原状回復や退去費用をめぐるトラブルで訴訟に発展した場合、裁判の終盤に行われるのが「当事者本人尋問(質問)」です。本人尋問は、裁判官が直接当事者に質問し、事件の真相や主張の真偽を確かめる非常に重要な手続きです。
初めて裁判を経験する方にとって、裁判官や相手方弁護士の前に立って質問に答えるのは、大きなプレッシャーを感じるものです。「うまく話せるだろうか」「言い負かされてしまわないか」と不安になる方も少なくありません。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には、退去費用や原状回復に関する裁判で多くのご相談が寄せられます。今回は、本人尋問の概要と、当日慌てずに冷静に対応するための事前準備について詳しく解説します。
【当日慌てないための心構えと対策】記憶や感情で曖昧に答えず、客観的な証拠に基づいて冷静かつ簡潔に回答することが最も重要です。代理人弁護士と事前に模擬尋問を行い、質問の意図を正確に把握する練習を重ねておくことで、当日も落ち着いて対応することができます。
本人尋問とは?原状回復裁判における位置づけ
本人尋問とは、原告(借主または貸主)および被告(貸主または借主)が、裁判所の法廷で裁判官や双方の代理人弁護士から質問を受ける手続きです。
書面(準備書面や証拠書類)のやり取りだけでは見えてこない、当時の状況や当事者の認識を裁判官が直接確認するために行われます。原状回復請求訴訟においては、例えば以下のような点が主な尋問のテーマとなります。
- 入居時や退去時の室内の汚損・破損の状況
- 大家や管理会社との間で交わされた会話や合意の内容
- 契約書や重要事項説明における特約の説明の有無
- 退去立ち会い時の状況やサインを求められた経緯
裁判官は、この本人尋問での受け答えや態度も踏まえて、最終的な判決や和解案の判断を下します。そのため、非常に重要なプロセスと言えます。
本人尋問に向けた効果的な事前準備
本人尋問で実力を発揮し、ご自身の正当性を裁判官に伝えるためには、事前の準備が不可欠です。当日までに以下の準備を入念に行いましょう。
1. これまでの主張書面と陳述書の読み込み
自分がこれまでに提出した「訴状」「準備書面」や、自身の言い分をまとめた「陳述書」の内容を完全に把握しておきましょう。尋問では、過去に提出した書面と矛盾する発言をしてしまうと、信用性を大きく損ねてしまいます。
2. 客観的な証拠の再確認
退去時の室内の写真、入居時のチェックシート、管理会社とのメールやLINEのやり取り、請求書や見積書といった証拠を確認します。「いつ、どこで、何を見たか」を具体的に思い出せるようにしておきましょう。
3. 代理人弁護士との打ち合わせ(模擬尋問)
担当の弁護士と事前に打ち合わせを行い、どのような質問が想定されるかをシミュレーション(模擬尋問)します。弁護士役からの質問に答える練習を繰り返すことで、本番の雰囲気に慣れることができます。
当日の心構えと質問への対応ポイント
いよいよ迎えた尋問の当日、法廷で気を付けるべきポイントは以下の通りです。
- 感情的にならず、冷静に話す 相手方弁護士から意地悪な質問や、こちらの不利益になるような誘導尋問をされることがあります。しかし、そこで感情的になったり、言い返したりしてはいけません。あくまで冷静に、事実だけを淡々と述べることが大切です。
- 質問されたことにだけ簡潔に答える 尋問の鉄則は「聞かれたことにだけ答える」ことです。余計な自分語りや、頼まれていない推測を付け加えると、かえって話が分かりにくくなり、不利な情報を引き出される原因になります。
- 分からないことは「分からない」と正直に答える 記憶が曖昧なことや、覚えていないことについて、適当に嘘をついたり知ったかぶりをしたりしてはいけません。記憶にない場合は、「記憶にありません」「覚えていません」と正直に答える方が、誠実な印象を与えます。
- 裁判官の目を見てハッキリと話す 質問をした弁護士だけでなく、最終的に判断を下す裁判官の顔を見て、聞き取りやすい声でハッキリと回答しましょう。
不安なときは専門の弁護士にご相談を
本人尋問は誰しも緊張するものであり、法的な知識がない状態で一人で臨むのは大きな負担となります。原状回復トラブルにおいて、法的に有利な主張を組み立て、本人尋問の対策を万全に行うためには、賃貸借トラブルに強い弁護士のサポートが不可欠です。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、訴訟手続きの代理から、本人尋問に向けたリハーサル、適切な証拠の整理まで、依頼者様を全面的にバックアップいたします。高額な退去費用請求や原状回復トラブルでお困りの際は、ぜひ当事務所へご相談ください。
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