賃貸オフィスの退去やテナントの明け渡しにあたり、ビルオーナー側から「指定業者」による原状回復工事を義務付けられるケースは少なくありません。しかし、その指定された業者が行った工事において、手抜き工事やずさんな施工が発覚した場合、借主としては納得がいかないはずです。
「ずさんな施工のやり直しはしてもらえるのか」「追加費用を請求されたら支払う必要があるのか」といった疑問や不安を抱える借主に向けて、法的観点から適切な対処法を解説します。
ビル指定業者の手抜き工事!やり直し要求と追加費用への対処法
【追加費用の不払いと対処法】手抜き工事の原因や施工ミスが業者側にある場合、やり直しにかかる追加費用を借主が負担する必要は一切ありません。ビル側や指定業者から追加請求をされた場合は、施工不良の証拠写真を保全した上で毅然として支払いを拒絶し、必要に応じて専門家を交えた交渉を行うことが重要です。
ビル指定業者とは?契約関係と法的責任の基本
テナントビルからの退去時、オーナーや管理会社から「ビルの指定する業者以外は使えない」と告げられることがあります。この指定業者制度自体はビル全体の安全管理や設備の保全を理由に運用されていますが、法的な契約関係においては注意が必要です。
表向きはビル側が業者を指定し、見積もりや施工が進められますが、実際の工事費用の支払い主体や施主(契約者)は原則として退去する借主本人となります。したがって、借主は正当な工事を受ける権利を持つ「発注者」の立場に立ちます。
施工に不備がある場合、その責任は施工を行った業者に帰属します。特にビル側が強制した指定業者であるからこそ、不備があった際の追及や責任の所在については、泣き寝入りせずにしっかりと主張することが重要です。
手抜き工事・ずさんな施工に対する「追完請求」の権利
民法上の「契約不適合責任」に基づき、引き渡された目的物(この場合は原状回復されたテナント物件)が契約の内容に適合しないものであるとき、注文者である借主は施工業者に対して修補(やり直し)の請求を行うことができます。
床の傾き、壁クロスの雑な貼り方、設備の配管ミスなど、あきらかなずさんな施工が見つかった場合は、写真や動画などの証拠を残したうえで、速やかに業者およびビルオーナーへ通知しましょう。
施工不良を放置したまま明け渡しを完了してしまうと、「借主がその状態を了承した」とみなされてしまうリスクがあります。引き渡し前、あるいは引き渡し直後の段階で不備を発見した場合は、速やかに是正を求めることが不可欠です。
追加費用を請求された場合の正しい拒絶方法
手抜き工事のやり直しを求めた際によくあるトラブルが、「やり直すには別途費用がかかる」「構造上、これ以上の修正には追加見積もりが必要だ」などと、追加の費用を要求されるケースです。
しかし、これは明らかに不当な請求です。
- 当初の見積もりに含まれるべき通常の施工が適切に行われていなかったこと
- 不備の原因が指定業者側の手抜きや技術不足にあること
上記のような理由から、やり直しにともなう追加費用を借主が支払う法的義務はありません。「施工不良の修補は、前回の工事の延長(完全な履行)として無償で行うべきである」と毅然とした態度で拒絶する必要があります。
もし、指定業者やビル側が追加費用の支払いを強要してくる、あるいは話し合いに応じない場合は、個人で対応し続けるのではなく、弁護士などの専門家に相談して法的書面を通知するなどのステップを検討しましょう。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。