賃貸物件の契約を終了する際、大きなトラブルになりやすいのが退去時の原状回復費用です。特に高齢者向け賃貸住宅や、バリアフリー仕様に改修した一般物件からの退去では、一般的な物件とは異なる設備が多く、費用負担を巡って貸主と借主の間で意見が対立しがちです。
今回は、「高齢者賃貸 退去費用」を主要キーワードに、車椅子による床の傷や手すりの設置痕といった、高齢者向け賃貸特有の原状回復ルールについて詳しく解説します。適切な法的知識を身につけ、不当な高額請求を防ぎましょう。
「高齢者向け賃貸・介護付き住宅」の退去時におけるバリアフリー設備と原状回復について
【不当請求への対処法】高額請求された場合は、ガイドラインの遵守や経過年数(残存価値1円)を根拠に減額交渉を行いましょう。 無理な特約による全額負担を求められた場合でも、消費者契約法等に照らして無効を主張できるケースが多数あります。泣き寝入りせず、専門知識を用いた文書での交渉や消費者センター・専門家への相談を検討してください。
高齢者向け賃貸住宅や介護付き有料老人ホーム、あるいは一般の賃貸物件をバリアフリー改修して入居していた場合、退去時の原状回復の考え方は一般的な物件と少し異なります。
法律上、借主が負担すべき原状回復義務は「借主の故意・過失、善管注意義務違反など、通常の使用を超えるような損耗」に限られます。高齢者の身体的特徴や生活の必要性に伴う損耗は、この範囲から除外されるケースが多くあります。
車椅子による床の傷・凹みは誰の負担になるのか?
高齢者や要介護者が生活する上で欠かせない車椅子。移動の際にフローリングにタイヤ痕がついたり、重みで床が凹んだりすることがあります。これらに対する退去費用の請求について悩む方は少なくありません。
通常損耗とみなされるケース
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、畳の焼け焦げや家具の設置による床の凹みなどは、原則として「通常損耗」または「経年変化」に含まれ、借主の負担とはならないとされています。
車椅子の使用も、日常生活を営む上で不可欠な行為です。そのため、通常の生活において発生した車椅子のスレ傷や軽い凹みについては、原則として貸主が負担すべき「通常損耗」と判断される可能性が高いといえます。
借主負担となる例外的なケース
一方で、以下のような場合は借主が費用を負担しなければならないことがあります。
- 車椅子を雑に扱い、床を大きくえぐってしまった場合
- マットレスや養生を敷かずに、車椅子からの移乗で床を著しく破損させた場合
- 損耗を発見していながら放置し、劣化を拡大させた場合
手すりの設置痕や壁のビス穴の扱いについて
浴室やトイレ、廊下などに手すりを設置することは、転倒防止の観点から非常に重要です。しかし、退去の際に「壁のビス穴やネジ痕はどうなるのか」と不安になる方が多くいらっしゃいます。
バリアフリー改修の必要性と原状回復
高齢者が安全に暮らすための手すり設置は、いわば「生活上の必要性」に基づいたものです。そのため、手すりを取り付けたことによる壁のビス穴や下地の傷について、すべて借主の責任として全額修繕費用を請求することは不当であるケースが多々あります。
契約時に貸主の承諾を得て設置したものであれば、なおさらその傾向が強くなります。ただし、無断で大規模な穴あけや壁の切断を行った場合などは、トラブルに発展しやすいため注意が必要です。
高齢者賃貸の退去トラブルを防ぐためのポイント
高額な退去費用を請求されたり、不当な負担を強いられたりしないために、入居中および退去時には以下のポイントを心がけましょう。
- 入退去時の「確認書」を必ず作成し、写真に残しておく
- 契約書の内容(特約事項)を事前にしっかり確認する
- 高額な請求を受けた場合は、すぐに署名・捺印をせず専門家に相談する
特に、高齢のご本人やそのご家族だけで貸主や管理会社と交渉すると、言いくるめられて高額な請求を支払ってしまうケースが見受けられます。納得がいかない請求を受けたときは、一人で悩まずに法律の専門家へ相談することをおすすめします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。