賃貸借契約の退去費用を巡り、身に覚えのない高額な請求を無視し続けていたところ、裁判所から「支払督促」が届いて驚いたという相談が弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所に多く寄せられています。支払督促が届いた場合、放置すると財産の差し押(さしお)さえにつながるため、迅速な対応が不可欠です。
今回は、支払督促に対して「2週間以内に異議申立書」を提出し、通常訴訟へと移行させて適正な退去費用を争うための具体的な手順を解説します。
支払督促が届いた際の初動と「異議申立書」の重要性
【適正額を争うポイント】原状回復トラブルでは、経年劣化や通常損耗の借主負担免除、設備の耐用年数(残存価値1円)のルールに基づき不当な請求を減額させることが可能です。放置せず異議申し立てを行いましょう。
支払督促とは、金銭の支払いを求める債権者の申し立てに基づき、簡易裁判所の書記官が発付する法的書類です。退去費用の支払いを拒み続けた大家や管理会社が、裁判所を利用して強制的に回収を図るために利用されます。
ここで重要なのは、支払督促の段階では裁判所が貸主側の言い分のみを聞いて書類を出している点です。借主の主張や反論は一切反映されていません。
そのため、請求内容に納得がいかない場合は、放置しては絶対にいけません。受領した日から2週間以内に「異議申立書」を提出する必要があります。この手続きを行うことで、支払督促は自動的に「通常訴訟(または少額訴訟)」へと移行し、双方の主張や証拠に基づいた公平な審理の土俵に乗せることが可能になります。
支払督促に同封されている「異議申立書」の書き方と手順
支払督促の書類一式の中には、必ず「督促異議申立書」の用紙が同封されています。特別な難解な法律文書を作成する必要はなく、必要事項を記入して裁判所に提出するだけで足ります。
具体的な記入手順とポイントは以下の通りです。
- 事件番号と当事者名の確認:届いた支払督促に記載されている事件番号、債権者(大家・管理会社)、債務者(自分)の氏名を正確に転記します。
- 異議の趣旨の選択:「支払督促の請求金額全額に異議を申し立てる」という趣旨のチェックボックスや項目に記入します。
- 署名押印:申立人欄に自署し、認印を押印します。
書き終えた異議申立書は、支払督促を発付した簡易裁判所宛てに郵送、または直接持参して提出します。この際、期限である「2週間」の起算日は、支払督促を受け取った日の翌日から数え始めますので、期限切れにならないよう細心の注意を払ってください。
通常訴訟へ移行した後の流れと適正額で争うポイント
異議申立書を提出して通常訴訟へ移行すると、今度は双方が法廷で主張や証拠を出し合い、お互いの言い分をぶつけ合う本格的な審理が始まります。退去費用トラブルにおいて、通常訴訟で適正額を勝ち取るためには以下の点が重要となります。
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を基準とした反論
- 経年劣化や損耗分が借主の負担に含まれていないかの検証
- 大家側が請求している見積書の妥当性や、実際の修繕工事が行われたかどうかの確認
通常訴訟に移行すると、裁判官から和解を提案されるケースも多く見られます。法律の専門知識がない状態で一人で対応すると、貸主側の代理人弁護士のペースに巻き込まれてしまうおそれがあります。適正な金額まで減額を勝ち取るためには、早い段階で弁護士に代理交渉や訴訟対応を依頼することが最も確実な解決策となります。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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