賃貸物件を退去した際、支払った「敷金」や「保証金」がなかなか返還されないトラブルは少なくありません。貸主側から「まだ計算が終わっていない」「お金がない」などと理由をつけて返還を引き延ばされるケースがありますが、返還期限を過ぎた保証金には遅延損害金を請求することができます。
この記事では、保証金の返還が遅れた場合に発生する遅延損害金の計算方法や、適用される利率について詳しく解説します。
【不当な返還遅延への対処法と請求のポイント】「計算が終わらない」などの言い訳による返還拒否には、期日の翌日を起算日とした正確な遅延損害金の計算書を添えて書面(内容証明郵便など)で督促するのが有効です。支払いに応じない場合は、敷金返還請求や法的措置の検討を伝えることで早期回収の可能性が高まります。
保証金の返還期限と遅延損害金の基本
賃貸借契約が終了し、部屋を明け渡したあと、貸主は借主に対して預かっていた保証金(敷金など)から適法な原状回復費用や未払い賃料などを差し引いた残額を返還する義務があります。
契約書に「退去後〇日以内に返還する」といった返還期日が明記されている場合、その期日を過ぎた瞬間から貸主は「履行遅滞(債務不履行)」の状態になります。この遅れた期間に対して発生するのが遅延損害金です。
契約書に期日の記載がない場合でも、返還を求める催告を行った日の翌日から遅延損害金が発生することになります。
適用される利率(年3%または年6%)の考え方
遅延損害金を計算する上で重要となるのが「利率」です。法律上の法定利率は民法改正によって変動しており、さらに貸主が個人か企業(事業者)かによって適用される法律が異なります。
民法上の法定利率(原則:年3%)
一般的な個人間での賃貸借契約や、貸主が個人の場合は、民法上の法定利率が適用されます。現在の法定利率は年3%です(※2020年4月1日の民法改正により、変動制の年3%となっています)。
商事法定利率(年6%が適用されるケース)
貸主が不動産業者や法人などの「商事業者」である場合、商法(または会社法)が適用されます。改正前は商事法定利率が一律で年6%とされていましたが、法改正や契約のタイミング、事業性の判断によって利率が異なる場合があります。
- 貸主が法人の場合、かつ契約内容が商行為にあたる場合、旧商法下では年6%の商事法定利率が適用されてきました。
- 近年の法改正や契約日によっては、一律ではなく一般的な法定利率(年3%)が準用されるケースもあるため注意が必要です。
具体的な計算根拠や適用利率に迷ったときは、弁護士などの専門家に相談して正確な数値を算出してもらいましょう。
遅延損害金の計算方法と請求の流れ
遅延損害金は、以下の計算式によって算出されます。
- 【計算式】 返還すべき保証金残額 × 適用利率(年3%または年6%) × 遅延日数 ÷ 365日
例えば、返還されるべき保証金が30万円で、返還期日を60日過ぎており、年3%の利率が適用される場合の計算は以下のようになります。 「30万円 × 0.03 × 60日 ÷ 365日 = 約1,479円」
金額としては小さく感じられるかもしれませんが、遅延損害金を請求することは「貸主に対して早期の返還を強く促す心理的プレッシャー」として非常に有効です。
請求のステップ
- 内容証明郵便の送付 口頭や通常の催促では対応しない悪質な貸主に対しては、弁名や遅延損害金を加算した総額の返還を求める内容証明郵便を送付するのが効果的です。
- 法的措置(支払督促や少額訴訟・通常訴訟) 内容証明を送っても無視される場合は、裁判所を利用した法的回収手続きに移行します。
保証金返還トラブルは弁護士にご相談ください
保証金や敷金の返還遅延は、貸主側の資金繰りの悪化や、不当な高額請求を正当化するための時間稼ぎであることが少なくありません。「いつまでも返ってこない」「連絡が取れなくなった」という場合は、泣き寝入りせずに早めに対処することが重要です。
当事務所では、国交省のガイドラインに基づいた適正な原状回復費用の精算や、悪質な返還遅延に対する遅延損害金を含めた請求交渉を数多くサポートしております。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
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