店舗の賃貸借契約において、特に頭を悩ませやすいトラブルの一つが「自動ドア」や「ガラスファサード(前面ガラス張り)」の原状回復です。テナントとしての個性を出すために変更した外観は、退去時に思わぬ高額な工事費用を請求されるケースが少なくありません。
今回は、店舗の「自動ドア」や「ガラスファサード」の原状回復における法的・実務的なポイントについて、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
店舗の自動ドア・ガラスファサードの原状回復のポイントとは?
【高額請求への対処法と減額交渉】見積もりに納得がいかない場合は、一式請求ではなく工事の内訳明細書の開示を求め、複数の業者による相見積もりを実施することが有効です。また、契約書の原状回復特約の有効性や、造作の残存価値を精査することで、不当な高額請求を適正価格まで大幅に減額できる可能性があります。トラブルが難航する場合は弁護士などの専門家に早めに相談しましょう。
店舗の顔ともいえるファサード部分は、ビルの外観や資産価値に直接影響するため、住宅以上に厳格な原状回復が求められます。
自動ドアの設置やガラス面の変更を行った場合、退去時には主に以下のような工事が必要となります。
- 入居後に増設した自動ドアおよびセンサー等の関連設備の撤去
- テナント仕様に変更したガラス面やサッシの撤去
- ビル元来の標準的な枠組みやドアへの復元工事
増設した自動ドアやガラスファサードの撤去・復元義務
テナントとして入居した際、集客力を高めるために手動ドアを自動ドアに変更したり、壁面を大きなガラスファサードに改修したりするケースはよく見られます。
賃貸借契約における「原状回復」の原則として、借主(テナント)は「賃借人が自己の都合で設置した造作や設備を撤去し、スケルトンあるいは入居時の状態に戻す義務」を負います。
そのため、以下のような工事は基本的には借主側の費用負担で行う必要があります。
- 後付けした自動ドア本体および開閉装置の撤去
- デザイン性の高い特殊なガラスから、ビル指定の標準ガラスへの入れ替え
- サッシ枠の変更に伴う外壁や床の補修作業
もし勝手に現状のまま引き渡そうとすると、貸主側から高額な損害賠償請求や、業者を手配した上での工事費用請求がなされるリスクがあります。
トラブルを防ぐための契約確認と交渉のポイント
自動ドアやガラスファサードの復元工事は専門的な技術が必要となるため、見積もり金額が数百万円にのぼることも珍しくありません。高額な請求に直面した際は、以下のポイントを確認しましょう。
1. 賃貸借契約書および特約の確認
通常の原状回復ガイドラインは居住用物件を想定しているため、店舗物件では「契約書や特約の内容」が最優先されます。特約に「退去時はスケルトン戻しとする」「外観はビル指定の仕様に完全復元する」といった文言がある場合、原則としてその通りに履行する義務が生じます。
2. 入居時の状態(引き渡し時の状態)の確認
もし入居した当初からその自動ドアやガラスファサードが設置されていた(居抜き物件など)場合、現在の借主にはそれを撤去する義務はありません。入居時の図面や写真、重要事項説明書などを確認し、「前借主の残置物」ではないかを証明することが重要です。
3. 貸主側指定業者との見積もり検証
貸主側から「指定業者による工事でなければ認めない」と言われるケースが多くあります。しかし、提示された見積もりが適正価格から乖離して過度に高額である場合は、他社の相見積もりと比較した上で、減額交渉を行う余地があります。
自動ドアやガラスファサードの原状回復を巡るトラブルは、専門的な知識がなければ貸主側の主張通りに支払わざるを得なくなるおそれがあります。不当な高額請求にお悩みの方は、一人で抱え込まずに弁護士へご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。