賃貸の退去費用交渉で「弁護士費用も払え」と言われたら?
【対処法】貸主側や管理会社から高圧的に弁護士費用を請求された場合でも、安易に応じる必要はありません。まずは「任意の交渉段階での弁護士費用を支払う義務はない」と毅然と伝え、不当な上乗せ請求については拒否する姿勢を示しましょう。もし個人での交渉が難しい場合や、さらなる威圧的な督促に悩む場合は、消費者センターや弁護士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
賃貸物件を退去する際、想定外の高額な請求を受けて貸主側とトラブルになるケースは少なくありません。その話し合いの最中、管理会社や大家さんから「弁護士を立てたから、その費用もそっちで持ってくれ」「内容証明郵便の作成費用も上乗せして請求する」などと言われ、恐怖心やプレッシャーを感じてしまう借主様が後を絶ちません。
しかし、法的知識を持っていれば、このような理不尽な請求に対して冷静に対処することができます。この記事では、任意の交渉段階における弁護士費用請求の法的性質と、具体的な対処法について詳しく解説します。
任意の交渉段階では弁護士費用を払う義務はない
退去費用の金額について、当事者間や管理会社との間で電話や書面、あるいは直接会って話し合っている状態を「任意交渉(裁判外の交渉)」と呼びます。この段階において、相手側が勝手に弁護士に相談したり代理人を依頼したりした費用の負担義務は、原則として借主にはありません。
日本の民事訴訟の基本原則として、弁護士費用は原則として「各当事者が自己負担する(自己負担の原則)」とされています。例外的に裁判で勝訴した場合などに一部が損害賠償として認められるケースはありますが、それはあくまで裁判所が判決を下した場合の話です。
そのため、まだ裁判になっていない段階で「弁護士を入れたからその費用も払え」と主張されたとしても、それに法的根拠はありません。相手の勢いに押されて支払いに同意してしまうことのないよう注意しましょう。
相手から内容証明郵便が届いた場合も同様
貸主側が弁護士の名前を使って「内容証明郵便」を送付してくることがあります。赤い封筒や厳格な文面に気圧されてしまう方も多いですが、内容証明郵便はあくまで「このような主張・請求をしています」という意思表示の書面にすぎません。
内容証明郵便が届いたという事実だけで、裁判で判決が出たのと同じ効力が生じるわけではありません。そこに記載されている弁護士費用や法外な退去費用を、そのまま全額支払う義務があるわけではないのです。
貸主側が弁護士費用を請求してくる心理と背景
なぜ貸主側や管理会社は、自分たちが依頼した弁護士の費用まで借主に請求しようとするのでしょうか。そこには以下のような背景や心理が隠されています。
- 早く交渉をまとめて自分たちの主張を通したい
- 弁護士という権威を使うことで借主を威圧し、支払わせたい
- 交渉にかかったコスト(弁護士報酬)を相手に負担させたいという身勝手な思惑
賃貸借契約書や特約に「紛争が生じた場合の弁護士費用は借主が負担する」といった旨の条項が記載されているケースも見受けられますが、消費者契約法に照らし合わせて不当条項とみなされる可能性が高く、そのまま有効と認められないケースも多々あります。
高額な退去費用や不当な請求への正しい対処法
もしあなたが貸主側から高額な退去費用に加え、弁護士費用や手数料の支払いを強要されているのであれば、以下の手順で冷静に対応しましょう。
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認し、本来の負担区分を把握する
- 相手の要求に対して、根拠のない費用(弁護士費用など)については「支払う法的根拠がない」旨を文書やメールなどの形で記録に残るように伝える
- 感情的にならず、客観的な証拠(入居時のキズの写真や契約書など)をもとに反論する
- 必要に応じて、自身でも専門家に相談する
貸主側が強硬な態度に出てくると、個人でやり取りをするのは精神的にも大きな負担になります。「裁判にするぞ」と脅されると、つい言いなりになってしまいがちです。
しかし、相手の弁護士費用を支払う法的義務がないのと同様に、退去費用そのものについても「借主に故意・過失がある損耗」以外は支払う必要がありません。不当な請求に対しては、毅然とした態度で臨むことが大切です。
ひとりで悩まずに、まずは私たち専門家である弁護士にご相談ください。あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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