賃貸物件を退去する際、キッチンや浴室、洗面台などの水回りに発生した「コーキング(シーリング)のカビや剥がれ」について、高額な修繕費用を請求されてトラブルになるケースが後を絶ちません。
コーキングはゴム状の目地材であり、カビや劣化が起こりやすい場所です。しかし、その補修費用は「借主が支払うべきケース」と「貸主が負担すべきケース」に明確に分かれます。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所が、国交省のガイドラインを踏まえた適正な判断基準と、法的な対処法について分かりやすく解説します。
水回りの「コーキング」の修繕費用、誰が負担する?
【不当請求への対処法】「全額負担はおかしい」と主張し、減額交渉を行いましょう。管理会社や大家から高額な打ち直し費用や全面張替えの請求書を提示された場合は、安易にその場で署名・支払いをしないことが重要です。まずは清掃を行っていた事実や換気の状況を伝え、ガイドラインに基づく経年劣化の考慮や見積もりの内訳精査を求めましょう。悪質な高額請求や納得のいかないトラブルに発展した場合は、泣き寝入りせずに消費者センターや原状回復に強い弁護士への相談を検討してください。
賃貸借契約における原状回復の基本原則は、「借主の故意・過失、あるいは善管注意義務違反によって生じた損耗」のみを借主が負担するというものです。水回りのコーキングについても、この原則に沿って費用負担が判定されます。
経年劣化と借主責任(善管注意義務違反)の境界線
コーキングの打ち直し費用を巡っては、劣化の原因がどこにあるのかが争点となります。具体的な判断基準を確認していきましょう。
1. 貸主(オーナー)負担となるケース
- 長年住んだことによるコーキングの自然なひび割れや硬化、剥がれ
- 通常の使用範囲内で発生した変色や経年劣化
- 換気や掃除を行っていたにもかかわらず、構造上どうしても発生してしまったカビ
コーキングは消耗品であり、時間の経過とともに劣化する性質を持っています。そのため、経年劣化による打ち直し費用は、家賃の中に含まれているとみなされ、借主が退去時に請求されるいわれのない費用となります。
2. 借主(借主負担)となるケース
- 浴室やキッチンの換気を全く行わず、日常的な掃除を怠ったために、コーキングの内部まで根を張った重度のカビ(善管注意義務違反)
- 物を強くぶつけるなどして、コーキングを大きく削り取ってしまった・剥がしてしまった(過失)
このように、通常の生活を超えた扱いによって損耗を拡大させた場合は、借主が修繕費用の負担を求められることがあります。ただし、この場合でも全額負担ではなく、経過年数を考慮した減価償却が適用されるのが一般的です。
高額な請求を受けたときの対処法
退去時の立ち会いで、管理会社や大家から「コーキングの打ち直し代として数万円請求された」というケースは少なくありません。不当な請求から身を守るためには、以下のステップで対応しましょう。
- 国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認し、経年劣化は貸主負担であることを主張する
- 入居中、カビ取り剤の使用や換気など、一定の善管注意義務を果たしていたことを伝える
- 修繕の見積書が提示された際、コーキング一式として一括計上されていないか、単価や施工範囲が妥当かを確認する
もし、納得のいく説明がなされないまま高額な請求をされている場合や、支払う必要のない費用まで請求されて困っている場合は、個人で交渉を続けるよりも法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所では、適正な法知識に基づき、借主の皆様の権利を守るためのサポートを行っております。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。