賃貸物件の室内でアロマオイルや香水、お香などを日常的に使用し、壁や天井に強い匂いが染み付いてしまった場合、退去時に思わぬ高額な原状回復費用を請求されることがあります。
「生活臭だから大家さんが負担するのでは」と考えてしまいがちですが、使い方によっては借主の責任(善管注意義務違反)とみなされるケースが少なくありません。
この記事では、お香やアロマによる匂いの染み付きに対する原状回復のルールや、クロスの張り替え費用、法律的な考え方を解説します。
【不当請求への対処法と減額交渉のポイント】「部屋全体が臭うから」と全室のクロス全面張り替えや高額な特殊脱臭費用を一律で請求された場合は、過剰請求として拒否できます。特段の匂い移りがあった範囲(限定的な施工)かを確認し、ガイドラインや耐用年数を根拠に減額交渉を行いましょう。
お香やアロマの匂いは「通常の生活臭」を超えるか?
賃貸物件では、生活に伴う多少の匂いや汚れ(経年劣化や通常の生活損耗)は、大家さん(賃貸人)が負担するのが原則です。日々の料理の匂いや生活臭などはこれに該当します。
しかし、お香のヤニ、アロマオイルの油分、香水の成分などが壁紙や天井に長期間付着し、換気や通常のクリーニングでは落ちないほどの強い匂いや変色を引き起こした場合、それは「通常の生活臭」を超えた特段の損耗と判断されます。
この場合、借主が物件を適切に管理する義務(善管注意義務)を果たしていなかったとして、原状回復費用を請求される法的根拠が生じます。
壁紙クロス張り替えの費用負担と「経年劣化」
お香やアロマの匂いが原因でクロス(壁紙)の張り替えが必要となった場合でも、全額を借主が支払うわけではありません。国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、以下の点が考慮されます。
経年劣化の考慮(耐用年数6年)
壁紙クロスは時間の経過とともに価値が下がる消耗品です。税法上の耐用年数は6年と定められており、入居期間が長ければ長いほど、借主が負担すべき残存価値は低くなります。
- 入居してすぐ(1年未満)の場合:張り替え費用の大部分を請求される可能性がある
- 入居から長期間(5〜6年)経過している場合:クロスの価値はほぼ残っていないため、負担額はごくわずか、またはゼロになることもある
脱臭費用の請求
クロスを張り替えても下地や天井、床に匂いが残っている場合、専門業者による「オゾン脱臭」や「特殊クリーニング」の費用が別途請求されることがあります。これも程度問題ですが、過度な使用が原因であれば借主負担となるケースが一般的です。
トラブルを防ぐため・高額請求に納得できないときの対処法
もし退去時に管理会社から法外な高額請求をされたり、納得がいかない場合は、以下のポイントを確認し、冷静に対応しましょう。
- 見積書の内訳を確認する:「一式」ではなく、どの部屋のクロスを何平米張り替えるのか、脱臭費用の根拠は何かを詳細に確認する
- 入居期間を再確認する:住んでいた年数に応じた減価償却(残存価値)が正しく計算されているかチェックする
- 泣き寝入りせずに相談する:明らかに不当な全面張り替えや、経年劣化を無視した請求を受けた場合は、消費生活センターや弁護士などの専門家に早めに相談することが賢明です
アロマやお香はリラックス効果がある一方で、賃貸物件では「匂いのトラブル」に発展しやすい原因の一つです。日頃から換気を徹底し、万が一トラブルになった際は、ガイドラインに基づいた適正な負担額であるかを見極めることが大切です。
原状回復・退去費用の高額請求でお悩みの方へ
国交省ガイドラインに基づき、弁護士が適正金額への減額交渉・返還請求をサポートします。諦めて支払う前に、まずはお気軽にご相談ください。