賃貸借契約が終了しているにもかかわらず、正当な理由なく居座りを続ける借主に対しては、法的手段を用いた解決が必要となるケースがあります。今回は、居座り借主に対する明け渡し命令と、未納家賃や原状回復費用をまとめて請求する「建物明渡訴訟の原状回復費用併合提起」について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
【原状回復費用請求時の重要ポイント】なお、原状回復費用を請求・精算する際は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や民法に基づき、クロスの耐用年数(6年で残存価値1円)を考慮した経年劣化・通常損耗分を借主負担から除外する必要があります。もし借主側から高額な請求や不当な特約による負担を主張された場合や、話し合いに応じない場合は、弁護士などの専門家に相談して一括での法的解決を図るのが最も確実です。
居座り借主への対応と「建物明渡訴訟」の基本
賃貸借契約が期間満了や解除によって終了したにもかかわらず、借主が退去に応じない場合、大家(賃貸人)が自力で荷物を運び出したり鍵を交換したりすることは、法律上自力救済の禁止として原則禁じられています。
そのため、法的な手続きを踏んで正当に物件を取り戻すために「建物明渡請求訴訟」を提起する必要があります。訴訟を起こし、勝訴判決(または和解)を得ることで、強制執行という法的な手段によって物件を明け渡してもらうことが可能になります。
なぜ「原状回復費用」と同時に請求(併合)すべきなのか
建物明渡訴訟を提起する際によく問題となるのが、未納の家賃や、退去時に発生するはずの原状回復費用の扱いです。これらを別々の手続きで請求しようとすると、複数の裁判を起こさなければならず、時間的にも金銭的にも大きな負担となります。
そこで実務上よく取られるのが、建物明渡請求と金銭請求を同時に行う訴えの併合という手法です。これにより、以下のような大きなメリットが生じます。
- 裁判の手間と弁護士費用などのコストを一本化できる
- 解決までの期間を短縮し、早期の債権回収を目指せる
- 借主側に対しても、明け渡しと金銭支払いの両方に向き合わせるプレッシャーを与えられる
併合提起における実務上の注意点
建物明渡訴訟に原状回復費用を併合して請求する場合、いくつかの専門的な留意点が存在します。適正な金額でスムーズに判決や和解を得るためには、事前の準備が不可欠です。
請求範囲の明確化と証拠の確保
原状回復費用を請求するためには、契約書上の特約の有無や、借主の故意・過失によって生じた損害であるかを証明しなければなりません。入居時の状態確認書や退去時の詳細な見積書、写真などの証拠をしっかりと揃えておくことが重要です。
相手方の資力と強制執行の視野
判決を得ても、借主本人に支払い能力(資力)がない場合、回収が難しくなるケースがあります。明渡しと金銭請求を同時に行い、預貯金や給与などの差し押さえが可能かどうか、専門家である弁護士と戦略を立てて進めることが賢明です。
トラブルを早期に解決するために弁護士へご相談を
居座り問題や高額な原状回復費用をめぐるトラブルは、個人の力で交渉しようとしても、借主が居直るなどして膠着状態に陥ることが少なくありません。
夕陽ヶ丘法律事務所では、建物明渡請求訴訟から未納家賃・原状回復費用の併合請求、その後の強制執行手続きに至るまで、賃貸人様の負担を最小限に抑えるためのトータルサポートを行っております。泣き寝入りする前に、どうぞお気軽にご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。