賃貸物件の退去時、浴室暖房乾燥機(24時間換気システム)の汚れや異音を理由に、高額な清掃費用や修理代を請求されてトラブルになるケースが後を絶ちません。「フィルターの掃除をしていなかったから」「換気扇から変な音がするから」という理由で、すべての費用を借主が負担しなければならないのでしょうか。
今回は、浴室乾燥機のフィルター汚れや異音、修理費用に関する原状回復のルールについて、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
【不当請求への対処法】「掃除していなかったから」という理由だけで全額請求されたり、新品交換費用を全額要求されたりした場合は不当な高額請求の可能性が高いため、通常損耗であることの主張や、減額交渉、さらには専門家や弁護士の活用を視野に入れて毅然と対応しましょう。
浴室乾燥機のフィルター汚れと借主の「善管注意義務」
賃貸借契約において、借主には「善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)」が課されています。これは、物件を常識的な範囲で丁寧に扱い、維持する義務のことです。
浴室暖房乾燥機や24時間換気システムのフィルターは、ホコリやカビが溜まりやすい場所です。これらを長期間放置し、通常の掃除では落とせないほどの目詰まりやカビを発生させた場合、借主の善管注意義務違反とみなされる可能性があります。
この場合、以下のような費用が借主の負担となることがあります。
- 業者を入れなければ落ちないほどの重度な汚れのクリーニング代
- フィルターの破損や紛失による交換費用
ただし、日常的に手の届く範囲で掃除を行っていた場合や、通常の使用に伴うわずかな汚れについては、経年劣化や通常損耗(自然損耗)に含まれるため、退去時に借主が費用を負担する必要はありません。
ファンモーターの異音・故障はどちらの負担?
「浴室乾燥機をつけるとゴーッと音がする」「ファンの回転音がうるさい」「動かなくなった」といった不具合が生じることがあります。こうしたファンモーターの経年劣化や機械的な故障について、多くの借主が「自分の使い方が悪かったのではないか」と不安に感じてしまいます。
しかし、換気扇や浴室乾燥機などの設備は「消耗品」であり、時間の経過とともに劣化するものです。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、設備の自然故障や経年劣化(耐用年数を迎えたもの、または通常使用による故障)の修理・交換費用は、原則として貸主(オーナー)の負担と明確に定められています。
借主が故意に乱暴に扱ったり、水没させたりしたといった特殊な事情がない限り、モーターの寿命による異音や故障の費用を借主に請求することは不当です。
高額請求を防ぐためのポイントと対処法
退去時の精算の際、管理会社や大家さんから「浴室乾燥機の掃除代」や「本体の交換費用」として高額な見積書を提示された場合は、以下のポイントを確認しましょう。
- 見積書の内訳を確認する 「一式」とだけ書かれている場合は、具体的な作業内容や部品代の内訳を書面で請求してください。
- 日常の手入れを行っていたか振り返る 定期的にフィルターのホコリを取っていたのであれば、過失を認める必要はありません。
- ガイドラインや契約書を照らし合わせる 特約がない限り、経年劣化の費用は借主負担にならないことを主張します。
もし、貸主側から理不尽な請求をされて納得がいかない場合は、安易にその場でサインをせず、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。