賃貸借契約の終了時、貸主側から「特約」を盾に高額な退去費用を請求され、支払いを拒否していたところ、突然裁判所から「少額訴訟」や「支払督促」の書類が届いて動揺してしまう借主様が後を絶ちません。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所には、「訴状が届いたがどう対応していいかわからない」「不当な特約だから無視してもいいか」というご相談が多く寄せられます。
この記事では、貸主側から少額訴訟を起こされた場合の具体的な応訴方法や、答弁書の書き方、そして特約の法的有効性を裁判所で争うための実務について詳しく解説します。
【「原状回復をめぐるトラブルガイドライン」や消費者契約法第10条に照らし、特約が客観的に見て借主に一方的で不利な不当条項であることを主張します。】また、クロスや床の耐用年数(減価償却)を考慮していない全額請求や、通常損耗・経年劣化分が含まれている場合は、法的根拠を示して減額を求めます。不安な場合は弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。
裁判所から書類が届いたときに絶対にやってはいけないこと
貸主から少額訴訟の訴状や支払督促の通知が届くと、驚いてパニックになってしまう方も少なくありません。しかし、ここで最も危険なのは「書類を放置すること」です。
裁判所からの呼び出しを無視して期日に出頭しなかったり、答弁書を提出しなかったりすると、原告である貸主側の主張がすべて認められてしまいます(欠席判決)。その結果、不当な特約に基づく請求であっても、そのまま全額の支払いを命じる判決が下されて強制執行(差押え)のリスクが生じます。
たとえ相手の主張に納得がいかなくても、届いた書類を確認し、適切な応訴手続きを進めることが何よりも重要です。
少額訴訟における「答弁書」の役割と書き方
少額訴訟を起こされた場合、同封されている「答弁書」用紙に記入して裁判所に提出することになります。答弁書は、原告の請求に対する被告(借主)側の言い分を伝えるための非常に重要な書面です。
答弁書には、主に以下の点を記載します。
- 原告の請求を棄却することを求める旨(全部または一部を認めない)
- 契約書の「特約」が無効である理由
- 国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づく適正な負担範囲
特約の有効性を争う際は、感情的に「高すぎる」「納得がいかない」と書くのではなく、法的根拠に基づいて主張することが不可欠です。
「特約」が法的に無効と判断されるケースとは
賃貸借契約書に記載されている特約であれば、何でも有効になるわけではありません。最高裁判所の判例や消費者契約法により、以下の条件に当てはまる特約は法的無効と判断されます。
- 借主に一方的に不利であること
- 暴利的な金額であること(例:通常損耗レベルのクロス全面張替え費用を全額負担させるなど)
- 契約締結時に、特約の必要性や内容について明確な説明・合意がなされていないこと
特に、ハウスクリーニング特約や畳の表裏替え特約などであっても、あまりに借主の負担が重すぎるものは、消費者契約法第10条により無効と主張できる余地が十分にあります。
裁判所での審理に向けた実務と弁護士のサポート
少額訴訟は、原則として1回の期日で審理を終え、その日のうちに判決が出されるスピード感のある手続きです。そのため、事前の準備が勝敗を大きく分けます。
裁判当日は、契約書、退去時の写真、見積書、そして貸主とのやり取りの記録などを証拠として持参し、なぜ特約が無効であるのかを論理的に説明しなければなりません。
もし、ご自身だけで法的な反論を組み立てるのが難しい場合や、仕事などで裁判所への出頭が負担である場合は、弁護士を代理人として立てることで、適切な答弁書の作成から法廷での応訴までをすべて任せることができます。
不当な特約による高額請求でお困りの方は、訴訟を起こされた段階で、あるいはその前段階であっても、早めに専門家である弁護士へご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。