賃貸物件を退去する際、入居者が未成年であるケースは珍しくありません。学生の上京や就職などを機に、親の同意を得て契約するケースが多く見られます。しかし、いざ退去という段階になって高額な退去費用を請求され、「未成年との契約は取り消せるのか」「親にはどこまで支払い義務があるのか」と悩む借主や保護者の方は少なくありません。
この問題について、法律的な観点から結論と対処法を分かりやすく解説します。
【高額請求への対処法と減額交渉】未成年を理由にした不当な全額負担や、過剰なハウスクリーニング代等の請求を受けた場合は、見積書の詳細な確認と、ガイドラインに基づいた減額交渉が必要です。話合いで解決しない場合や法的な判断に迷うときは、消費生活センターや専門の弁護士に早めに相談することをおすすめします。
未成年が契約した賃貸物件と親の責任の基本
未成年者が賃貸借契約を締結する場合、法律上いくつかの重要なルールが存在します。退去時におけるトラブルを防ぐためにも、まずは基本知識を押さえておきましょう。
未成年者契約の取消権と法定代理人の同意
民法上、未成年者が結んだ契約は、原則として親などの法定代理人の同意を得ていなければ、後から「未成年者取り消し」として取り消すことができます。
しかし、賃貸借契約を締結する際、ほとんどのケースで親(法定代理人)の同意書が提出されているか、親自身が契約者(または連帯保証人)となっています。もし親の同意を得て有効に成立した契約であれば、後から「未成年だから契約をなかったことにする」と主張して退去費用の支払いを免れることはできません。
退去費用は誰に請求されるのか
賃貸借契約が有効に成立している場合、原状回復義務や退去費用を支払う義務は、本来は契約者である未成年本人にあります。
ただし、現実には未成年者に十分な資力がないことが多く、また次項で解説する理由から、大家さんや管理会社は親に対して請求を行うのが一般的です。
親に退去費用の支払い義務が発生する2つの理由
未成年者の退去に関して、親に支払い義務が及ぶ理由は主に以下の2点です。
1. 連帯保証人としての責任
多くの賃貸借契約では、未成年者が契約者であっても、親が連帯保証人(または保証人)として署名・捺印しています。
連帯保証人は、主債務者(未成年である子ども)と同等の支払い義務を負います。したがって、退去時に発生した家賃滞納分や高額な原状回復費用についても、連帯保証人である親に対して直接請求がなされます。
2. 親権者の監督責任(民法714条)等
もし親が連帯保証人になっていないケースであっても、未成年者が故意や重大な過失によって部屋を著しく破損させた場合、親権者としての監督義務違反や契約上の付随義務違反に基づき、損害賠償責任を問われる可能性があります。
ただし、通常の経年劣化や損耗については、借主側に修繕義務はありません。これは未成年・成人を問わず、国交省のガイドラインに基づき判断されます。
高額な退去費用を請求されたときの対処法
「未成年だから親が払うしかない」と諦めてしまうのは早計です。近年、賃貸の退去時に法外なクリーニング代やリフォーム費用を請求されるトラブルが多発しています。親や本人が請求を受けたときは、以下のステップで冷静に対処しましょう。
- 請求内容(見積書)を細かくチェックする クロスの全面張替えや、経年劣化が含まれていないか確認します。
- 国交省のガイドラインを確認する 貸主負担と借主負担の区分を照らし合わせ、不当な請求がないか精査します。
- 安易にその場でサインや支払いをしない 納得がいかないまま支払いに同意すると、後から覆すのが難しくなります。
もし、大家側から高額な請求をされて話し合いが平行線をたどる場合や、未成年・親の立場につけこんで不当な請求をされていると感じたときは、専門家である弁護士への相談をおすすめします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。