賃貸借契約の終了時に突然請求された高額な退去費用。納得がいかずに弁護士へ依頼を検討する際、「弁護士に支払う費用は、相手(大家や管理会社)に請求できるのだろうか」と疑問に思う方は少なくありません。
結論からお伝えすると、日本の民事訴訟の原則として弁護士費用は自己負担が基本ですが、事案の性質や交渉・裁判の結果によっては、相手に請求できるケースがあります。ここでは、弁護士費用を相手に負担させることが可能なのか、その法的根拠や回収のポイントについて詳しく解説します。
【不当請求への対処と回収のポイント】クロスやフローリングの耐用年数(6年で残存価値1円)や通常損耗・経年劣化の借主負担免除ルールを踏まえ、不当な高額請求に対しては弁護士を通じて権利濫用や不法行為を主張・立証することで、弁護士費用を含めた損害賠償請求の認められる可能性を高めることができます。
弁護士費用は原則「自己負担(敗訴者負担主義の例外)」
日本の裁判制度では、原則として「自分の身についた弁護士費用は自分で払う(自己負担)」というルール(各当事者負担の原則)が採られています。
これは、経済的に弱い立場にある人が裁判を起こす権利を不当に制限されないようにするための配慮でもあります。そのため、退去費用の返還請求訴訟を自分で起こした場合や弁護士に依頼した場合でも、かかった費用の全額をそのまま相手に上乗せして請求できるわけではありません。
しかし、不法行為や不当な請求によって多大な損害を被ったケースなどでは、例外的に弁護士費用の一部を相手に請求できる道が開かれています。
裁判で弁護士費用が認められるケース
退去費用トラブルを裁判(訴訟)で解決する場合、どのような条件が揃えば弁護士費用を相手に払わせることができるのでしょうか。
不法行為や権利濫用と認められる場合
大家や管理会社からの度を超えた嫌がらせや、明確に法外であると知りながら不当な高額請求を執拗に行ってきたようなケースでは、それが「不法行為」や「権利の濫用」と評価されることがあります。
裁判所がこれを認めた場合、判決において「原告が支払った弁護士費用の一部」を損害賠償の一部として加算することが認められるケースがあります。
認められる金額の目安は「請求認容額の約1割」
仮に裁判で弁護士費用の請求が認められたとしても、弁護士に支払った全額が返ってくるわけではありません。実務上、裁判所が相手に負担を命じる弁護士費用は、裁判で勝訴(認容)となった金額の10%前後(約1割)が一般的な相場とされています。
示談交渉による回収の可能性
裁判を起こさず、弁護士が代理人となって相手(管理会社や大家)と行う「示談交渉」の段階では、法律上の自動的なルールはありません。しかし、交渉次第で弁護士費用を回収できるケースは多くあります。
和解条項に盛り込む
弁護士が介入し、相手の請求の不当性(国交省ガイドライン違反など)を論理的に指摘することで、相手が裁判での敗訴リスクを恐れて和解に応じることがあります。
その際、示談書の作成にあたって「解決金」や「和解金」という名目で、弁護士費用相当額を相手に負担させる合意を取り付けることが可能です。これは当事者間の合意次第であるため、プロである弁護士の交渉力が大きく影響します。
弁護士費用を考慮した費用対効果の検討
退去費用のトラブルで弁護士に依頼するかどうかを考える際は、以下の点を比較することが重要です。
- 弁護士に依頼する費用(着手金・報酬金など)
- 相手から取り戻せる退去費用の差額
- 相手から弁護士費用(または和解金)を引き出せる可能性
例えば、過剰請求された退去費用が3万円程度である場合、弁護士費用の方が高くなってしまい、経済的なメリット(費用対効果)が薄れてしまうことがあります。
一方で、10万円、20万円、あるいはそれ以上の高額な修繕費を請求されている場合は、弁護士に依頼して適正金額へ減額してもらうことで、結果的に手元に残る金額が大きくなるケースが十分にあります。
まとめ:高額な退去費用でお悩みなら弁護士へご相談を
退去費用トラブルにおいて、弁護士費用を相手に完全に支払わせることは簡単なことではありません。しかし、適切な法的主張や交渉を行うことで、裁判での判決や和解を通じて一部または全部の回収を目指すことは十分に可能です。
「あまりにも法外な退去費用を請求されて納得がいかない」「自分一人では管理会社や大家と交渉ができない」とお悩みの方は、泣き寝入りしてしまう前に、まずは一度弁護士へご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。