賃貸物件を退去する際、お部屋の中だけでなく、共用部分や駐車場、駐輪場の状態についても原状回復の義務が生じます。特にトラブルになりやすいのが、駐輪スペースに残された放置自転車の撤去費用や、指定されていた駐輪ステッカーの剥がし忘れによる痕の補修費用です。
今回は、これらが退去時の精算でどのように扱われるべきか、法的根拠や国土交通省のガイドラインを踏まえて詳しく解説します。
【不当請求への対処法と減額交渉】身に覚えのない放置自転車の処分費用を請求されたり、ステッカー痕に対する過大な補修代を請求された場合は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を根拠に不当な特約の有無を確認し、写真証拠とともに毅然とした減額交渉を行いましょう。
退去時の駐輪場トラブル:放置自転車の撤去費用は誰が払う?
引越しの際、「もう乗らないから」「処分するのが面倒だから」と、以前乗っていた自転車や壊れた自転車をそのまま駐輪場に放置して退去してしまうケースが見受けられます。
結論からお伝えすると、退去時に駐輪場へ自転車を放置した場合、その撤去処分にかかる費用は原則として借主の負担となります。
賃貸借契約において、借主は契約終了時に物件を元の状態に戻して明け渡す「原状回復義務」を負います。これには専有部分だけでなく、契約時に利用が許可されていた共用スペースや付属駐車場・駐輪場も含まれます。
勝手に放置された私物を処分するには、法的な手続きや運搬・廃棄のコストがかかります。管理会社やオーナーが代行して処分した場合、その実費が「原状回復費用」として敷金から差し引かれたり、別途請求されたりすることになります。
勝手に処分できない貸主側の事情
「勝手に捨ててくれればいいのに」と思われるかもしれませんが、他人の所有物を勝手に処分することは法律上トラブル(自力救済の禁止など)に発展するリスクがあるため、貸主側も慎重にならざるを得ません。
- 放置自転車に「〇月〇日までに移動してください」という警告札を一定期間貼る
- 所有者の特定や警察への盗難届の確認を行う
- 専門の業者を手配して合法的に処分する
こうした手続コストや作業費用の全額、あるいは一部が、放置した本人である元借主に請求されるのは法的に見ても正当な理由があると言えます。
駐輪ステッカーの剥がし忘れや痕(あと)をめぐる請求の是非
次に問題になりやすいのが、駐輪場の管理用として貼っていた駐輪ステッカーの剥がし忘れや、剥がした後に残ったノリ・塗装の変色(ステッカー痕)に関する費用です。
「きれいに剥がさなかったから」という理由で、管理会社から駐輪ラックや床面の塗装費用などを高額請求されるケースがありますが、これには注意が必要です。
経年劣化・通常損耗にあたるかの判断
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、賃貸物件の損耗を「借主の責任によるもの(故意・過失・善管注意義務違反)」と「経年劣化・自然損耗」に分けて考えています。
- 借主負担になりやすいケース ステッカーを無理に剥がそうとして駐輪ラックや床面を深く傷つけてしまった場合や、故意に落書きをしたようなケースなどは、借主の過失によるものとして補修費用が請求されることがあります。
- 貸主(オーナー)負担になるケース ステッカーの経年劣化による日焼け、のり残り、あるいは一般的な方法で剥がした際に自然とできてしまう軽微な変色などは、通常の生活を送る上で避けて通れない「経年劣化・通常損耗」とみなされます。
管理費や共益費には、こうした共用部分の日常的な維持管理コストも含まれているため、常識的な範囲内の汚れや痕まで借主に修繕費用を請求することは不当である可能性が高いといえます。
高額な請求に納得がいかない場合の対処法
もし、放置自転車の処分費用や、駐輪ステッカーの痕に関する修繕費として、不自然に高額な請求書を突きつけられた場合は、その場で支払いに応じる必要はありません。
以下のステップで冷静に対応しましょう。
- 駐輪場の状況やステッカー痕の写真を細かく撮影しておく
- 契約書の特約事項に「駐輪ステッカーの原状回復に関する特別な取り決め」が明記されているか確認する
- 「国交省のガイドライン」を参考に、経年劣化や通常損耗にあたらないか主張する
泣き寝入りをしてしまう前に、適正な費用の範囲内であるかをしっかりと見極めることが重要です。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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