賃貸借契約の終了に伴い、身に覚えのない高額な退去費用を請求され、それを放置していたところ裁判所から「支払督促」が届いて慌ててしまうケースは少なくありません。支払督促が届いた場合、そのまま放置すると相手の主張がすべて認められてしまい、財産の差し押さえ強制執行を受けてしまいます。
このような事態を防ぐためには、受領後2週間以内に「異議申立書」を簡易裁判所に提出する必要があります。今回は、支払督促に対する異議申立書において、原状回復費用に関する争点をどのように要約して記載すべきか、その具体的な書き方を分かりやすく解説します。
【不当な高額請求への対処と減額のポイント】請求には経年変化や通常損耗が含まれていないか、また設備の耐用年数に応じた残存価値が考慮されているかを確認し、不当な全額負担や過大な原状回復費用の支払義務がないことを主張して争います。
支払督促が届いたときの初期対応と異議申立書の役割
裁判所から特別送達で届く「支払督促」は、貸主側の主張のみに基づいて発令されるものであり、この段階では裁判所による事実関係の審査は行われていません。
そのため、請求されている原状回復費用に納得がいかない場合でも、異議申立書を期限内に提出しなければ、貸主側の請求をすべて認めたことになってしまいます。ここで重要なのは、異議申立書の段階では詳細な証拠資料を添付して長文を書く必要はなく、「請求に異議があることの意思表示」と「争点の大枠」が伝われば足りるという点です。
原状回復費用の争点を記載する際のポイント
異議申立書の「異議の趣旨」や「異議の理由」の欄には、なぜ支払いに応じられないのか、その争点を簡潔にまとめる必要があります。原状回復トラブルにおいて主張すべき主なポイントは以下の通りです。
- 経年変化や通常損耗(日焼けやクロスの汚れなど)が含まれており、借主の負担義務のない費用まで請求されていること
- 貸主が主張する工事内容や見積金額が過大であり、実際の損害額を超えていること
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の基準に照らして適正な金額を算定し直すべきであること
これらの事情をダラダラと書き連ねるのではなく、裁判所が通常の民事訴訟(または口頭弁論)へ移行して審理しやすいように要約することが求められます。
異議申立書の具体的な記載文例
実際に異議申立書の理由欄へ記載する際の、簡潔で効果的な表現のテンプレートをご紹介します。
「債権者が請求する原状回復費用(退去費用)の金額については、その全額に争いがある。本件請求には、借主の負担すべきではない建物の経年変化や通常損耗分が含まれており、過大な請求となっている。したがって、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』の基準に基づいた適正な損害賠償額についての審理を求めるため、本督促に異議を申し立てる。」
このように、「請求金額に争いがあること」と「ガイドライン基準での審理を求めること」を明確に記載することで、法的根拠に基づいた正当な争いであることが裁判所と相手方に伝わります。
異議申立後の流れと注意点
異議申立書を裁判所に提出すると、事件は通常の訴訟手続き(または少額訴訟)へと移行します。その後は、双方の主張や証拠をもとに話し合いや審理が進められることになります。
支払督促への異議申立は、あくまで「相手の言いなりにはならない」という意思表示のスタートラインにすぎません。実際に減額を勝ち取るためには、入居時の状態がわかる写真、退去時の立ち会い時の記録、そしてガイドラインに基づいた反論の準備が不可欠です。ご自身での対応に不安がある場合は、賃貸借トラブルに強い弁護士へ早めにご相談されることをおすすめします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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