賃貸物件を退去する際、「ハウスクリーニング特約」を理由に高額な費用を請求され、納得がいかずにトラブルになるケースが後を絶ちません。契約書に署名したからといって、貸主からの請求がすべて正当であるとは限りません。
今回は、不当に高額なハウスクリーニング費用や二重請求が行われた事例に対し、弁護士が法的な観点とガイドラインを用いて適正額に是正・減額したモデルケースについて分かりやすく解説します。
【対処法】契約書への署名があるからといって言いなりになる必要はありません。国土交通省の原状回復ガイドラインに基づき、客観的な相場や二重請求の有無を精査し、弁護士等の専門家を交えて適正額への是正を求めることが極めて有効です。
ハウスクリーニング特約とは?法的有効性の判断基準
ハウスクリーニング特約とは、賃貸借契約において「退去時には借主の負担で専門業者による全体清掃を行う」という特約のことです。
裁判例や消費者契約法上、この特約自体が直ちに無効となるわけではありません。しかし、有効と認められるためには以下の厳格な要件を満たす必要があります。
- 特約の必要性が客観的に存在すること
- 契約締結時に、借主に対して口頭および書面で明確な説明がなされていること
- 負担する清掃費用の金額が、業界の一般的な相場からかけ離れていないこと
これらを満たさない不当な特約に基づく請求については、弁護士が介入することで適正額への是正を求めることができます。
相談事例:高額請求と二重請求が重なったトラブル
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所に実際に寄せられた相談をベースにしたモデルケースをご紹介します。
相談者のAさんは、3年居住したマンションを退去する際、管理会社から「ハウスクリーニング特約に基づき、2LDKで15万円を支払うように」と請求されました。さらに、壁紙のクロスの張替費用やエアコン内部洗浄費用なども別途計上されており、合計で25万円を超える請求書が届いたのです。
Aさんは「綺麗に使っていたのに高すぎる」と感じ、当事務所へ相談にいらっしゃいました。
弁護士による是正・減額交渉のアプローチ
弁護士が受任後、管理会社および大家に対して以下の法的主張を行いました。
- 相場を大きく逸脱した金額の不当性 2LDKの一般的なハウスクリーニング相場は5万〜8万円程度であり、15万円という金額は相場の倍以上であり、消費者契約法第10条に違反し無効であると主張しました。
- クロス張替等との二重請求の排除 ハウスクリーニング費用が含まれているにもかかわらず、部分的・全体的な清掃を前提とする工事費用が別項目で二重に請求されている点を指摘し、重複部分の削除を求めました。
- 国土交通省のガイドラインの活用 通常の経年変化や損耗については貸主負担原則であることを示し、不必要な修繕費用の撤回を迫りました。
交渉の結果、適正額への減額に成功
弁護士が法的な根拠をもとに毅然とした交渉を行った結果、管理会社側も主張の無理を認めました。
結果として、ハウスクリーニング費用は適正な相場である7万円に減額され、さらに二重請求となっていた別の修繕費用約8万円も全額カットされることになりました。合計で約16万円の減額に成功し、Aさんは無事にトラブルを解決することができました。
まとめ:高額な退去費用請求は支払う前に専門家へご相談を
ハウスクリーニング特約のトラブルでは、「契約書にハンコを押したから仕方がない」と諦めてしまう方が非常に多くいらっしゃいます。しかし、法外な金額の請求や二重請求は、適切な法的アプローチによって適正額に是正することが可能です。
もし納得のいかない退去費用やクリーニング代を請求されたときは、ご自身だけで悩まずに、不動産トラブルに強い弁護士へお早めにご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。