賃貸物件を借りている際、室内だけでなく「庭」の管理についても借主の責任が問われることをご存知でしょうか。特に、庭の芝生や植木を放置して枯らせてしまった場合、退去時に高額な原状回復費用を請求されるトラブルが後を絶ちません。
このコラムでは、庭の植栽管理に関する借主の義務と、枯らしてしまった場合の費用負担の考え方について詳しく解説します。
【不当請求への対処法と減額交渉】貸主側から庭全体の大規模な造園工事費用や法外な高額請求をされた場合は、「善管注意義務の範囲内であったこと」「自然枯死や日照不足の可能性があること」「残存価値を考慮した減額」を主張して交渉しましょう。もし高額請求の支払いを強要されてトラブルになった際は、泣き寝入りせずに消費者センターや原状回復に精通した専門家・弁護士へ早めに相談することをおすすめします。
賃貸物件の庭における借主の「管理義務」とは
賃貸借契約において、借主には「善管注意義務(善良な管理者の注意義務)」と呼ばれる法律上の義務が課せられています。これは、借りている物件を自分の所有物と同じように大切に扱い、適切に維持・管理しなければならないという義務です。
建物の中だけでなく、専用庭やバルコニーなどの付帯設備についてもこの義務が及びます。したがって、庭付きの物件を借りた場合、借主には以下のような日常的な管理を行う責任が生じます。
- 雑草の定期的な駆除(除草)
- 芝生の水やりや芝刈り
- 植木の水やり、剪定(せんてい)、害虫駆除
これらの手入れを怠り、庭をジャングルのような状態に放置した結果、植木や芝生を枯らせてしまった場合は、管理義務違反(契約違反)とみなされる可能性が高くなります。
芝生や植木を枯らせた場合の原状回復費用
では、実際に庭の管理を怠って芝生や植木を枯らしてしまった場合、どのような費用が請求されるのでしょうか。費用の内訳としては主に以下のものが挙げられます。
- 除草・整地費用:雑草が繁茂して手がつけられなくなった場合の草刈り・抜根費用
- 植木の植え替え費用:枯死した樹木の撤去および新しい同等品への植え替え費用
- 芝生の張り替え費用:手入れ不足で枯死・荒廃した芝生の剥ぎ取りおよび再施工費用
これらの費用全額を借主が負担しなければならないかというと、必ずしもそうではありません。不動産トラブルの基準となる「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)」の考え方に照らし合わせ、責任の所在を明確にする必要があります。
借主が全額負担となるケース
明らかに借主の過失によるものは、借主が費用を負担することになります。
- 長期間不在にして全く水やりをせず、植木や芝生を全滅させた
- 雑草を放置しすぎて害虫が発生し、近隣トラブルに発展するほど荒廃させた
- 契約で禁止されているにもかかわらず勝手に庭を改変し、そのまま枯らした
貸主(オーナー)が負担すべきケース
一方で、借主の責任とは言えない枯れ方については、原則として貸主側の負担となります。
- 入居当初から樹木が病気にかかっていた、または寿命を迎えていた
- 建物の構造的な問題(著しい日照不足など)により、植物が育たない環境だった
- 台風や大雪などの自然災害、不可抗力による枯死
トラブルを防ぐための対策と弁護士への相談
退去時に高額な庭の修繕費を請求され、納得がいかないトラブルに発展するケースは少なくありません。特に「最初から枯れかけていた」「どこまでが借主の管理範囲かわからない」といった曖昧な点は、後々の大きな争点になります。
トラブルを未然に防ぐため、また不当な請求から身を守るためには、以下のポイントを意識してください。
- 入居時や日頃の庭の状態を写真や動画で記録しておく
- 庭の管理について契約書の内容(特約の有無など)をしっかり確認する
- 貸主側から法外な植え替え・除草費用を請求された場合は安易に支払いに応じない
もし、貸主側から高額な庭の補修費用を請求され、話合いが平行線をたどっている場合は、一人で悩まずに法律の専門家である弁護士にご相談ください。契約内容やガイドラインに基づき、適正な金額への減額交渉をサポートいたします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。