を絶ちません。管理会社から高額な穴埋め・クロス張替え費用を請求され、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エアコンのダクト穴のパテ埋めやビス穴の補修費用はどちらが負担すべきなのか、原状回復のガイドラインに沿って詳しく解説します。
【不当請求への対処法】管理会社から「クロス全面張替えとダクト穴の補修で高額な費用がかかる」と請求された場合、安易に支払うのは禁物です。クロスの価値は時間の経過とともに減少(耐用年数6年で残存価値1円)するため、全額請求は不当です。ガイドラインに基づいた減額交渉を行い、納得がいかない場合は内容証明郵便の送付や消費者センター、専門家への相談を検討しましょう。
エアコン撤去後の「ダクト穴」のパテ埋め・キャップ設置費用は誰の負担?
エアコンを設置する際、壁に外へ繋がる「配管穴(ダクト穴)」を開けたり、もともと空いていた穴を利用したりします。退去時にエアコンを撤去した場合、この穴をどう処理するか、そしてその費用は誰が持つのかが問題になります。
結論から言うと、その穴がどのようにして作られたものかによって負担者が異なります。
- 入居時またはもともと建物に備え付けられていたダクト穴の場合
- 借主が勝手に新しく穴を開けた場合
- 退去時のパテ埋めやキャップ設置義務の有無
もともとあった穴、あるいは不可避な穴の基本ルール
賃貸物件において、エアコンの設置は現代の生活において不可欠な設備とみなされています。そのため、あらかじめ配管穴が用意されていた場合や、内見時に設置が了承されていた場合の穴埋め費用は、通常損耗として貸主負担になるのが一般的です。
パテ埋めや専用キャップの取り付け程度であれば、ハウスクリーニングや通常の原状回復工事の範囲内として処理されるべきものであり、借主に別途高額な修繕費用を請求することは不当であるケースが多いといえます。
壁の「ビス穴」の扱いは?画鋲程度なら無料、下地ボードの張替えは要注意
エアコン本体や室内機を固定するため、あるいは配管カバーを留めるために、壁にビス(ネジ)穴が空くことがあります。このビス穴についても、借主が全額負担すべきとは限りません。
- カレンダー用の画鋲程度の小さな穴:原則として貸主負担(通常損耗)
- エアコン固定のためのビス穴:設置が当然視される設備であれば通常損耗に含まれることが多い
- 下地ボードまで貫通するような大きな穴や無断工事による穴:借主負担になる可能性が高い
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、テレビやエアコンなどの設置による下地ボードのビス穴・ボルト穴について、「下地ボードの張替えが必要な程度のものは、特約の有無や設置の経緯を考慮して判断する」としています。
無断での新規穴あけには注意が必要
もし、貸主や管理会社の承諾を得ず、規約に反して勝手に壁に大きな穴を開けてエアコンを設置した場合は、借主の善管注意義務違反とみなされ、クロスや下地ボードの修繕費用の支払いを求められる可能性があります。
ただし、その場合でも「壁一面全体のクロス張替え費用」を全額請求されるのは法的に見て過剰請求であるケースがほとんどです。減価償却の考え方を踏まえ、損耗した部分や数年分の価値を考慮した適正金額に抑えるべきです。
管理会社から高額な請求をされたときの対処法
退去時の立会いの際、管理会社から「エアコンの穴埋め代」「壁一面のクロス張替え代」として数万円単位の請求書を提示されるトラブルが後を絶ちません。不審な請求に直面したときは、その場で示談書にサインをしないことが重要です。
- 請求された見積書の項目を細かく確認する
- 「パテ埋め」や「キャップ設置」に法外な作業費が上乗せされていないかチェックする
- 国交省のガイドラインを根拠に、通常損耗にあたらないか交渉する
「プロが言うのだから払うしかない」と諦めてしまう前に、冷静に契約書やガイドラインを確認し、必要であれば専門家に相談することをおすすめします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。