アパートの退去時、お部屋の中の原状回復トラブルだけでなく、「共用部に傷をつけてしまった」というトラブルも非常に多く寄せられます。引っ越しの際に階段の壁や共用廊下に大きな荷物をぶつけてしまったり、集合ポストのダイヤルを壊してしまったりすると、貸主側から高額な修繕費を請求されることがあります。
しかし、どこまでが借主の負担になり、どこからが貸主側の負担になるのかを知っておくことで、不当な請求を防ぐことができます。今回は、アパートの共用部(階段・共用廊下・集合ポスト)における傷や物置き痕の原状回復トラブルについて、法律とガイドラインの観点から分かりやすく解説します。
【不当請求への対処法と減額交渉】貸主側から過剰に広い範囲の修繕や新品交換の全額を請求された場合は、国交省のガイドラインに基づき実際の損害範囲や物の耐用年数を考慮した減額交渉を行うことが有効です。
共用部での傷や破損は誰の責任になる?
アパートの階段、共用廊下、集合ポストなどは、すべての入居者が利用する「共有スペース」です。原則として、貸主(オーナーや管理会社)が維持・管理する義務を負っています。
しかし、借主やその関係者(引っ越し業者など)が故意や過失(不注意)によって共用部を破損させた場合は、民法上の不法行為責任や賃貸借契約上の債務不履行責任に基づき、損害賠償義務(原状回復義務)が発生します。
引っ越し時につけた階段・廊下の傷
引っ越し業者の搬出入作業中に、階段の手すりや壁、共用廊下の床などに大きな傷やへこみを作ってしまうケースは後を絶ちません。これらは明確な「借主側の過失」とみなされるため、原則として借主(または引っ越し業者)が修繕費用を負担する必要があります。
集合ポストの破損やダイヤル錠の故障
集合ポストの扉を曲げてしまったり、ダイヤル錠を破損させたりした場合も同様です。通常の使用による経年劣化であれば貸主負担となりますが、無理にこじ開けた痕がある場合や、鍵を紛失して本体ごと交換が必要になった場合は、借主側の負担となるのが一般的です。
トラブルを防ぐためのポイントと注意点
共用部の傷をめぐるトラブルを防ぐため、また不当な請求を回避するためには、以下の点に注意してください。
- 引っ越し業者に保険の確認をする(多くの引っ越し業者は共用部の破損に対応する保険に加入しています)
- 退去時の立ち会いで、共用部の傷についても客観的に確認してもらう
- 身に覚えのない古い傷や、もともとあった傷について請求されていないか写真で証拠を残す
特に引っ越し作業中の事故であれば、まずは利用した引っ越し業者に連絡し、加入している損害賠償保険が適用できるか確認することが最善の解決策となります。業者が加入する保険でカバーできれば、自己負担をゼロに抑えることができます。
高額な請求や身に覚えのない請求への対処法
管理会社から「階段全体の塗り直しが必要」「共用廊下の床全面の張替費用」など、明らかに傷の範囲を超えた過大な修繕費を請求されるケースが見受けられます。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方と同様に、共用部の部分的な破損であっても、損害を与えた箇所を超えて「全面的なリフォーム費用」を借主が全額負担する必要はありません。また、もともと経年劣化が進んでいた設備であれば、その分の価値(減価償却)を差し引いた金額が適正な請求額となります。
もし、納得のいく説明がないまま高額な請求書を突きつけられたり、身に覚えのない傷の責任を一方的に押し付けられたりした場合は、慌てて支払いに応じないことが大切です。
賃貸借トラブルや原状回復費用に関する請求に対しては、専門の弁護士などの法律の専門家に相談し、法的観点から妥当性を判断することが不当な請求を防ぐ有効な手段となります。
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