オフィスの移転や退去の際、意外とトラブルになりやすいのが「光回線・電話回線」の撤去費用と原状回復の範囲です。
住居用の賃貸物件とは異なり、オフィス物件では通信機器や配線が複雑に絡み合っているため、誰がどこまで費用を負担すべきか判断に迷うケースが少なくありません。
この記事では、オフィスの光回線や電話回線の引き込み線撤去に関する原状回復のルールと、トラブルを防ぐためのポイントについて弁護士が詳しく解説します。
【不当請求への対処と交渉のポイント】貸主側から必要のない共用部MDF盤までの全線撤去費用や、法外な工事見積りを提示された場合は、賃貸借契約書の原状回復条項を再確認し、無駄な二重請求や不要な工事が含まれていないかを精査することが重要です。話し合いで解決しない場合は、原状回復の専門知識を持つ第三者や専門家に相談し、適正な費用負担の範囲で交渉を行うことが有効です。
オフィスの光回線・引き込み線における原状回復の基本
オフィスの退去にあたっては、「入居後に借主が設置したもの」はすべて撤去し、元の状態に戻す(スケルトンまたは契約時の状態)のが原則です。
これは通信インフラである光回線や電話回線も例外ではありません。テナント内に引き込んだケーブルや、壁面に固定された端子などは、借主の責任において撤去を求められるのが一般的です。
撤去工事の対象となる範囲
オフィスの通信設備に関する撤去工事では、主に以下のものが対象となります。
- テナント内から外へつながる光ファイバーの引き込み線
- 壁面や床(OAフロア等)に這わせたモール、配管内の配線
- 主装置(PBX)やビジネスフォンの配線類
MDF盤と引き込み線撤去の注意点
オフィスの光回線撤去において最も重要なのが、ビルの共用部にある「MDF盤(主配線盤)」からテナントまでの配線処理です。
MDF盤はビル全体の通信回線を集約する場所であり、勝手に触ることはできません。そのため、NTTなどの通信事業者や専門の工事業者に依頼して作業を行う必要があります。
貸主・管理会社への事前の確認が必須
トラブルを防ぐために最も重要なのは、「本当に撤去が必要か」を事前に貸主やビル管理会社に確認することです。
ビルによっては、次の入居者も同じ通信事業者の回線を利用する予定があるため、「引き込み線はそのまま残しておいてほしい(残置してほしい)」と言われるケースも少なくありません。 もし撤去が不要であるにもかかわらず、勝手に通信事業者に依頼して撤去してしまうと、二度手間になるだけでなく、貸主から余計な現状復帰費用を請求されるリスクもあります。
撤去費用をめぐるトラブルと対策
オフィスの原状回復工事では、見積もりに高額な「通信設備撤去費」が計上されてトラブルになる事例が見られます。
適正な費用でスムーズに退去するためには、以下の対策が有効です。
- 契約書の原状回復条項を事前に読み込み、通信設備の扱いについて確認する
- 貸主指定の業者だけでなく、場合によっては自分で手配した通信事業者にも見積もりを依頼して比較する
- 退去立会いの際に、引き込み線の残置・撤去のどちらの指示かを書面やメールで明確に残しておく
オフィスの原状回復や退去費用に関するトラブルは、専門的な知識がないまま対応すると、高額な請求をそのまま支払わされてしまうおそれがあります。貸主側との交渉に不安を感じたときは、契約書を持参のうえ、不動産トラブルに強い弁護士へ早めにご相談ください。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
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